異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第百八十五話

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 嫌な予感ほど当たるのが不思議だ。宝くじには当たった事は無い。それと……
 
 
 「いつになったら首輪を外してくれるの?    僕は夫殿だよ」
 
 捕虜になり毎日の様に訴えてもアルマは首を縦には振らなかった。腰は振るくせに……
 
 もう何日目だろう。日付の感覚が無くなる。アラナは無事に白百合団と合流が出来ただろうか。みんなは無事だろうか。
 
 「そう言えば、この前の男はあれ以来だね。名前はなんて言うの?」
 
 あの一時間の激戦は個々が勝手に争い収集が付かなくなってはいたが、あのコアトテミテスの男の顔だけは覚えている。他にもアルマの腰のくびれも覚えている。背中の黒子は肩に……
 
 「あれかね。あれはダライアス・マッケナーさ。昔からの付き合いさね」
 
 顔も覚えた、名前も知った。今度、会ったら仕留める。クリスティンさんを泣かせた罪は死んで償え。今から行って来るから首輪を外せ!
 
 僕の願いは虚しく叶えられる事も無く、今日も楽しい拷問の時間だ。アルマ・ロンベルグは魔族の中では研究者らしく僕の悪魔の血や神速に興味を持っていた。
 
 研究対象の僕は血を取られたり斬られた傷が塞がるのを見られたり、魔力を流されたり吸われたり、首を絞められたり、見せ物にされたり、「されたり」、「されたり」で大忙し満員御礼、千客万来だ。
 
 夕方からはアルマとのマンツーマン研究に没頭し、いい加減に飽きないのかとアルマの性欲に脱帽する。僕は普通がいいんだ。ベッドに入り事を成し、至福の時間を過ごして朝に目が覚める。普通に、普通が一番さ。
 
 何日目かの朝日が昇る。クリンシュベルバッハが落ちてから何日が経ったのだろう。時間の感覚が薄れて行くなかで、研ぎ澄まされる感覚があった。
 
 とても嫌な予感染みた、命の危険を感じる様な巨大な何が……
 
 「アルマ、たまにはお風呂に入りたいよ。魔法で綺麗になるより、暖かいお湯に浸かりたい」
 
 僕の意見はもちろん却下だろうが、さすがにお風呂が懐かしい。日本人なら風呂だろ。露天風呂に盆に乗せた日本酒を浮かべて熱燗をキューっとやりたいねえ。
 
 「たまにはいいさ。用意をするさね」
 
 おお!    やっと夫殿の言う事を聞いてくれたか。さすがアルマちゃん。やれば出来る子だと思ってたよ。一緒にはいる?    洗ってあげようか?
 
 「首輪があると洗えないんだけど……」
 
 「それも取るさね。綺麗になるといいさ」
 
 チャンスだ!    やっと巡ってきたチャンスを物にしなけりゃ男が廃る。神速もモード・スリーまで出るのはベットで確認済みだ。殺せなくても逃げる事は出来る。
 
 僕はアルマに連れられ屋敷の地下に向かった。露天風呂ならどこからでも逃げられたのに、地下にあるなんて誰が作ったんだよ。
 
 地下に行けばそこには巨大なプールが。足を入れたら暖かい。これは温水プールか!?    なんて贅沢な!    ここをもらい受けるなんてアルマは思ってたより実力者なのか。
 
 「首輪は外すさ。でも逃げられたら困るさ」
 
 アルマが用意した足輪。チェーンで繋がった先には、持ち上げると腰を痛めそうなくらいの巨大な重りが付いていた。
 
 「これを着けるの?    両足に?」
 
 「そうさ。着けたら首輪は外すさね」
 
 古いテレビのコントに出てきそうな足輪は、僕の神速をもってしても速くは動けなさそうだ。しかも両足に着けるって僕を東京湾にでも沈めるつもりなのだろうか?
 
