6 / 7
第六話 ご主人様のピンチ
しおりを挟む
塔を目指していた俺はようやく目的の場所に到着した。
だがしかし肝心のメイドさんの姿がない。
さっきの話だと塔の前で待ち合わせのはずだったのだが。
それと気になるのは急に頑丈院……いや、メイドさんからの通信が途絶えたことだ。
「メイドさんメイドさん、こちらご主人様です、どーぞ」
反応はない。
本当の名前を知られてしまったのが気まずいのか、あるいは機嫌を損ねているのだろうか?
ここでメイドさんに見捨てられたら元の世界に戻れるきっかけもつかめない。
どうしようかと思っていた時だった。
おかしな連中が俺に近づいてくるのに気がついた。
その姿は、使い古したアメフトの防具に身を包み、手には釘打ちバットや手製の斧が握られている。
髪型はだいたいモヒカンで、いまにも「ヒャッハー!」とか言い出しそうな勢いだ。
「汚物は消毒だ! コノヤロー!」
「種モミよこせコラっ!」
ヒャッハーな人たちだった。
ゲームの世界だからNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の決められたセリフなのだろうが、著作権とか関係ないのだろうかと余計な心配をしてしまう。
「あの、僕はツレと待ち合わせしてるだけのモブキャラなので気にしないでください。というわけですみませんが、これで失礼します」
俺は丁重に誤魔化し……いや断りを入れてその場をさろうとしたがヒャッハーたちが立ちふさがる。
「ふざけるんじゃねえ! この◯☆▢☓がーっ!」
ヒャッハー1号が、ピー音の入る罵声を浴びせてくる
「てめえ、◯☆して☓▢して☆◯するぞ! コラぁ!」
ヒャッハー二号が続けて言う。
その背後では、他のヒャッハーたちが肩を揺らせて立っている。
このNPCめ……好き勝手に言いやがって。でも相手は武器(しかも痛そうな)を持っているし、戦闘はしたくな。みたかぎり典型的ザコキャラだし、おそらくチュートリアル的に設定された敵だろう。
戦闘力は低いはずだが、俺には対抗する武器がない。手に持っているのは鉢植えだけだ。頭に殴りつけることはできるかもしれないが、武器にはならないだろう。どうしよう……。
「このやろー! くたばりやがれー!」
ヒャッハー3号が鉄製の斧を振り上げて俺に襲いかかってきた。
もうだめだ! そう思ったときだった。
「あなたたち、わたくしのご主人様に何をしているのですか!」
振り下ろされた斧が弾き飛ばされ、目の前には刀を構えたメイドさんが立っていた!
「ごしゅじんさま……いえ、マスター。もう大丈夫です! あとはわたくしにおまかせください」
メイドさんはそう言って刀を振り上げた。た、たのもしい!
だが、相手は所詮は雑魚キャラ。おそらくメイドさんの相手にはならないだろう。
「かかってこい!」
よし、やっておしまいなさい! メイドさん!
「魔王よっ!」
「って、ザコキャラじゃないのかよっ!」
俺は思わず叫んでしまった。
だがしかし肝心のメイドさんの姿がない。
さっきの話だと塔の前で待ち合わせのはずだったのだが。
それと気になるのは急に頑丈院……いや、メイドさんからの通信が途絶えたことだ。
「メイドさんメイドさん、こちらご主人様です、どーぞ」
反応はない。
本当の名前を知られてしまったのが気まずいのか、あるいは機嫌を損ねているのだろうか?
ここでメイドさんに見捨てられたら元の世界に戻れるきっかけもつかめない。
どうしようかと思っていた時だった。
おかしな連中が俺に近づいてくるのに気がついた。
その姿は、使い古したアメフトの防具に身を包み、手には釘打ちバットや手製の斧が握られている。
髪型はだいたいモヒカンで、いまにも「ヒャッハー!」とか言い出しそうな勢いだ。
「汚物は消毒だ! コノヤロー!」
「種モミよこせコラっ!」
ヒャッハーな人たちだった。
ゲームの世界だからNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の決められたセリフなのだろうが、著作権とか関係ないのだろうかと余計な心配をしてしまう。
「あの、僕はツレと待ち合わせしてるだけのモブキャラなので気にしないでください。というわけですみませんが、これで失礼します」
俺は丁重に誤魔化し……いや断りを入れてその場をさろうとしたがヒャッハーたちが立ちふさがる。
「ふざけるんじゃねえ! この◯☆▢☓がーっ!」
ヒャッハー1号が、ピー音の入る罵声を浴びせてくる
「てめえ、◯☆して☓▢して☆◯するぞ! コラぁ!」
ヒャッハー二号が続けて言う。
その背後では、他のヒャッハーたちが肩を揺らせて立っている。
このNPCめ……好き勝手に言いやがって。でも相手は武器(しかも痛そうな)を持っているし、戦闘はしたくな。みたかぎり典型的ザコキャラだし、おそらくチュートリアル的に設定された敵だろう。
戦闘力は低いはずだが、俺には対抗する武器がない。手に持っているのは鉢植えだけだ。頭に殴りつけることはできるかもしれないが、武器にはならないだろう。どうしよう……。
「このやろー! くたばりやがれー!」
ヒャッハー3号が鉄製の斧を振り上げて俺に襲いかかってきた。
もうだめだ! そう思ったときだった。
「あなたたち、わたくしのご主人様に何をしているのですか!」
振り下ろされた斧が弾き飛ばされ、目の前には刀を構えたメイドさんが立っていた!
「ごしゅじんさま……いえ、マスター。もう大丈夫です! あとはわたくしにおまかせください」
メイドさんはそう言って刀を振り上げた。た、たのもしい!
だが、相手は所詮は雑魚キャラ。おそらくメイドさんの相手にはならないだろう。
「かかってこい!」
よし、やっておしまいなさい! メイドさん!
「魔王よっ!」
「って、ザコキャラじゃないのかよっ!」
俺は思わず叫んでしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
銀河文芸部伝説~UFOに攫われてアンドロメダに連れて行かれたら寝ている間に銀河最強になっていました~
まきノ助
SF
高校の文芸部が夏キャンプ中にUFOに攫われてアンドロメダ星雲の大宇宙帝国に連れて行かれてしまうが、そこは魔物が支配する星と成っていた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
無記名戦旗 - no named warbanner -
重土 浄
SF
世界全てと重なり合うようにして存在する電子空間メタアース内では、今日も仮想通貨の覇権戦争が行われている
そこで戦うのは全ての市民、インセンティブにつられて戦うギグソルジャー(臨時雇い傭兵)たちだ
オンラインARゲームが戦争の手段となったこの時代で、いまだ純粋なプロゲーマーを目指す少年、一色空是はその卓越した技能ゆえに戦火に巻き込まれていく…
オンラインと現実の境界線上で起こる新しい世界戦争。それを制するのは、ゲームの強さだけだ!
(他サイトでも連載中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる