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裏事情7(1)
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通い始めて分かったのだが、乙女は食事も満足にとらず、稼いだ金をほとんど実家に仕送りしていた。
今時珍しい親孝行ないい娘だと思うが、酷い貧乏暮らしで肌も髪も荒れ放題、着用する者がこれでは、せっかく俺がデザインした品のある美しい女王様仕様のボンデージが台無しだ。
仕方がないので、食べ物を運んでせっせと食わせたり、身繕いの世話をしたり、雛を育てる親鳥のように乙女の元へ通った。
俺の努力が実を結び、乙女は次第に美しい女王様へと成長していく。
指名が増えたのは、純粋に自分の仕事が評価されたようで嬉しい。
が、少々気になっている事がないわけではなかった。
「なぁ、乙女、その、な、こういう仕事やってて、辛くないか? 嫌な客も、中にはいるだろう?」
俺が気になっているのは、この部屋で乙女が客とどういうコトをしているのか、つまり、どんなプレイを強要されているのかという事だ。
客が増えるのはいいが、いい客ばかりでなく嫌な客だって増えているに違いない。
「そりゃ、まぁ、おかしな客はいるよ? どこが楽しいんだろうって、しょっちゅう思うもん」
「・・・・・・。 なぁ、その客ってのはやっぱり、そういうプレイをしてくれって要求してくるのか?」
天塩にかけて美しく育てた雛が、男達のおかしな性的興奮に利用されているのかと思うとムカつくし、本当にそうなら耐え難い。
「まぁ、そうね。でも、女王様はイヤならしなくてもいいんだって、リュウちゃんが言ってた。私、スカウトされた時に、付き合ってる人とのキスだって苦手なのに、知らない男性相手に性的なサービスなんて出来ないわよって言ったの。そしたら、女王様は罵倒したり鞭で打ったり命令したり、男を虐めるのが本業だから、そういう事はしなくていいって。逆に、お客さんの言いなりになる方が良くないって言われたの」
「へぇー、そういうもんなのか」
良かった、それならまぁいいか、と思ったところで乙女が爆弾発言をする。
「そうそう、でもね、あんまり我慢ばかりさせて客が離れていくのは困るから、たまのご褒美にでいいから部屋の隅でオナニーをしろって命令してやって欲しいって、そう言えばリュウちゃんに頼まれてた。すっかり忘れてたけど」
・・・・・・
汚い手で触られるのもイヤだが、乙女にそんな汚らわしい行為を見せるのもイヤだ。
乙女は俺が育てた美しく崇高な女王様で、崇めて愛でるもの。
下劣な変態が触れていい存在ではないのだ!
変態は、乙女にヒールで踏みつけられるとか、鞭で打たれて喜んでいればよいのだ。
それは育ての親である俺が許さん!
ご褒美は一生おあずけでいいからなと乙女に言いきかせた。
ところが、ほっとしたのもつかの間、またもや問題が発生する。
乙女がストーカーに拉致されかかったのだ。
返り討ちにしてやったわと乙女は笑って言ってるけど、俺は青くなった。
乙女が住んでいる今のアパートはかなりのオンボロで、セキュリティーなどとは無縁の、年期の入った代物なのだ。
もちろん、乙女は自分の正体がバレるのをすごく警戒してるから、むざむざ住んでる場所を特定されるようなヘマはしないだろうが。
俺は最新のセキュリティーが完備された、タワーマンションの部屋の合い鍵をテーブルの上に置いた。
そこは俺の東京滞在用のマンションで、デザイン関連の仕事部屋兼寝室として使っている。
部屋は余ってるし、内側に鍵を付ければ乙女も安心して使えるだろう。
少なくともあのアパートに住むよりはずっとマシなはず。
そう思ったのに、乙女はなかなか受け取らない。
嫌なら別のマンションを用意してやるぞと言っても、乙女はストーカーはちゃんと退治するから問題ないと固辞する。
俺のしつこさに最終的には折れて、ストーカーをまくのに利用させてもらうと鍵を受け取ったものの、乙女の危機管理の無さはどうしたものだろう、危なっかしくてとても放っておけない。
