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高校生編

第60話 後の祭り

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「よーし、色々めぐろっか!私はねー、意外とお化け屋敷とか行ってみたいかなーとか思ってるんだよねー」

「お化け屋敷...」と、顔を引き攣らせる俺。

「あれー?もしかして苦手な感じー?」と、ニヤニヤする真凜ちゃん。

「...得意ではない」

「じゃあー、怖かったら『真凜様~』って抱きついてもいいんだよ?」

「...本当にそうなるかも」

「その時は走って逃げちゃうかも」

「...ひどくない?」

「碧くんはなんだかいじめたくなるんよな~」

「ドSだね」

「ふっふっふっ...//」

「...」

「不安?」

「え?...あぁ。まぁ...出来ることはやったつもりだったけど、今思い返したらもっと出来たかなとか...」

「いいんだよ。あの瞬間の碧くんは昔の碧くんみたいだった。初めて好きになった時の碧くん」と、無邪気に笑う。

 そのまま手を繋いで2人で廊下を歩く。

「あの人、さっきの劇の人だよね?後味は悪かったけど、劇のレベルとしては相当高かったよね」
「だよね。演技力すごかったよね。舞台とかやってたのかな?」
「よく見ると意外とかっこいいかも?」

 小学生以来の注目のされ方に思わず照れていると、真凜ちゃんに袖を引っ張られる。

「よかったね」

「...うん」

「私はずっと前から気づいてたけどね。碧くんはすごい人だって」

「...そうだね」

 校庭に行くと様々な出店が出ていた。
たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、かき氷。

「たこ焼き食べよ?」

「いいよ」

「すみません、たこ焼き2人分お願いします」

「あっ、真凜様...とさっきの劇の人だ...。あっ、すぐ用意します!」

 たこ焼きを受け取ると人気のない校舎の裏のベンチに2人で座る。

「はい、あーん」

「...ごめん。俺、猫舌なんだよね?」

「えー?しょうがないなー」と、ふーふーと息を吹きかけて冷まして、ちゅっとキスをする。

「私が魔法をかけたからもう熱くないよ?はい、あーん」

「...本当?」と、言いながら食べるが当然出来たてのたこ焼きが熱くないわけがなく、はふはふしながら何とか食べる。

「...どう?熱くなかったでしょう?」

「う、うん。熱くなかった」

「えへへ。無理してる碧くんかわゆい。今度は私に食べさせて?」

「お、おう」と、ふーふーして「あーん」と言うが口を摘んでいる真凜ちゃん。

「...食べないの?」

「違う!ちゃんと魔法かけて?」

「...う、うん」と、少しキスをしてから「あーん」と言うと満足そうにたこ焼きを食べる。

「...おいちぃ...」

 そんな甘ったるい会話を交わしていると、1組の男女がこちらにやってくる。
どうやら、俺たちには気付いてないらしい。

「す、好きです!付き合ってください!//」

「...は、はい//」

 そうして、抱き合う2人。

「おー。学園祭マジックだねぇ」

「学園祭マジック?何それ?」

「知らない?学園祭の時に告白するっていう伝統的な?こういうイベントの時は男女ともに気持ちが昂りやすいからねぇ。ちなみに私調べでは学園祭マジックで付き合ったカップルは3ヶ月以内に別れます」と、ないのにメガネを上げるような仕草をする。

「...それは良くないですね」

「ねー?あのカップルは長続きするといいねー」と、そんな会話をしているとこちらの方に歩いてきたのでひっそりと隠れるように校舎に戻った。

「...でも、ドキドキするね。告白って」

「そうだね」

「...家に帰ったら告白してくれない?」

「...いいよ?」と、そんな会話をしながら真凜ちゃんの足が止まる。

「さ、行こっか」

 振り返るとそこにはお化け屋敷と書かれた看板が堂々と飾られていた。

「...やっぱ忘れてなかった?」

「...うん!」

 こうして、さっきの劇ばりに絶叫しながらなんとかお化け屋敷をなんとか潜り抜けるのだった。

 ◇

 そうして、2人で色々巡っていると真凜ちゃんが生徒会の人たちに連れて行かれてしまい、俺は1人になってしまった。

 まぁ、残りもそんなにないしいいかと思っていると、「おっ!良いところにいた!」と、清人と玄太と浩介の三人が現れる。

「あれ?天使様は?」

「なんか人手が足りてないらしくて、生徒会に駆り出された」

「なるほど?よし、行くぞ!」と、三人に連れられてとある場所に連れて行かれる。

 それは2年の教室だった。
その発表内容は...メイド喫茶だった。

「...まさかここに入るのか?」

「あたりめーだろ!男の楽園だぞ!」

「...おれ既婚者なんだが」

「それに1人、目当ての女の子がいるんだよ。...ほら、あそこ!」と、指差した先にいたのは綺麗なブランドの髪をした女の子。



「可愛いだろ?あんまり学校に来てないらしいんだよ。いやー眼福眼福。確かドイツ人とのハーフらしいよ?」

 そうして、清人たちに並んで見ていると肩を叩かれる。

 確かに可愛かった。
まるで作り物みたいに綺麗で...作り物みたいに表情を変えない。

 ゆっくりと振り返るとそこに居たのは満面の笑みをした真凜ちゃんだった。

「...えっと...これは...」

「うん。言い訳はお家で聞くね?」

「...はい」

 そんなタイミングでチャイムが鳴る。
それはつまりステージ発表の結果が出たということを差していた。
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