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高校生編

第24話 日常と異常

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「テスト終わった~~~!!!」と、いつも通り抱き着いてくる真凛ちゃん。

「自信のほどはどう?」

「うーん、ちょっと自信ないかも?」

「風邪引いちゃってたもんね...。仕方ないよ」

「そう思う!そう言ってくれる!?えへへへ...じゃあ、褒めて褒めて!撫でて撫でて!」と、ポケットから取り出した猫耳を着けて猫のポーズを取る。

 どエロイ。これはかわいいとかではなくエロい。エロスの塊である。
とりあえずあまり直視しないようにしながら頭を撫でる。

「...よしよし」

「もし今回も学年一位だったらご褒美が欲しいにゃん!」

「...ご褒美?俺にあげられるものなら何でもいいけど?」

「童貞が欲しいにゃ!!」と言われたのでとりあえずチョップ。

「イタタタ...」

「そういうのじゃなくて。なんか欲しいものととかして欲しいことこととかないの?」

「うーん...そうだなぁ...。じゃあ、一緒に映画を見よう?碧くんが出ていた映画を」

 結局、自分で見返すことは一度もなかった。
向き合う時期に来ているかもしれないな。

「...わかった。じゃあ、もし学年一位だったらそうしよう」

「うん!...じゃないニャン!!」

 ◇1週間後

 全てのテストが返却され、廊下の掲示板に順位表が張り出された。
1位には七谷海の名前が載っており、2位に汐崎真凛の名前があった。

 そのことで学年全体がざわついた。
いつもは全教科満点の彼女が平均95点と今までに比べてあり得ない数字になっていた。

「あはは...海ちゃんに負けちゃった~w」と、笑っていたが多分本人は想像以上にショックを受けていたと思う。

 そうして、それとともにいつも通りくだらない噂が流れ始める。
ダメ夫から悪影響を受けているとか、夫から毎晩迫られて寝不足なんじゃないかとか、そんな噂。

「...あはは、旦那は何も悪くないよ?私のためにすごく頑張ってくれてるし!」と、頑張ってフォローしてくれている姿を遠目から見ていた。

「まじで海ちゃん勝っちゃったな」

「...だな」

「やっぱマジで旦那のせいなんじゃない?これまで全部満点だったのにさ」

「...そう...かもしれないな」

「これを機にダメ夫に代わって俺が新しい旦那になるとか...!どうよ!」

「...それもありなのかもな」

 そうして、いつも通り昼ご飯を食べようとしたとき少しだけ事件が起きる。
真凛ちゃんが作ってくれた弁当を食べようと、小さい風呂敷を開けて弁当箱を取り出すと、その弁当箱は...真凛ちゃんのだった。

「...え」と、思わず小さく声を漏らして急いで弁当箱をしまう。

「ん?どしたん?」

「あ...いや...えっと...お、おなか痛いから今日は弁当はいいかな...って」

「大丈夫か?保健室いったほうがいいんじゃね?」

「あぁ...うん。そうしようかな...」

 危なかった。というか、真凛ちゃんの弁当箱が俺のと入れ替わっているということは...俺の弁当箱は真凛ちゃんが持っているということだよな...。それは色々とまずい。いや、最悪旦那の弁当箱と間違えたで済む気もするが...もしその間違えた弁当箱がいつも俺が使っている弁当箱だということを清人辺りに指摘されると非常にまずい。

 しかし、学校では極力関わらないようにしてるしな...。
さて...どうしたものか。

 そうこうしている間にいつも通り弁当箱を取り出す真凛ちゃん。

 よ、よし。行こう...!と、席を立って真凛ちゃんに話しかける。

「あっ、えっと...汐崎さん」と、声をかけると鳩が豆大砲を食らったくらい驚いた顔をする。

「あお...山口君!ど、どうしたの?」

「えっと...その...先生が...呼んでた」

「え?そ、そうなんだ...。じゃあ後で「す、すぐ来てって...言ってた」

「...すぐ?」

「すぐ...今すぐのすぐ」

「...そう。うん!わかった!じゃあ行ってくるね!」と、弁当を置いてそのまま廊下に歩き始める。

 ...ふう...助かった。
そうして、廊下に出たタイミングで俺もトイレに行くふりをして、耳元でボソッと「弁当箱間違えてる。俺のが真凛ちゃんのになってる」と伝えると、「ご、ごめん...うっかりしていた...」と謝られる。

 やっぱりだめだ。これからは俺もちゃんと家事とか手伝おう。
そう思いながら教室に戻るのだった。
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