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恋人編
二人の関係6
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ローリーの唇を貪り、口腔内を蹂躙し、魔力を注ぐ。
「アルが好きなの、愛してるの」
何度も何度も繰り返される口づけの合間のローリーの甘い呟きが、より一層情熱を掻き立て、我を忘れそうなほど陶酔した。
ああ、このまま我を忘れて、情熱に身を任せてしまいたい。
若い頃ならば考えるまでもなく、そうしていただろう、六百年も年を重ねた己が恨めしい。
口づけに夢中になっているローリーをゆっくり押し倒したまでは良かったが、天使の我が出て来て、まさかこんなところでするつもりなのかと我を責め立てた。
確かに、初めて愛し合うのに、こんな草むらはないなと、天使の我の言に従い諦めることにする。
ところが今度は悪魔の我が出て来て、両想いの恋人になったのだ、冷静でない今のローリーならば否と言うまいと唆してくる。
我の口づけと魔力に頬を紅潮させ、うっとりしているローリーを眺めた。
ああ、蕩けそうなほど可愛い。
涙の跡を舐めてやると擽ったそうに笑うが、ローリーは嫌がる素振りを見せなかった。
悪魔の我の言う通り、確かに今ならイケそうな気がする。
周りに誰もいないのを目をぐるりと動かして確認した。
結界を張りたいところだが、ローリーに感付かれるといけない。
ローリーに、我も愛している、そなただけを愛していると囁きながら、愛情を込めて、唇を啄むような浅い口づけと舌を絡めるような深い口づけを交互に繰り返す。
頭を撫でてやれば、心地よさげな声が漏れた。
顔中に口づけを落としながら、素知らぬ顔で耳を甘噛みすると、「あっ」という愛らしい甘い声が零れる。
その声にローリー自身が驚いて、体を固くするが、大丈夫だと頭を撫でて宥めてやれば、また我に身を任せてくれた。
い、イケる!
耳や首筋への愛撫も鼻の頭に口づけるのと同じと思わせるために、頬ずりしてじゃれるように擽る。
頭を撫でていた手をゆっくり下へ降ろし、スカートの裾をそろりとたくしあげようとしたその時、ローリーが閉じていた目をぱちりと開けて、あっ!と大声をあげた。
慌てて手をスカートからパッと離し、宙に浮かせる。
「ど、ど、ど、どうした?」
我はまだ触れてないぞ! まだ何もしていない部類に入ると思う!
しようとしていた事がばれて、咎められるのかと、心臓が勝手にばっくんばっくんする。
「背中が冷たい。起こして」
「あ、ああ」
不埒な真似をしようとしていたのは、何とかばれずに済んだようで安堵をしたものの、どうやら甘い時間は終わりのようだ。
ローリーは濡れたドレスを風魔法で乾かしていたが、草の汁か土のしみの汚れがうっすらと残ってしまった。
「この場所は、寝転がるのには向かないね」
先ほどまでの戯れを思い出したのか、恥ずかしそうに照れて言う。
そういう顔をされると、我も同じように恥ずかしくなって照れてしまう。
照れ隠しにローリーを抱き上げ振り回した。
「そうだ。今から街へ行こう。それから、ドレスを買いに行こう! ドレスだけじゃない、ローリーの欲しい物全部買ってやる!」
我は片手の拳で握れるくらいの手ごろな石を二つ拾ってくると、両手に一つずつ握り集中する。
様子を見ていたローリーが目を見開いて驚き、すごいと歓声を上げた。
手の中の灰色のただの石が我の魔力によって、二つとも赤い宝石のように輝いた。
「これを金に換えればよい」
ローリーがその石の一つを手に取り、光に透かす。
「置き火の炎が燻っているように見える」
あー。
なんとも魔力は正直だな。
あれから、ローリーはずっと我に寄り添ったままで、街へ下り食事をとっている時も、ドレスを買う時も片時も離れる事がなかった。
そして離宮に戻り、夕食後のお茶の時間の今も真横に椅子を寄せ、我の腕をぎゅうぎゅう抱きしめ、甘えるように頭をこすりつけて、学校に戻るのがこんなに憂鬱になるなんてと、拗ねたように口を尖らせている。
ツンとしたローリーも可愛いと思っていたが、デレたローリーはもっと強迫的に可愛い!!
撫でくり回し、転がして、丸呑みにしてしまいたいくらい可愛い。
「だって、アルと離れ離れになっちゃうんだもん」
「ローリー」
番いとは、こんなに可愛い生き物なのか。
愛される幸せに酔いしれる。
甘えるローリーを眺めながら、これまでの二人の関係を振り返ってしみじみ思う。
ただの客からベッドを共にする特別な客になって、ベッドを共にしない恩人になり、番いという名の家族となった。
そしてついに、ようやく、我の想いが通じ恋人になれた。
本当の意味での番いになれるのも、今のローリーを見ていると、それももう間近な気がする。
そんなことを考えてニマニマしていると、ローリーが我の心を読み、応えたとしか思えないような驚くべきことを言い出した。
「今日はアルと一緒に寝たい」
「ろ、ローリー?!」
「だって、明日からずっと離れ離れなんだよ? わたしをアルで一杯にしておきたいんだもん」
「わ、我に異存があろうはずはないが、そ、その、人間にはいろいろとあるだろう? いいのか?」
嬉しかった。
ローリーも我と同じように結ばれたいと思ってくれていたのだ。
「良くはないけど・・・でも、背に腹は替えられないっていうか・・・あの、転移魔法を使えば、誰にも見られたりしないと思うの」
「そ、そうか」
若い者が感情的になっている時、本来ならば年上の者が冷静な判断をしなければならん。
今、まさにそういう場面であるとは思う。
天使の我と悪魔の我がまた言い合いを始めた。
今回は、こんなチャンスは二度とないぞとの悪魔の意見を採用し、ローリーが冷静になる前に済ませてしまうことに決めた。
「リア、あなたは竜族ではないのよ。伯爵令嬢なの。気持ちは分かるけど、それはやっぱり、良くないと思うわ」
しまった、ここには、冷静な判断が下せる者がいた。
フェリシアがローリーに苦言を呈す。
「何が良くないんだい?」
一番聞かれてはまずい者の声が、食堂に響いた。
「アルが好きなの、愛してるの」
何度も何度も繰り返される口づけの合間のローリーの甘い呟きが、より一層情熱を掻き立て、我を忘れそうなほど陶酔した。
ああ、このまま我を忘れて、情熱に身を任せてしまいたい。
若い頃ならば考えるまでもなく、そうしていただろう、六百年も年を重ねた己が恨めしい。
口づけに夢中になっているローリーをゆっくり押し倒したまでは良かったが、天使の我が出て来て、まさかこんなところでするつもりなのかと我を責め立てた。
確かに、初めて愛し合うのに、こんな草むらはないなと、天使の我の言に従い諦めることにする。
ところが今度は悪魔の我が出て来て、両想いの恋人になったのだ、冷静でない今のローリーならば否と言うまいと唆してくる。
我の口づけと魔力に頬を紅潮させ、うっとりしているローリーを眺めた。
ああ、蕩けそうなほど可愛い。
涙の跡を舐めてやると擽ったそうに笑うが、ローリーは嫌がる素振りを見せなかった。
悪魔の我の言う通り、確かに今ならイケそうな気がする。
周りに誰もいないのを目をぐるりと動かして確認した。
結界を張りたいところだが、ローリーに感付かれるといけない。
ローリーに、我も愛している、そなただけを愛していると囁きながら、愛情を込めて、唇を啄むような浅い口づけと舌を絡めるような深い口づけを交互に繰り返す。
頭を撫でてやれば、心地よさげな声が漏れた。
顔中に口づけを落としながら、素知らぬ顔で耳を甘噛みすると、「あっ」という愛らしい甘い声が零れる。
その声にローリー自身が驚いて、体を固くするが、大丈夫だと頭を撫でて宥めてやれば、また我に身を任せてくれた。
い、イケる!
