双姦関係協奏曲

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第三章 喪服の母

突然の不幸

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それは突然のことだった。兄の拓也が交通事故で死んだ。葬儀会場では白菊や百合の花に囲まれて拓也の遺体が安置されている。突然の兄の死に何も対応ができずに黙々と葬儀場で通夜が行われている。通夜ぶるまいも終わり、参列者の人間も一時間ほど酒や料理などを飲み食いした後、会場をあとにする。残されたのは、喪主である母の真由美と息子の巧、そして、叔母の真奈美だった。今日は残り、棺守りをしなければいけない。線香を絶やさずに「誰が順番につきそうか?」を話している。

黒い喪服をきた母の真由美はぞっとするほど、美しかった。
それは、息子の拓也を失ったことによるショックを隠しきれない憔悴した母としての顔と、頼りにしていた男を失った女の顔という二重の仮面を隠していた。通夜の準備、対応、喪主としての挨拶など、行うことは多忙をきわめて疲労の色が如実に出ていた。だが、頑として「拓也の棺守りは離れない」という。それは、女としての愛が滲んだ意志だった。
 白い菊と百合の花が白木の祭壇をつつんでいる。他に少年の愛したいろんなカーネーションも献花されている。白いカーネーションの花言葉は「純潔の愛」「尊敬」「あなたへの愛情は生きている」である。赤い母の日に贈られるカーネーションの花言葉は「母への愛」である。色は違えど、母を愛していた少年の最後を飾るにはふさわしい花といえた。もっともそのことに気づいている人間は少ない。だいたいの人間は「純潔の愛」のほうを想像する。少年が愛していた花の一つは赤いカーネーションだったのだ。
 白木の祭壇に透かし彫りが施されている。その意味は、「あまりに急な葬儀なので、塗を施す時間がなかった」というメッセージを伝えるためである。拓也の事故はあまりりも不意で急なことだった。遺影台の中で兄が楽しそうに笑っている。それは、この会場の中では違和感を覚えるほどに陽気な太陽の様な笑顔だった。遺影はあらかじめ準備してない限り写真からつくられるのだが、拓也の写真はどれも満面の笑みであり太陽の様な明るいものだった。悲しみや憐憫、悲嘆や不満などとは一切関係なく育ったというような人生の時間が拓也のアルバムには刻まれていた。対照的に、弟の巧は「自分が死ぬときの遺影は小難しいものになるのだろうな」と思う。だいたい映っている写真のほとんどが内省的なものであり、どこか陰りを帯びている。兄の太陽に対比されるように現れる月の様なものといえた。月のように陰鬱な笑顔の写真を残すわけにはいかない。だから、遺影になるのは「どこか奥歯にものが挟まったような複雑な表情になるだろうな」と巧は兄の遺影を見た時に最初に思った。位牌台には白木位牌がおかれている。そこには、亡くなった兄の戒名、俗名(橘拓也)、享年(20)と書かれている。周りの親族たちはあまりの早すぎる兄の訃報にため息をついたし、母親である真由美の悲嘆はもっと激しかった。しかし、一方その弟である巧はすごく冷静に見ていた。ある意味で、一番良い時期に兄は死んだのかもしれない。それは動物として美しい一番の絶頂で死んだということである。年をとって生きることが悪いとは言わないが、多くの場合それは老化であり、すなわち劣化である。もっとも美しい時に死ねた兄は幸せだったのではないかということと、同時に彼のほの暗い思考の中には「早く兄が死んでくれてよかった」という歪んだ喜びがあった。このまま、いったらいつ自分が兄に対して殺意を抱いて実行に移したかわからない。それほど、20年という歳月は巧にとって長く厳しい歳月だった。母の愛という太陽を一心にあびてすくすく育つ兄拓也、一方日陰で強大な兄という木に日差しを遮られながら陰樹のように育った巧がいた。