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高校生編
第5話 距離感がちょっとアレな子
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「ジリリリリ!!!」といういつもの携帯のアラームで目を覚ます。
時刻は5:45。
いつもならアラームが鳴る前に起きていたのに...。相当熟睡してしまっていたようだ。
しかし、まだまだ眠いのであと5分だけと思い、目を閉じて寝返りを打つと、手の甲に「ぽにょん」という感覚が伝わる。
うっすら目を開けるとそこには薄着の真凛ちゃんが寝ていて、俺の手の甲は彼女の胸に乗っかっていた。
「んにぁっ...」という声とともに真凛ちゃんが目を覚ます。
「...あっ...ごめん」と、手を離そうとすると俺の手をガッチリ掴んで「いいよぉ...?わたしはぁ...」と、寝ぼけた声でそんなことを言った。
「...いや、うん...今日は大丈夫」
「...そう...」というとまた眠るのだった。
それに釣られて俺も眠るのだった。
◇
「おーい、遅刻しちゃうぞー」と、お玉で頭をコツンと叩かれる。
「...んぁ?」
目の前には制服の上にエプロンをした可愛らしい姿の真凛ちゃんが立っていた。
壁に立てかけてある時計に目をやると時刻は7時を回っていた。
「やべっ!?遅刻!?」
「だいじょーぶだよ?ここから学校は地下鉄ですぐだから!」
あぁ、そっか。
もうあの家じゃないんだ。
それに朝ごはんや昼ごはんを作る必要もない。
自分の形に沈むベッドを触る。
何ともいいベッドだ。
ぐっすり眠っていたのもきっとこの柔らかいベッドのおかげだろう。
「朝ごはんはご飯と、お味噌汁と、お魚と、お野菜です!」
「...ありがとう...」
「いえいえ!はい!朝のチュー!」と言いながら、口を近づけてくる真凛ちゃん。
スルッと、彼女を交わしてリビングに向かう。
「ちっ、寝起きならいけると思ったのに」と、呟くように低いトーンでそう言った。
ちょっとだけ怖かった。
そうして、朝ごはんを食べて、のんびりと準備をする。
朝とはこんなに余裕があるものなのかと驚きを隠せなかった。
いつもなら朝ごはんと昼ごはんを作ってから学校に行っていたので、5:45分起きがデフォだった俺にとって朝のこの余裕は新鮮そのものだった。
「はい!お昼のお弁当!」
「...ごめん、何から何まで...。やっぱり明日からは自分で「いいって!やりたいからやってるの!」と、ニコッと笑う。
このままだと本当にダメ人間になってしまいそうだ。
そうして、真凜ちゃんより先に登校するのだった。
◇
「おっ、珍しくクマがないな!それに生気のある目をしてるな!」と、清人に言われる。
「...あぁ。昨日はぐっすり眠れたから」
「そっかそっか。良かったなって、その割になんか疲れた声してんな」
「...うん」
口が裂けても言えねーよな。あの真凜ちゃんと結婚して、同棲することになったとか...。
そもそも清人は真凜ちゃん狙いだったしな。
すると、少し遅れて真凛ちゃんが教室に入ってくる。
いつもと全く変わらない様子で。
その姿を目で追ってしまうのはやはり俺も意識をしているということなのだろうか。
「おはよー!みんな!」
「おはよー!まりーん!」
そんな上級国民の戯れを下民の俺が眺めていると、「相変わらずかわええよなー。真凜ちゃん」と、清人が呟く。
「そうだな」
確かに改めて見ると本当に可愛い。
「けど、本当なのかな?彼女が結婚したのがAV俳優って話」というトンデモネタに思わず言葉が詰まる。
「...なんだその噂」
「いやー、あくまで噂だけど汐崎さん実はすげー性欲が強いって話でさ、他校のイケメンを食いまくってるって。だから、結婚したのも相当床上手だとかなんとか」
思い返せば彼女にはいつもこういうくだらない噂が付き纏っていた。実はお金持ちじゃないとか、実は5股してるとか、実は超性格が悪いとか...。信憑性の薄い嫉妬まじりの醜い噂。
具体的な名前は出ることなく、いつも噂が一人歩きしていたが、そんな噂を信じている人間はごく僅かである。
まぁ、人気になれば人気になるほどアンチも増えて、ありもしない噂が流れてしまうものだ。
「...噂は噂だろ」
「まぁな。てか、お前が誰かを庇うなんて珍しいなwさてはお前も天使様に惚れたんだな!それとも人妻好きか?」
「そんなんじゃないっての。そういう根も葉もない噂が嫌いなだけだ」
「そっかそっかw碧は昔から女には興味ねーもんなー」
「清人は女にしか興味ないもんな」
「おい、人聞きわりーこと言うな!」
そんな一つの事象を除き、いつもと変わらない日常を...送るはずだった。
◇
「修学旅行の班を決めるぞ!」と、担任の国岡先生がハキハキとそんなことをいう。
そう言えばそんな話をしてたっけ。
文化祭とか体育祭とか修学旅行とか、インキャの俺にとってはただただ嫌なイベントに過ぎなかった。
「グループは男女2人ずつの4人のグループを作ってくれ!高校生とは青春するためにあるからな!これを機にみんな恋愛をしようぜ!恋愛はいいぞー!生きる活力になる!先生も最近彼女ができてだな...」と、先生の恋愛話が始まる。
俺からしてみれば最悪の流れだった。
それは女子と組まないといけないということと、それを真凜ちゃんに見られることの二つの理由で最悪であった。
「碧は当然俺と組むよな?」と、清人が声をかけてくる。
「...いいのか?」
「何が?」
「いや、清人はいろんなやつから誘われるだろ。本当に俺でいいのかって」
「うへぇ...いつにも増してネガティブ発言...。なんか嫌なことでもあったのか?」
「いや...別に」
「俺はお前がいいんだよ。んじゃ、さっさとペアになる女の子を1人選んでくれー。俺はちなみに天使様を誘ってくるぜ!」
「...相手は既婚者だけど大丈夫か?」
「ばっか、既婚者だから諦めるなんて本物の愛じゃないぜ!」
こいつ将来、本物の愛というやつのせいで捕まりそうだな。
「んじゃ行ってくるぜ!さらば!」と、見事に去っていく清人。
恐らく真凜ちゃんが清人の誘いに乗ることはないだろう。
参ったなー...。俺女子に話しかけるのとか苦手なんだけど...。と思っていると後ろからかすかに声が聞こえた。
「...あの」
振り返るとそこにいたのは七谷海さんだった。
時刻は5:45。
いつもならアラームが鳴る前に起きていたのに...。相当熟睡してしまっていたようだ。
しかし、まだまだ眠いのであと5分だけと思い、目を閉じて寝返りを打つと、手の甲に「ぽにょん」という感覚が伝わる。
うっすら目を開けるとそこには薄着の真凛ちゃんが寝ていて、俺の手の甲は彼女の胸に乗っかっていた。
「んにぁっ...」という声とともに真凛ちゃんが目を覚ます。
「...あっ...ごめん」と、手を離そうとすると俺の手をガッチリ掴んで「いいよぉ...?わたしはぁ...」と、寝ぼけた声でそんなことを言った。
「...いや、うん...今日は大丈夫」
「...そう...」というとまた眠るのだった。
それに釣られて俺も眠るのだった。
◇
「おーい、遅刻しちゃうぞー」と、お玉で頭をコツンと叩かれる。
「...んぁ?」
目の前には制服の上にエプロンをした可愛らしい姿の真凛ちゃんが立っていた。
壁に立てかけてある時計に目をやると時刻は7時を回っていた。
「やべっ!?遅刻!?」
「だいじょーぶだよ?ここから学校は地下鉄ですぐだから!」
あぁ、そっか。
もうあの家じゃないんだ。
それに朝ごはんや昼ごはんを作る必要もない。
自分の形に沈むベッドを触る。
何ともいいベッドだ。
ぐっすり眠っていたのもきっとこの柔らかいベッドのおかげだろう。
「朝ごはんはご飯と、お味噌汁と、お魚と、お野菜です!」
「...ありがとう...」
「いえいえ!はい!朝のチュー!」と言いながら、口を近づけてくる真凛ちゃん。
スルッと、彼女を交わしてリビングに向かう。
「ちっ、寝起きならいけると思ったのに」と、呟くように低いトーンでそう言った。
ちょっとだけ怖かった。
そうして、朝ごはんを食べて、のんびりと準備をする。
朝とはこんなに余裕があるものなのかと驚きを隠せなかった。
いつもなら朝ごはんと昼ごはんを作ってから学校に行っていたので、5:45分起きがデフォだった俺にとって朝のこの余裕は新鮮そのものだった。