耳や首筋への愛撫も鼻の頭に口づけるのと同じと思わせるために、頬ずりしてじゃれるように擽る。
頭を撫でていた手をゆっくり下へ降ろし、スカートの裾をそろりとたくしあげようとしたその時、ローリーが閉じていた目をぱちりと開けて、あっ!と大声をあげた。
慌てて手をスカートからパッと離し、宙に浮かせる。
「ど、ど、ど、どうした?」
我はまだ触れてないぞ! まだ何もしていない部類に入ると思う!
しようとしていた事がばれて、咎められるのかと、心臓が勝手にばっくんばっくんする。
「背中が冷たい。起こして」
「あ、ああ」
不埒な真似をしようとしていたのは、何とかばれずに済んだようで安堵をしたものの、どうやら甘い時間は終わりのようだ。
ローリーは濡れたドレスを風魔法で乾かしていたが、草の汁か土のしみの汚れがうっすらと残ってしまった。
「この場所は、寝転がるのには向かないね」
先ほどまでの戯れを思い出したのか、恥ずかしそうに照れて言う。
そういう顔をされると、我も同じように恥ずかしくなって照れてしまう。
照れ隠しにローリーを抱き上げ振り回した。
「そうだ。今から街へ行こう。それから、ドレスを買いに行こう! ドレスだけじゃない、ローリーの欲しい物全部買ってやる!」
我は片手の拳で握れるくらいの手ごろな石を二つ拾ってくると、両手に一つずつ握り集中する。
様子を見ていたローリーが目を見開いて驚き、すごいと歓声を上げた。
手の中の灰色のただの石が我の魔力によって、二つとも赤い宝石のように輝いた。
「これを金に換えればよい」
ローリーがその石の一つを手に取り、光に透かす。
「置き火の炎が燻っているように見える」
あー。
なんとも魔力は正直だな。
あれから、ローリーはずっと我に寄り添ったままで、街へ下り食事をとっている時も、ドレスを買う時も片時も離れる事がなかった。
そして離宮に戻り、夕食後のお茶の時間の今も真横に椅子を寄せ、我の腕をぎゅうぎゅう抱きしめ、甘えるように頭をこすりつけて、学校に戻るのがこんなに憂鬱になるなんてと、拗ねたように口を尖らせている。
ツンとしたローリーも可愛いと思っていたが、デレたローリーはもっと強迫的に可愛い!!
撫でくり回し、転がして、丸呑みにしてしまいたいくらい可愛い。
「だって、アルと離れ離れになっちゃうんだもん」
「ローリー」
番いとは、こんなに可愛い生き物なのか。
愛される幸せに酔いしれる。
甘えるローリーを眺めながら、これまでの二人の関係を振り返ってしみじみ思う。
ただの客からベッドを共にする特別な客になって、ベッドを共にしない恩人になり、番いという名の家族となった。
そしてついに、ようやく、我の想いが通じ恋人になれた。
本当の意味での番いになれるのも、今のローリーを見ていると、それももう間近な気がする。
そんなことを考えてニマニマしていると、ローリーが我の心を読み、応えたとしか思えないような驚くべきことを言い出した。
「今日はアルと一緒に寝たい」
「ろ、ローリー?!」
「だって、明日からずっと離れ離れなんだよ? わたしをアルで一杯にしておきたいんだもん」
「わ、我に異存があろうはずはないが、そ、その、人間にはいろいろとあるだろう? いいのか?」
嬉しかった。
ローリーも我と同じように結ばれたいと思ってくれていたのだ。
「良くはないけど・・・でも、背に腹は替えられないっていうか・・・あの、転移魔法を使えば、誰にも見られたりしないと思うの」
「そ、そうか」
若い者が感情的になっている時、本来ならば年上の者が冷静な判断をしなければならん。
今、まさにそういう場面であるとは思う。
天使の我と悪魔の我がまた言い合いを始めた。
今回は、こんなチャンスは二度とないぞとの悪魔の意見を採用し、ローリーが冷静になる前に済ませてしまうことに決めた。
「リア、あなたは竜族ではないのよ。伯爵令嬢なの。気持ちは分かるけど、それはやっぱり、良くないと思うわ」
しまった、ここには、冷静な判断が下せる者がいた。
フェリシアがローリーに苦言を呈す。
「何が良くないんだい?」
一番聞かれてはまずい者の声が、食堂に響いた。
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