美・逆転世界

山光海闇

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彼女探しオーディション

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【欲望のオーディション】



亮介サポーターオーディション番組の会見を終えた美麗がやって来た。


「オーディション早くしたいって事だけど、募集は明日で打ち切りにする?」


ニヤけたユミカが僕の好みを話し出した。


「それが、聞いてよ美麗ちゃん!亮介はなんとブス専になりました。しかも極度の…」


「なにそれ…?」


「それがその、記憶が戻ってから何か違和感を感じてたんだけど…どうも美的センスが皆と逆と言うか僕にとっての美人がみんなにとってのブスなんだ。当然僕は自分の事もブサイクだと思ってる」


「はっ、はあぁ~~!!! それじゃー、あんたまさかユミカがブスだとか言って別れるって言ってんじゃないでしょうね!」


「美麗ちゃん、それは私から言い出したの…いろいろ考えてそれがお互いのためだって」


「そう…まぁ……2人が納得してればそれで良いけど」


「それに美人とブスが逆だって話しも今聞いたのよ…別れて良かったブスだと思われてるんだから」


僕を見つめる美麗が、怒った顔のまま話し出した。


「オーディションには世界中から美女が集まるのよ…それをあんたブスばかり選ぶつもり!」


「いやいや、それはユミカとも話したけど美人とブスの半々で10人選ぶつもりだから」


「ん~~それなら何とかなるか…」


ユミカが、さっきの画像を美麗に見せる。


「ほらほら、これ見て亮介この子が可愛いんだって」


ギャハハハハッハァー!!


画像を見て爆笑する二人。


つくづく異次元の世界に来たんだと痛感した僕は…ブスのはしゃぐ姿に前の世界への未練を少し感じた。

 神様には、もう会えないんだろうか…この逆転世界には驚きだが神様が居たことも凄まじい驚きだ。




あれから随分と話し込んで、サポーターの募集は日本時間の明日までにした…SNSの応募は、すでに10万人を超えていた。






SNSの募集を締め切りTV局で選考が始まった。美麗はコントラストと言う意味で極度の美人とブスを半々で選択するよう指示した。




TV局ではAIの顔認証システムやスタッフの見事な情報処理能力でサポーター候補は100人に絞られ資料が僕の下に送られて来た。



「スゴイ! 想像以上だ」


送られた画像を見て驚いた、美人とブスが50人づつ見事に揃えられてる。中でも僕が注目したのは厚化粧の子だ…

 逆転世界のメイクだから化粧を取ったらどんなに可愛いか、それが僕に会いたくてやってくるなんてワクワクが止まらない。

 


番組は一次二次三次と3日連続で放送されサポーターを決定する。






そして一次審査当日がやって来た。僕達はまた第一会議室に集まる。


「二人とも候補を10人に絞って」


「今日でそんなに落とすの?」


「合格者は10人…帳尻が合えば構わないけど…こっちでバックボーンを調べるのに数が多いと大変だから、なるべくそうして」


「そうか…ヤバい奴も居るかも知れないか」


「ねぇ…」


ユミカが、いつになく険しい顔で喋り出した。


「美麗ちゃん、桜が居るけど知ってたの」


「…ごめんねぇ、これだけのビッグネームを落とす訳には行かないのよ」


「ふんっ! 私が審査員だって知ってて応募してくる何て良い度胸ね」


「視聴者はあんた達の戦いにも注目してるわ…一時間前ぐらいかしら桜がオーディションに応募した事をツイートしたわよ。今ごろ検索ワードのトップなんじゃない」


「えっ、誰それ?」


「簡単に言うとユミカのライバルかな」


「冗談じゃない、あんな奴相手にしてないわ!」


語尾を荒げるユミカを見て、僕はユミカの天敵が桜だと悟るとまたやな奴が発動してニヤけてしまった。


「笑ったわね、殺すわよ!」


「すっすいません」


「ユミカの前で桜の話はタブーだからね」


美麗が僕に忠告してきたが、明らかに視聴率のために桜を最後まで残そうとしている感が否めない。



… こりゃあ、可愛い子の他でも楽しめそうだな …



ユミカは新たな飛躍を美麗は最高視聴率を亮介は彼女とセフレを求め…それぞれの思いがオーディションの幕開けをまつ。






サポーターオーディション

一次審査当日ニジTV局



特番のセットは金が掛かってると分かるが僕には陳腐に見える…

 全体に黄色と青で作られたセットはセンスを疑う…でもきっと一流のクリエイターのデザインに違いない、元の世界なら確実に底辺クリエイターだ。

 スタジオセットや逆転世界のBGMでは盛り上がらないが、僕は燃えていた、そう股間を中心に邪悪に燃えていた。


… ついにこの時が来た…思えば神様と出会ってから1週間あっという間だったけど、この逆転世界で好みの女とヤレる!しかも5人だ…元の世界だったら風俗嬢にもキャンセルされた事がある伝説の男… だが今日は、僕を目当てに世界中から美女がやってくる僕とやりたくて…新たな伝説の始まりだぁ~~! …