当たり前だが、陰樹であっても光が少ない方がよいわけではなく、光の当たる部分に葉を伸ばさなければ成長がよくない。最終的には高木層に出て林冠(森林全体で見れば、一番上の面に枝と葉が集中した層)に枝を広げることで生存が維持できる。つまり、そのことは巧の中では兄の殺害ということになっていた。自分より上にある大木(拓也)があった場合、その下で枝を広げ、上が開くのを巧は待つことになる。陰樹にとっては、もし林冠が何らかの理由で空けば、そこに伸び出して成長を続けるが、空きが出来ない場合、十数年で力尽きる。だから、生存をかけた勝負であり、それはとりもなおさず兄の死をどこかで望んでいたということだ。
供物台には蓮の花の彫刻が施されている。供物台には和菓子・半生菓子・洋菓子・りんごが飾られている。和菓子は仏壇に供えられるお菓子で、定番なのが砂糖菓子だ。盆菓子とも呼ばれ、菊や蓮の花を象っている。また、落雁は高貴な人物しか口にすることが出来ない貴重なお菓子で、そのため、仏様には最上のものをお供えしようという思いから、落雁は供物用のお菓子として代表的なものになった。その落雁が綺麗に並べられている。そして、半生菓子はどら焼きやまんじゅうなどがおいてある。これは拓也の祖父などが好きだったものだ。親族の連中がそれを覚えていてたくさんもってきた。それと、故人の好きだった洋菓子が飾られている。具体的にはクッキー・マドレーヌ・フィナンシェ・パウンドケーキなどである。いずれにしても、その量自体がたくさんあり、それは彼が多くの人に愛されていたことを象徴している。その様子をみて、あまりのお菓子の多さに巧は胸やけを覚えていた。 巧は自分の葬式にはリンゴだけを飾ってほしいと思う。もっとも誰か葬式を行ってくれるのかどうかすらわからないとこの男は思っているが、とにもかくにも葬儀を行い誰か供物をくれるのなら、彼は迷うことなくリンゴを望むだろう。理由は、リンゴは西洋のヨーロッパでは禁断の果実であり、アダムとイブが楽園を追放されるもとになったからだ。「禁断の果実」という語は、不法・不道徳・有害な快楽や耽溺を表すメタファーとして使われる。特に、人間の性に関連する快楽に関連付けられる。だから、自分にぴったりだと思われるのだ。
 龍の彫刻などが施された灯篭がついている。巧は昔のろうそくの灯りが好きだった。断っておくが、巧は物理の電気の世界も好きなのだ。なぜなら、巧は揺らぐのに心惹かれるからだった。物理学において、ゆらぎとは、広がりまたは強度を持つ量(エネルギー・密度・電圧など)の空間的または時間的な平均値からの変動を指すことである。つまり、具体的には蝋燭の熱エネルギーなどの変化といえた。巧は物理の世界でいえば、熱力学も好きだし、アナログの周波数の世界が好きだった。周波数とは波であり、波とは電気や音であり、音とはすなわち音楽である。つまり、蝋燭の灯りのように揺らぐのである。波は揺らぐのである。海のさざ波の音が揺らいでるようにである。そして、この男にとって、女がどんなふうな音色で鳴くかにすべての集中が払われていた。彼の男としての興味は女がどんなふうに揺らぐかに注視していた。心が揺らぎ、快楽に揺らぎ、絶望に揺らぎ、倫悦に揺らぎ、希望に揺らぎ。上がっては下がり、下がっては上がる。その感情の揺らぎが、女の中で好きと嫌いの間をまるで、メトロノームの振り子のように左右に揺れる。音楽で言えば、ジャズのブラシでスネアドラムを軽く上下に叩いたり、ヘッドを撫でるようにこすって演奏したりするということだった。上下に女の臀部を叩くときに女はドラムのように軽い悲鳴をあげる。それは、快楽だったり、痛みだったりする。またしても、女はメトロノームのように希望と絶望の間をいったりきたりするのである。そのそういう感情のギリギリのきわで、打擲を楽しむ。身体を破損するかもしれないというリスクとスリルが女にドキドキとした充足感を与え、恋愛の錯覚を生み出す。