 だが、僕が足輪を付けられ首輪を外された時に感じた自由は何事にも変えがたかった。足は繋がれたけれど、首と手が自由になるって最高だ。
 
 「行ってくるさね」
 
 アンテッドナイトが両手で持ち上げた重りは、無造作に温水プールの中に投げ込まれた。チェーンで繋がった僕も引きずられてプールにダイブ。
 
 思っていた以上に深い。底に着いた丸い重りの隣まで沈んだ僕は底床を蹴って水面まで上がらない。いや、ギリギリ上がったか。上を向くような形で顔が少し出ている。
 
 「アルマ!    助げ、ぐろろろ」
 
 大声を出すほど、口を開けば大量の水が入って来る。バランスを崩しても大きな動きをして波を立てても、水が容赦なく胃を満たす。
 
 「あら、深かったさね。助けておやりさ」
 
 今の僕は顔の一部が出て、何とか呼吸が出来ているのを見れば分かるはずなのに、アンテッドナイトは無造作に飛び込んで高波を立てやがる。もう、気分は海底のワカメだ。
 
 アンテッドナイトは僕を肩に担ぎ上げ、温水プールでも水深の浅い所へ運んでくれた。出来れば、出来ればで、いいんだけど重りも持って運んで欲しかったよ。足だけが伸びそうだ。
 
 「わたしも入るさね。背中を流そうさ」
 
 僕は浅くなっているプールサイドで胃に貯まった物をリバースしてアルマを待った。今までで生きてきて、トップクラスに疲れが貯まる風呂だよ。
 
 風呂だと思ってみたけれど、どちらかと言えばプールに近いのかな。身体を洗うような所もなさそうだし。
 
 でも、アルマには洗ってもらおうかな。スタイルは完璧と言っていいし、後は頭の角と紫がかった裸が普通とは違うくらいでスタイルの良さはクリスティンさんに匹敵する。
 
 両手は自由だ。このままアルマの乳を揉んでもいいが、今は逃げ出す事を優先しなければチャンスを潰す。アンテッドナイトは二体。魔族は一人、出口は一つ。建物内に研究者は居たけれど問題は無い。
 
 足輪の鍵はアルマが持っていた。服を脱いで置いてある所に一緒にあるはずだ。距離にして三メートル、この足輪の先にある重りをプールサイドまで近付ければギリギリ届くかどうか。
 
 アルマは服を脱いで、歩いて近寄る姿はまるでモデルのようだ。やはり美しい女性は肌の色を超越して美しい。
 
 僕にとっては肌の色なんて気にならない。ライカンスロープのプリシラさんや亜人のアラナを相手にしている僕に、肌の色が紫だろうが白だろうが黒だろうが気にするヤツの方が変に思う。
 
 人ってのは肌の色より中身だよ。思いやりや優しさ、尊敬が出来る行動力、慈愛の心だ。切ったり、毒を盛ったり、心臓を止められたり、レーザーで撃たれたり……    あれ?
 
 とにかく!    人を外見で判断してはいけない。それは魔族でも同じだと僕は信じる。
 
 「考え事さね?」
 
 アルマは僕の前に座って背中を押し付けてくる。冷たい身体が、温水プールの温度さえも下げるかのようだ。
 
 「何でもないですよ」
 
 チャンスだ。アルマは僕に背中を見せて安心している。このまま首の骨を折って殺す。アンテッドナイトに分からない様に素早く仕留めて、重りを手繰り寄せよう。
 
 そして鍵を奪って重りを外しモード・スリーで外に出る。僕の全力なら逃げ切れる。ただ途中で服か布切れがあったら貰っておこう。草野を裸で走るのは精神的にキツイから。
 
 アンテッドナイトはどこを見ているか外見では分からない。だが、今が最大のチャンスに違いが無いだろう。殺るなら今だ!
 
 僕はモード・スリーの神速でアルマの前に手を回し乳を揉んでしまった……    違うんだ!
 
