上 下
44 / 69
高校生編

第44話 修学旅行《3日目②》

しおりを挟む
「ぐがぁぁぁぁぁ...」という大声量のいびきにより睡眠を阻まれていた。

 すると、「コンコン」というノック音が聞こえてきた。

 気のせい...?

 しかし、そのノック音が段々早くなっていく。

 なんだなんだと思いながら覗き穴を見ると、そこには真凜ちゃんが必死に扉をノックしている姿が見えた。

 急いで扉を開けると、「ちょ!!なんであけてくれなかったの!」と、怒られる。

「え?なんで来たの?」

「なぁんでぇきたぁかぁだってぇいぃ??」と、江戸っ子口調で話し始める。

「...いや、江戸っ子の真似はいいから」

「忘れたの!今日の罰ゲーム!!」

『負けたほうが夜這いに行く...』

「...え?あれがちだったの?」

「がちがちのがちに決まってるでしょ!」

「...冗談だと思ってた」

「...てか、清人君いびきすごくない?大丈夫?」

「...いや、全然大丈夫じゃない。寝れないんだよな。起こすのはかわいそうだし」

「ふーん?じゃあ、選択肢は一つだね?」

「一つ?」

「私の部屋で寝る」

「...いやいや...雪菜ちゃんいるよね?」

「いるよ?それが何か?」

「...何かじゃなくて大問題だよね?」

「でも、今日寝れないよ?いいの?」

 そうして、5分ほど考えた後に止まらないいびきにあきらめて部屋を出ることにした。

 ゆっくりと部屋の扉を開けて右と左を確認する。

「...誰もいない...」

「うん...」

 そうして、忍者のようにサササと速足でエレベーターを覗く。
すると、ちょうど先生方が見回りしているところだった。

 心臓が止まりそうなほど緊張が走る。

「...」と、人差し指を立てて静かにするように伝える。

 そのままエレベーターで降りていく先生を見送る。

「...階段使ったほうがいいんじゃない?」

「うーん、けど扉の音結構大きいんだよね。それに女子は11Fだからね!...ここから8階も上がんないといけないよ?」

「...でも、エレベーター使ったらばれる確率上がるよ?」

「じゃあさ!エレベーターで10Fまで上がって、そこから階段使わない?確か10Fは一般の人用だし、たぶん大丈夫だから」

「...いいね。そうしよう」

 そうして、エレベーターを使って10Fまで上がってひっそりと階段の扉を開く。

 見回りの先生の姿は...なかった。

 急いで彼女の部屋に入ることに成功し、俺たちは安堵するのだった。

「...まりん~...?」と、寝ぼけた声の雪菜さんの声が聞こえる。

「あ、ご、ごめん!起こしちゃった?」と言いながらベッドに向かう真凜ちゃんの背後に隠れながらどうにかベッドに入ることに成功した。

「...うん...。何してたの?」

「の、喉乾いちゃって...自販機に買いに行ってた」

「そうなんだぁ...ふわぁああぁぁ...って、何も持ってなくない?」と、すぐに指摘される。

「...あ...失敗した。先生に見つかっちゃって...」

「...ふーん。そっか...。あぁー、ちょっと目さえちゃったな。ねっ、旦那とのこといろいろ聞かせてよ」

「え!?...ま、また明日でも...」

「今日こんなに疲れちゃってたら明日はもっとしんどい気がするし~。ねっ?いいでしょ?」

「...うん」

「んで、ぶっちゃけ何回くらいやった?」

「「ぶぶーー!!」」と、二人で思わず吹き出してしまう。

「...なんか今男の声しなかった?」

「き、気のせいじゃない?きっと地縛霊だよ!」と、肘で小突かれる。
てか、女子もやっぱそういう話するんだ...。

「...地縛霊?」

「うん!地縛霊!」

「...真凜ってそういうの見えるの?」

「う、うん!見えまくり!この部屋には無数の幽霊が漂っているよ!!」と、言った彼女の脇腹を小突く。

「はひ!!??」と大声を上げる真凜ちゃん。

「...怖いんだけど。ねぇ、怖いんだけど。一緒に寝てくんない?そっちのベッドに入っていい?」と言いながらそのまま雪菜ちゃんがベッドに侵入してくる。

 ちょいちょいちょい!!いろいろまずいって!

「ゆ、雪菜!!だ、だめだよ!私のベッドには今...さえない男の霊がとりついているの...。今近づいたら雪菜にとりついちゃうかも...!だから雪菜はそのままあっちのベッドに戻ったほうがいい...」

「一人は怖いよ!!」

「こっちは既に二人なの!!」と、よくわからない言い争いを終えて、渋々納得して自分のベッドに戻る雪菜ちゃん。

 あぁ、危うく妻とクラスメイトの女子の三人で寝るとかいうとんでもない状況になるところだった。

 すると、安心し始めたのか真凜ちゃんが調子に乗り始める。

 俺のことをぎゅーっと抱きしめると、「好き?」とか聞いてくる。

「...」

「...ねぇ、好き?」

「...」

「答えてくれないと大声あげちゃうぞ?」

「すっ、すき...(小声)」

「ふーん?そっかそっか!それは良かった。じゃあ、ちゅーしよ?」

「...しない(小声)」

「ひどい...。私はこんなに好きなのに。ねぇ、どうしたら好きって表現できるかなー?うーん。悩む悩む。悩みんぐ!」

「...知らない(小声)」

「...真凜?誰と話してるの?」

「ん?生き霊!」

「本当に怖いから辞めて!もう無理!」と、部屋の電気をつけられる。

 やばいやばいやばいやばい!

「ちょっ、雪菜電気はつけないでよ」

「だって怖いんだもん!テレビもつける!」

「先生にバレたら怒られるから!」

「だって!...って、なんか真凜のベッドもっこりしてない?」

「...お、落武者の幽霊がいっぱいいるから...」

「こわ!!もう寝る!!むり!おやすみ!」と、耳栓をして寝る雪菜さんであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?

おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。 『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』 ※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

マンガ喫茶でセフレとエッチする甘々な日々

ねんごろ
恋愛
ふとした思いつきでマンガ喫茶に足を運んだ高校生の男女。 はじめは楽しく漫画を読んでいたんだけど…… 偶然聞いてしまったお隣さんの喘ぎ声が発端で、二人は目覚めてしまった。 そうして二人はセフレへと大人の階段を上ってしまうのだった…… マンガ喫茶のエロエロの側面をお届けできれば幸いです。 ※当たり前のことですが、この小説の内容はあまり褒められたものではありません。そのあたりを理解した上でお楽しみいただけると幸いです。

男がほとんどいない世界に転生したんですけど…………どうすればいいですか?

かえるの歌🐸
恋愛
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に恋を楽しんだり、学校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はカクヨムや小説家になろうで連載している物の改訂版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脱字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。

穏やかな田舎町。僕は親友に裏切られて幼馴染(彼女)を寝取られた。僕たちは自然豊かな場所で何をそんなに飢えているのだろうか。

ねんごろ
恋愛
 穏やかなのは、いつも自然だけで。  心穏やかでないのは、いつも心なわけで。  そんなふうな世界なようです。

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉

菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。 自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。 さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。 その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。 更にはモブ、先生、妹、校長先生!? ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。 これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。

処理中です...