僕は、控え室には入らずにニジTVで一番高級な造りの第一会議室へと自然に向かった…少しづつだがそういったVIP的な事が身に付いて来た。

 会議室に入るとユミカと美麗が揉めている感じだった。



「視聴率何て、せいぜい1%も変わらないわよ!」


「貴方にとっては、せいぜい1%でもあたしにとっては大問題なの!」


「大問題!? でも、私が嫌がるのは美麗ちゃんにとって大した問題じゃないって事ね!」


「落ち着いて聞いて…感情的には桜なんかどうでもよくて、あたしにはユミカが大事な友人よ…でも、これは番組なの!お願い…感情論を挟まないで…」


美麗は言葉に強弱を付けて話している。どうやらユミカを説得している様だ。


「感情を挟まなかったら他の局でやっても良かった企画よ!それでも感情は関係無いかしら」


「分かったわ!」


美麗が僕を見て話し出した。


「ちょうど亮介が来たから、主役に決めて貰いましょう。あんたの言う感情論で言えば彼に一番権限があるわよ…」


黙るユミカ。


「OKって事ね」


「ちょっと、どうしたの仲良しコンビだと思ってたけど?」


「ユミカに桜を最終選考まで残してくれって頼んだら、今日落とすって聞かないのよ」


「天敵かぁ~」


僕の言葉にユミカが即反応して噛みついてきた。


「相手にもしてないって言ってるでしょ!」


だいぶヒステリックになっている…ユミカと桜の間で何があったのか気になった。



「桜って子は、僕が審査するよ…落とすか残すかは僕が判断する…だから今はまだどちらとも言えない」


「どう?あたしは亮介に任せる…ユミカもそれで良いわね」


「分かったわよ…」



僕は、桜なんてブスどうでも良いが、ユミカの過剰反応が面白いから最後まで残す事にした。





オーディション開始

スタジオに集まった100人の美女とブスは圧巻だ。

 オープニングは僕のVTRから始まった…派手に編集されたVTRにみんな釘付けになる。



激しいサイレンと爆発音、フラッシュの嵐の中、特大モニターに映し出された僕が喋り出す。



 僕は何者なのか…


  僕は何を目指してたのか? 


 僕は僕を失ってしまった…


だから今日は…

 僕をよく知っていて僕の進むべき道を示してくれる様なサポーターを探しに来た…


 それが…君なのか…




自分で見ても気持ち悪いこの映像がカッコいいらしく歓声が止まない。



 「記憶喪失の山神亮介をサポートするのは誰だぁ!!」


サイレンに負けない声量で叫びだした司会者。


 「100人の才女が神山亮介のサポーター目指して今宵、競い合う!合格者は10人の狭き門を潜り抜けるは誰だぁ!!

 世界が注目するオーディション・スタートォーー!!!」



先ずは、自己PRが始まった。ユミカは、真剣に聞いている様に見えるが僕は女の子の素っぴんが気になってしょうがない。


歌や踊りでアピールする子も多い。まるでアイドルのオーディションだが大半はこれを足掛かりにスターを目指してる子達だ。


そしてとうとうユミカの天敵、桜の番が来た。桜が話し出す前にユミカが早くも噛みついた。


「私が審査員のオーディションによく来れたわね…」


「貴女に審査されるつもりは無いわ、私は亮介君が審査員だと思っているから」


「貴女がどう思おうと私は審査員…あんたは合格出来ない」


「私は亮介君のカリスマ性を買ってるの…少しでも早く記憶を取り戻したい。
 ユミカの事などどうでもいい…世間に誤解されても構わない亮介君にはそれだけの価値がある…だから側でサポートしたい…それだけよ」



純粋に亮介のカリスマ性を惜しんでオーディションに参加したと、答える桜には潔さがあった。

 打算や下心は感じさせないPRは世間の好感度を上げただろう。


 少しのやり取りだが、桜の好感度が上がり自分の好感度が下がったのを感じ取ったユミカが態度を変えた。


「桜…最初に変な事を言ってごめんなさい。貴女の本心が知りたくて…桜が亮介を本気で心配してるのが分かって嬉しいわ」


… さすがユミカ、桜に部があると分かったら直ぐに桜側について自分がどれだけ僕を心配してるかをアピールしてきた …



そしてお待ちかねの時が来たぁ!厚化粧の子だ。逆転世界のブスは元の世界のブスと一緒で余り化粧してない…でもそんな中凄まじい厚化粧の子がいた、それは何故か…考えられるのは独特の世界観を強く持っているか逆転世界では信じられないぐらいブスでお面バリの化粧をしてるかだ。

 逆転世界で信じられないぐらいブスなら元の世界で信じられないぐらい美人と言う事になる、僕にとって最大の関心事だ。


彼女は僕の事をどれ程知ってるかアピールしてきた。そんな私だからこそ役に立つと言う論法だ。



「最初にそのメイクは、ファッションですか?」


僕の質問にスタジオが爆笑!彼女も笑った。みんなは、僕が彼女を揶揄したと思ったのだろう…僕はいたって真剣だった。



「すみません、面白いでしょ。でもメイクなしだと顔がヤバすぎてテレビNGになっちゃうんでやってます」


「さっきの質問、ちょっとウケちゃったけど…単純に何らかのポリシーとかあるのかと思って聞いただけなので気にしないで下さい」


「分かりました」


ユミカが質問する。


「亮介君に詳しい様ですね」


「はい、亮介さんクイズがあったら優勝する自信があります」


「それは、記憶の無い亮介君には力強い味方ですね」


「私がサポーターに選ばれれば過去の事で亮介さんを迷わせる事はありません」


「ありがとうございます」


「最後に…立ち上がって1周回って下さい」


… スタイルよし。後はどうやって素っぴんを確認するかだな …



ユミカが僕を睨む、何で1週させるのって事だろう。スタジオも何の意味があるのかとざわついていた。



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