そのことが、ある種の心の開放に繋がる人間もいる。あるいは、スネアドラムという女の臀部を人間の手というブラシの指先のヘッドで擦るということは、女の臀部を優しく繊細に撫でまわすということである。もっちりとした豊臀を撫でまわすときは、叩くときとは打って変わった何か愛着を感じる独特の撫で方をこの男はするのだ。そのことが、たまらく女たちを愛欲の世界に駆り立てる。それはたしかにある種の愛なのだ。物を愛してるという愛なのだ。そして、こするということは物理で言えば摩擦であり、この少年は女の淫部を摩擦でこすることも愛していた。特に、女の縦に割れた牝弦を肉指揮棒でこするときの快感を愛していた。もっとも、それは、物理的、あるいは、肉体的な側面だけで精神的な愉悦を伴わない。巧にとって愛するということは精神的には狂うということであり、歪みだった。彼は「いつだって牝楽器がこわれてしまうのなら、壊れてしまえ!」と思いながら、弾いていた。大切にしていないわけではない。だが、どのような楽器にも耐久性に限界があるように、あるいは、全てのものが有限であり、儚いように少年はその命の儚さや狂気を愛していた。ものと書いたが、ものとは人間も含まれている。人間は有機物である以上、肉体の限界からは解き放たれない。それは、兄の死からも理解していた。いや、ひょっとすると女性の絶頂は違うのかもしれない。女性は絶頂する時に意識が漂白する。それは、自由への旅立ちであり、仮想的な死ともいえた。そして、仮想とはいえ、命の散り際は美しかった。生きているのか死んでいるのかわからない。その揺らぎ。その美にこの男は夢中になっていた。そして、その狂おしい感情の嵐だけが、巧の中に生きているという充足感を与えてくれた。
喪服姿の母である真由美と黒いスーツを着こんだ叔母である真奈美が斎場で話している。真奈美は黒い布製のパンプスを履き、ストッキングは肌色のストッキング、手には布製の黒いバックをさげている。メイクはナチュラルメイクであり、首筋には「涙を表す」とされる白いパールが光っている。
「姉さん、あんまりにも死ぬのが早かったわね。拓也……」真奈美が拓也の亡骸を御棺の中に見ながら言う。拓也の棺の中で菊・百合・カーネーションがおさめられている。蝋燭の灯りがゆらゆらと揺らいでいる。
「そうね。」睫毛を伏せながら真由美は答えた。真由美は真奈美の顔を見つめながら答える。今残された身近な者の一人が真奈美だった。悲しみを告げたい。心を開放したい。だが、うまく言葉にでなかった。
「こうしてみてると、御棺の中の拓也は眠っているようね。」真奈美は死んだ剥製のように美しいこの少年を見つめる。まるで、自分のご主人様である巧の寝顔のようである。もっとも、この少年はもう二度と起きない。そのことがなぜか、真奈美は少し愉快だった。姉に勝ったかのような優越感をもたらした。
「うん……」真由美は拓也の死に顔を見つめている。まだ、現実的に拓也の死をうまく咀嚼できていない。真由美は「自分がいつ拓也の父の死を受けいられるようになったか?」に思いを馳せていた。長い時間と、拓也という愛する牡の存在があったから、忘れられたのだということを思い出す。
「どうして死んじゃったのかしらね……」真奈美は少しばかり心外そうに話す。だが、それは表象的なものであり、真奈美の奥底にはほの暗い喜びが複雑に彩られている。もっとも、拓也の死を上手く受け入れられない真由美はそこまで読み取る力はない。
「そうね」真由美は悲しみを押し隠すようにうなだれている。物言わぬようになった拓也の肢体は何の言葉も発さない。いつもはこんな悲しい時に声をかけてくれたのは、自分がいつも愛してきた拓也なのだ。
「こんなに愛されていたのに……」真奈美は演技がかった声で話し始める。まるで深く同調するような声である。それは、姉の精神を蹴落とすために仕掛けた妹の奸計だった。