俺は、乙女に気付かれないようにストーカーを排除せよと、忍びに命じた。
今時珍しい親孝行ないい娘だと思うが、酷い貧乏暮らしで肌も髪も荒れ放題、着用する者がこれでは、せっかく俺がデザインした品のある美しい女王様仕様のボンデージが台無しだ。
仕方がないので、食べ物を運んでせっせと食わせたり、身繕いの世話をしたり、雛を育てる親鳥のように乙女の元へ通った。
俺の努力が実を結び、乙女は次第に美しい女王様へと成長していく。
指名が増えたのは、純粋に自分の仕事が評価されたようで嬉しい。
が、少々気になっている事がないわけではなかった。
「なぁ、乙女、その、な、こういう仕事やってて、辛くないか? 嫌な客も、中にはいるだろう?」
俺が気になっているのは、この部屋で乙女が客とどういうコトをしているのか、つまり、どんなプレイを強要されているのかという事だ。
客が増えるのはいいが、いい客ばかりでなく嫌な客だって増えているに違いない。
「そりゃ、まぁ、おかしな客はいるよ? どこが楽しいんだろうって、しょっちゅう思うもん」
「・・・・・・。 なぁ、その客ってのはやっぱり、そういうプレイをしてくれって要求してくるのか?」
天塩にかけて美しく育てた雛が、男達のおかしな性的興奮に利用されているのかと思うとムカつくし、本当にそうなら耐え難い。
「まぁ、そうね。でも、女王様はイヤならしなくてもいいんだって、リュウちゃんが言ってた。私、スカウトされた時に、付き合ってる人とのキスだって苦手なのに、知らない男性相手に性的なサービスなんて出来ないわよって言ったの。そしたら、女王様は罵倒したり鞭で打ったり命令したり、男を虐めるのが本業だから、そういう事はしなくていいって。逆に、お客さんの言いなりになる方が良くないって言われたの」
「へぇー、そういうもんなのか」
良かった、それならまぁいいか、と思ったところで乙女が爆弾発言をする。
「そうそう、でもね、あんまり我慢ばかりさせて客が離れていくのは困るから、たまのご褒美にでいいから部屋の隅でオナニーをしろって命令してやって欲しいって、そう言えばリュウちゃんに頼まれてた。すっかり忘れてたけど」
・・・・・・
汚い手で触られるのもイヤだが、乙女にそんな汚らわしい行為を見せるのもイヤだ。
乙女は俺が育てた美しく崇高な女王様で、崇めて愛でるもの。
下劣な変態が触れていい存在ではないのだ!
変態は、乙女にヒールで踏みつけられるとか、鞭で打たれて喜んでいればよいのだ。
それは育ての親である俺が許さん!
ご褒美は一生おあずけでいいからなと乙女に言いきかせた。
ところが、ほっとしたのもつかの間、またもや問題が発生する。
乙女がストーカーに拉致されかかったのだ。
返り討ちにしてやったわと乙女は笑って言ってるけど、俺は青くなった。
乙女が住んでいる今のアパートはかなりのオンボロで、セキュリティーなどとは無縁の、年期の入った代物なのだ。
もちろん、乙女は自分の正体がバレるのをすごく警戒してるから、むざむざ住んでる場所を特定されるようなヘマはしないだろうが。
俺は最新のセキュリティーが完備された、タワーマンションの部屋の合い鍵をテーブルの上に置いた。
そこは俺の東京滞在用のマンションで、デザイン関連の仕事部屋兼寝室として使っている。
部屋は余ってるし、内側に鍵を付ければ乙女も安心して使えるだろう。
少なくともあのアパートに住むよりはずっとマシなはず。
そう思ったのに、乙女はなかなか受け取らない。
嫌なら別のマンションを用意してやるぞと言っても、乙女はストーカーはちゃんと退治するから問題ないと固辞する。
俺のしつこさに最終的には折れて、ストーカーをまくのに利用させてもらうと鍵を受け取ったものの、乙女の危機管理の無さはどうしたものだろう、危なっかしくてとても放っておけない。
俺は、乙女に気付かれないようにストーカーを排除せよと、忍びに命じた。
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