 「ここでもやるさね……    夫殿は盛んさ」
 
 だって、だって、だってなんだもん。殺す前に最後の抱擁を頂きたいんだもん。
 だって、だって、だってなんだもん。勿体ないじゃん、殺すのなんて。美しき人は人類の宝だよ。
 
 「アハハは……」
 
 アルマはこちらを振り替えって目を閉じた。チャンスだ!    これで首に手をかけるまで見えない。今度こそ折る!    ポキッと首をへし折って、プールに浮かべて漂うワカメになれ。
 
 僕はアルマに口付けをしようと顔を寄せ、胸に回した腕をほどき、抱き締め、プールサイドの奥に届かんばかりにジャンプした!
 
 僕とアルマがいた所には、屋根を突き破り天井に穴を空けトンを越える重さの岩が落ちて来た。いったい何事なのか!?   ハルモニア軍の投石でも始まったのか!?
 
 続けざまに落ちてくる巨石。逃げようにも重りが邪魔で……    おっと、切れてる!    最初の一発目の巨石が千切ったのか。後は両足に着いた足輪を鍵で外せば逃げれる。僕はアルマの脱いだ服まで両足でピョコピョコと神速で走った。
 
 鍵は手探りですぐに見つかり足輪を外した。これで自由だ、逃げられる。出口は既に塞がったが上までの開いた穴から空が見えた。
 
 神速のジャンプ!    例え一人くらい抱えてもこのくらいモード・スリーで……    あれ?    何でアルマを抱えて逃げてるんだ?
 
 「夫殿、何があったさ……」
 
 気でも失っていたのか、僕の腕の中で目が合うアルマ。目から首へ、首から胸へ、胸から足元まで目を凝らして見れば美しくも儚い紫色の肌が。けっして変な意味では無く、怪我の有無を確認しただけで変な意味は少ししか無い!
 
 「逃げるぞ!    捕まってろ」
 
 置いていけ自分。今まで何をされたか思い出してみろ。王都が落ちてからの捕虜としての境遇に恨みの一つでもあるはずだ。魔族を助けるいわれは無い!
 
 僕達がいた建物は既に巨石で崩壊し回りも岩だらけで現代アートを形作っている。空を見上げれば第二波の巨石がショットガンの弾の様に降り注ぐのが見えた。正直、何処にどう逃げればいいのか、僕はアルマと星空を見上げる……
 
 そんな場合じゃねぇ!    死ぬ気で全力疾走。抱えたアルマの重さと肉欲が腕に伝わりヤル気が出る。やる気が出る!
 
 「うおおぉぉ!」
 
 空を見上げ足元を確認しアート巨石の隙間を走った。何故だ!    何故に空中でカーブしながら僕を狙うんだ。どんな仕組みになってるか分からないが、聞いた所で「魔法です」の一言で終わるんだろうね。便利でいいね、「魔法です」って言葉は。
 
 くそっ!    キリが無い。変化球を交えた巨石はカーブやシュートを繰り出し、ナックルボールの時は心眼がなければ間違いなく死んでいた。
 
 今更ながら言うまでも無く、これはソフィアさんの「メテオストライク」だ。恐らくアラナは白百合団と合流ができたのだろう。そこでアラナは事の顛末を話し、その中で捕虜の交換条件としてアルマとの結婚の事を話したに違いない。
 
 アラナ、合流出来てるって事は無事なんだね。お陰で僕は無事に済みそうにないよ。降り注ぐ巨石の第四波まで交わしきった時になって、さすがに膝を着いた。
 
 重い……    何でアルマを抱えて逃げなければならないのか。むしろ巨石は僕を狙ってるみたいだから置いた方が安全なのだろうか。だけど女性の嫉妬は同姓に向くって言うし、ぺしゃんこになるアルマを見るのも気が引けるし、何より勿体ない。
 
 ソフィアさんもどうせ撃つならラウエンシュタインにいる魔王に向けて撃ってくれたら戦争も終わるのに。しかし第四波までのメテオストライクで終わりみたいだね。夜空に輝く星が綺麗だ。
 
 
 そして夜空から星が消えた。星が見えなくなるほどの巨石群が空を覆ったから…… 
 
 
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