「そうね、お葬式にもあんなにたくさんの人が来てくれて……拓也はたくさんの人から愛されていたわね。」
真由美はそんなことには気づかずに、妹の言葉を深く受け止めている。真奈美は葬儀にやってきてくれた親戚や拓也の友達の多さなどを思い出す。そして、それは真由美に拓也が愛されていたという事実を与え、一抹の寂しさを消してくれる。
「花も見て、こんなにたくさん!!!いっぱい、いっぱいあるわ。」真由美が嬉しそうに語る。咲き誇る花の数が「この少年がいかに愛されていたか?」を容易に想像させた。花の数だけではない。葬儀に参列した者の数が少年の人望と仁徳を物語っていた。
「愛されていたのね…」真奈美と真由美は二人は深く共感しあっていた。姉妹としては珍しいほど深い共感だった。ただし、それは平行線のように決して感情が交わっていた状態ではないことを真由美は知らない。そして、ここかから真奈美は姉に対する復讐の言葉の針を優しく向けていく。
 
 真奈美「きっと姉さんが、依怙贔屓していたから神様が姉さんから拓也を奪ったのね。」
真奈美はつぶやくように言った。しかし、それは物事の核心を突くような重たい発言だった。真由美の言葉が静かな空間の中を支配する。蝋燭の灯りが時間の流れを差ししめしていた。
真由美「依怙贔屓?」
真由美は不思議そうに小鳥のように首をかしげる。真由美は戸惑う。深い共感の中にいた真由美は一瞬拓也を喪失した痛みを忘れる感情の世界から理性の世界に引き戻されて戸惑ったのだ。
真奈美「そうよ。叔母の私から見ても、ちょっと異常なくらい姉さんは拓也をかわいがっていたわ。」真由美は面白いものでも発見した子供の様な無邪気な顔でつぶやく。子供は時に残酷であり、真実をつげる役割を果たす。それを真由美は果たしていた。
真由美「え?そっ……そんなことはないわよ。」
真由美はどぎまぎしながら応える。それは、身に覚えのあることだったからだ。子供の頃は拓也も巧も平等に育てたつもりだった。ただ、自分の夫が亡くなり、心が空白となり、そこに拓也との男の女の関係が持ち込まれるとその平等に見えた均衡は脆くもくずれさり、巧にあまり関心をしめさなくなった。拓也にどのように見られているかがもっぱら真由美にとっての女としての関心であり、それは巧にとっては母の不在と同義であった。
真由美「そ…そうかしら…」
真由美は思い当たる節を思い出すと目を伏せて自覚する。真由美は拓也を男として愛していたのだ。そして、巧への愛情はその分だけ薄くなった。
真奈美「拓也が死んだのは姉さんのせいかもね…」
真奈美は鋭い言葉を放つ。真奈美にだって拓也に対する愛着がまったくなかったわけでない。現に同じ顔をした巧を愛しているのだ。ただ、拓也よりも巧を愛しているだけで叔母として拓也をまったくかわいがっていなかったわけではない。
真由美「私の……せい……」
呆然とする真由美。真由美の罪の意識が頭の中でぐるぐると輪環状に回る。それは禁じられた愛に愉悦を注いでしまった牝としての罪の概念だった。真由美はその罪の輪環にとらわれている。
真奈美「ごめんなさい。姉さん…言い過ぎたわ…」
真奈美は冷静さを取り戻して詫びたふりをする。真由美は、罪悪感の中にいるからそのことに気づかない。真奈美は内心ほくそ笑んだ。
真由美「うんうん……あなたが悪いんじゃないわ。」
真由美は疲れで青白かった顔を一層青白くさせて答える。姉として精一杯務めなくてはいけない。その責任感が、真由美を現実につなげ止める。
「ごめんね。姉さん。疲れたわ。先に、休むわね。姉さんも休んでね。」
そう真奈美は告げると、祭壇をあとにした。残されてのは、精気を失った真由美と亡骸の拓也だ。色とりどりの献花が皮肉気に咲いている。だが、この花々も切られている以上は生きながらに死んでるとしか言えない。その中で、死んでるのか生きてるのかわからない表情を母は浮かべている。その様子を見ていた巧が入れ替わりに入ってくる。
