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1章

38。熱中症?

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「え……あ……?シアン?」


強く押し過ぎた?!と慌ててそちらを向くと、シアンの様子がおかしかった。
はあはあと荒い呼吸を繰り返して、顔が真っ赤に染まっている。

すぐ横を見るとマゼンタも同じように苦しそうに息を吐いていて、ぐったりとしていた。
顔も首も全体的に赤くて、慌てて紅潮した耳を触るとかなり熱いーーって熱すぎない?


ーーえ、まさか熱中症、とか?
確かにまだ九月で暑い時期だし、部屋の中も多少熱がこもっているけど。でも水分ならさっきからたくさんお茶をーーって、お茶はカフェインがあるから水分補給にならないのだっけ?

ええと、落ち着け。まずどうしたら良いのか……とりあえず冷やさなきゃ?ああもう、やっぱり氷持ってきとけば良かった!


慌てて窓を開ける。外はまだ明るいが、少し涼しい風が入ってきた。

「シアン、マゼンタ、待ってて!冷やすものを取ってくるわ、すぐに戻るから!!」
廊下に出て、開けっ放しのドアから叫ぶと走り出す。


どうしよう、どうしよう……!なんで気づかなかったの、あんなに熱くなってたのに!


さっきまでとは別の意味で涙目になりながら、階段を駆け下りる。


昨日の今日でこんな事になるなんて!やっぱり私なんかが猫を飼うんじゃなかった……!

目の前で死なせてしまったら。ーーううん、大丈夫、熱中症だとしてもすぐに対処すればひどい事にはならないはず。
まずは冷やして、その間におじ様にお医者を呼んでもらおう。


ここが夢の中だと思っていた事なんかすっかり忘れて、私はマヤさんたちのいる階下に走り込んだ。
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