「はい!お昼のお弁当!」
「...ごめん、何から何まで...。やっぱり明日からは自分で「いいって!やりたいからやってるの!」と、ニコッと笑う。
このままだと本当にダメ人間になってしまいそうだ。
そうして、真凜ちゃんより先に登校するのだった。
◇
「おっ、珍しくクマがないな!それに生気のある目をしてるな!」と、清人に言われる。
「...あぁ。昨日はぐっすり眠れたから」
「そっかそっか。良かったなって、その割になんか疲れた声してんな」
「...うん」
口が裂けても言えねーよな。あの真凜ちゃんと結婚して、同棲することになったとか...。
そもそも清人は真凜ちゃん狙いだったしな。
すると、少し遅れて真凛ちゃんが教室に入ってくる。
いつもと全く変わらない様子で。
その姿を目で追ってしまうのはやはり俺も意識をしているということなのだろうか。
「おはよー!みんな!」
「おはよー!まりーん!」
そんな上級国民の戯れを下民の俺が眺めていると、「相変わらずかわええよなー。真凜ちゃん」と、清人が呟く。
「そうだな」
確かに改めて見ると本当に可愛い。
「けど、本当なのかな?彼女が結婚したのがAV俳優って話」というトンデモネタに思わず言葉が詰まる。
「...なんだその噂」
「いやー、あくまで噂だけど汐崎さん実はすげー性欲が強いって話でさ、他校のイケメンを食いまくってるって。だから、結婚したのも相当床上手だとかなんとか」
思い返せば彼女にはいつもこういうくだらない噂が付き纏っていた。実はお金持ちじゃないとか、実は5股してるとか、実は超性格が悪いとか...。信憑性の薄い嫉妬まじりの醜い噂。
具体的な名前は出ることなく、いつも噂が一人歩きしていたが、そんな噂を信じている人間はごく僅かである。
まぁ、人気になれば人気になるほどアンチも増えて、ありもしない噂が流れてしまうものだ。
「...噂は噂だろ」
「まぁな。てか、お前が誰かを庇うなんて珍しいなwさてはお前も天使様に惚れたんだな!それとも人妻好きか?」
「そんなんじゃないっての。そういう根も葉もない噂が嫌いなだけだ」
「そっかそっかw碧は昔から女には興味ねーもんなー」
「清人は女にしか興味ないもんな」
「おい、人聞きわりーこと言うな!」
そんな一つの事象を除き、いつもと変わらない日常を...送るはずだった。
◇
「修学旅行の班を決めるぞ!」と、担任の国岡先生がハキハキとそんなことをいう。
そう言えばそんな話をしてたっけ。
文化祭とか体育祭とか修学旅行とか、インキャの俺にとってはただただ嫌なイベントに過ぎなかった。
「グループは男女2人ずつの4人のグループを作ってくれ!高校生とは青春するためにあるからな!これを機にみんな恋愛をしようぜ!恋愛はいいぞー!生きる活力になる!先生も最近彼女ができてだな...」と、先生の恋愛話が始まる。
俺からしてみれば最悪の流れだった。
それは女子と組まないといけないということと、それを真凜ちゃんに見られることの二つの理由で最悪であった。
「碧は当然俺と組むよな?」と、清人が声をかけてくる。
「...いいのか?」
「何が?」
「いや、清人はいろんなやつから誘われるだろ。本当に俺でいいのかって」
「うへぇ...いつにも増してネガティブ発言...。なんか嫌なことでもあったのか?」
「いや...別に」
「俺はお前がいいんだよ。んじゃ、さっさとペアになる女の子を1人選んでくれー。俺はちなみに天使様を誘ってくるぜ!」
「...相手は既婚者だけど大丈夫か?」
「ばっか、既婚者だから諦めるなんて本物の愛じゃないぜ!」
こいつ将来、本物の愛というやつのせいで捕まりそうだな。
「んじゃ行ってくるぜ!さらば!」と、見事に去っていく清人。
恐らく真凜ちゃんが清人の誘いに乗ることはないだろう。
参ったなー...。俺女子に話しかけるのとか苦手なんだけど...。と思っていると後ろからかすかに声が聞こえた。
「...あの」
振り返るとそこにいたのは七谷海さんだった。
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