真由美は巧の顔を認めると少し微笑を浮かべた。それは、安堵の笑みであり、安らぎの笑みでもあった。真由美は巧を信頼していた。
巧「母さん。疲れてない?」
巧は少しばかり不安そうに聞く。この男なりに、母親のことを心配しているらしい。巧の気遣いが真奈美には嬉しい。
真由美「ありがとう。今のところ、だいじょぶ。」
真由美は弱弱しく笑う。真奈美は正直な気持ちを吐露することをさけた。安堵といっても、それは拓也に対して行っていたような盲目的な信頼ではない。むしろ、どこか半透膜のように甘えがうまくいかないという状態だった。
巧「もう、家族は僕たち二人だけだね。」
巧は静かに言う。巧の言葉は静かだが、厳かな力強さを含んでいた。それは、真由美が巧に感じた初めての力強さだった。母として、真由美は息子の成長に少しばかりの嬉しさを感じる。
真由美「そうね。」
真由美は微笑んだ。それは、先ほどの巧が入ってきたばかりの時とはいくばくか違う笑みだった。花に水が必要なように巧の言葉が真由美の心の砂地にしみ込んでいく。
巧「僕たちは家族なんだから、支え合っていかなくちゃね。」
巧は噛みしめるようにつぶやいた。巧の発言は棺の周りを支配した。巧の声が真由美に届くと母は不思議な安心に包まれた。それは、拓也とは違ったものだった。
真由美「うん。」
真由美はこのとき巧がいてよかったと思った。真由美も巧の言葉を噛みしめるように深く頷いて受け入れる。それは、「母一人、子一人になってしまった。」と真奈美に認識させた。
「母さん、ごめんね。少し寝にいってくる。担当通り、最初は母さんがお願いね。」そういうと、巧は兄の棺をあとにした。
 
 巧「どうして?母さんにあんなこと言ったんだ?」
巧にしてはえらく取り繕っていない声だった。だが、先ほど母にかけた音とはまったく別質の音である。明らかに、不快であるという響きを含んでいた。
真奈美「あんなこと?」
真奈美は少しばかりうかがうように巧を見る。巧は眉をひそめて、真奈美を見ていた。真奈美は巧が本気で怒っていないということを長年の経験から推測する。
巧「母さんが兄さんを依怙贔屓していて、だから神様が母さんから兄さんを奪ったってこと……」
巧が指摘する。先ほどとは打って変わって冷静な声だった。いつもの真奈美を超然と支配するような牡の声が叔母の耳元に響いた。
真奈美「ああ……あれは……」
真奈美は艶然と微笑む。何か至高の快楽を見つけた表情を浮かべる。真奈美は普段巧の前で見せる媚びた牝の匂いとは異質の敵を狩る牝獣の匂いを浮かべた。
巧「あれは?」
巧はなおも、冷たく問い詰める。こちらのほうが、本来のこの男の性質なのだ。つまり、感情をあまり表に出さない氷の男である。
真奈美「巧様が可愛そうだったから、あの女にわからせてやりたかったの…それと……」
真奈美は媚びるように甘えた声をだす。それは、主人に非礼をわびるものだったが、態度はまったく解離して詫びる気がないものだった。
巧「それと?」
巧が怪訝な声をだす。巧は巧なりにこの牝を支配していた。だが、次の言葉は彼に対する挑戦だった。
真奈美「ご主人様にはもう一人、性欲処理楽器が必要でしょう?」
真奈美は下唇をなめ挙げるととても淑女とは思えない表情をした。真奈美は暗に母親も性欲処理楽器にするべきだといっていた。それは、主人の巧からすると明らかに越権行為だった。
巧「勝手なことをするな。俺は楽器を弾くのは好きだが、いつ、どこで、どれを弾くかは自分の自由だと決めている。それに誰を楽器にするのかも、俺がきめることだ。」
巧という氷の男が一瞬で融解した。溶けてマグマが一気に吹き出るように怒りを珍しくあらわにする。「今度こそ、謝らなければならない」と真奈美はすべてを悟る。
真奈美「知っていますわ。ごめんなさい。」
真奈美はそういうとご主人様である巧の唇に許しを求めてキスをした。
 
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