異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第一話 プロローグ

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 「おぉい、ミカエル。こっち来いよ」
 
 「今、馬車を運転中なんですよ。見ればわかるでしょ。それとメンナの殻を投げるのは止めて下さい」
 
 「いいじゃねぇか、減るもんじゃなし」
 
 減りますよ、僕の少ないプライドが。 
 
 今、お酒を飲みながらツマミのメンナの殻を投げて来たのが我が白百合団の副団長のプリシラさん。口が悪くて貞操観念が低くて凶暴で姉御肌のライカンスロープ。
 
 「プリ姉ぇ、僕にも当たってるッス」
 
 僕の隣の御者席に座っているのがアラナ。女の子なのに自分の事を「僕」と言う猫の亜人。自慢の爪で戦うのが得意で猫科特有の相手をもてあそぶのが欠点な女の子。
 
 「もうすぐ着くんですよね?」
 
 この小鳥の様な声はソフィアさん。この中では一番まともな白魔導士。 普段から温厚で優しくていい人。白魔導師なのにメテオストライクを撃てる、とても嫉妬深くて殺されかけた事がある。
 
 「後、一時間くらいは掛かると思いますよ」
 
 「次は大きな街だから大きな墓場もあるである」
 
 不気味な事を言ってるのが黒魔導師でネクロマンサーのルフィナ。死体を操り、いつか僕も死体にしたいと考えてる怖いヤツ。実際に二回ほど刺された。
 
 「大きな錬金術を施せるところがあるんです~」
 
 オリエッタ。錬金術師。マッドサイエンティスト。現代で言うBC兵器や媚薬を作り、何度も僕の身体を使って人体実験をさせられた。
 
 「…………」
 
 無口。クリスティンさん。この人が話してるのを聞いた事がない。 全然喋らない訳じゃないけど話をしてるイメージがない人。プリシラさんと同じ剣士。 剣の腕前は下の下くらい。この人の場合は剣の技術とかじゃなくて最強の不幸体質。どのくらい?  目の前の相手が不幸にも心臓発作で死ぬくらい。
  
 最強、最悪の我らが白百合団。僕は団長のミカエルです。
 
 僕ですか?    この世界に転生した純粋な日本人ですよ。
 チート?    この世界の言葉が話せるくらいです。
 
 死んで転生して森に置き去りにされ、ゴブリンに追いかけられ走り回り逃げ回り、行き倒れた所を白百合団に助けられた、ただの人です。
 
 そんな僕が傭兵の白百合団の団長だって?  これには少し理由があるから、その話もしよう……
 
 「痛い!」
 
 「なに一人でブツブツ言ってるんだ。暇ならこっち来てパンツ降ろせ、喰ってやるからよ」
 
 誰が言ってるか分かりますよね?    メンナの実ごと投げつけたプリシラさんです。
 
 こんな人が団長だからまともな僕が代わりに団長に祭り上げられた訳。それでも最初に言われた時は嬉しかった。戸惑いもあったけど人に必要とされてる実感みたいのかな。
 
 「プリ姉ぇ、今日は僕の番ッス」
 
 「いいじゃねぇか、夜じゃねぇんだからよ」
 
 「明日は私の番です~。プリ姉ぇはその次です~」
 
 順番の話になってるって?    夜の性生活の話もしとかないといけないかな?    恥ずかしい話ですが助けられて元気になってから、みんなで性のパーティーになりました。
 
 もちろんオリエッタ自慢の媚薬を使って記憶が無くなるくらい、やりまくり……    やったよ。ああ、全員とやったさ。 
 
 その時はハーレムだ。世界の王だぜ。回りは美女ばかりだ。プリシラさんの戦いで培った、機能美にも似た肉体。クリスティンさんのスーパーモデル顔負けのスタイル。ソフィアさんの日本人の男なら好きな、痩せすぎより少し肉欲がある体つき。アラナの猫の亜人は新鮮だった。ルフィナの陶器の様な白い肌。オリエッタの媚薬の効果があっちこっちで爆発して下半身も大爆発だぜ!    ハッハハハッ!
 
 ……あれ以来、食べ物、特にオリエッタが出した物には注意するようにしています。
 
 今では夜な夜な順番にしてます。羨ましいですか?    代わりましょうか?    目の前でライカンスロープに変わられても平気ですか?    薬の実験台や刺されても大丈夫ですか?    
 
 
 
 ここは傭兵団です。最強、最悪で知られた白百合団と転生した団長の話です。
 
 
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