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告白
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「僕に関して言うならば、キミが引け目に感じることなんてひとつもないんです」
僕に関して言うならば、というところに……私は塚田さんが自分以外の誰かを想定しているのを感じた。
多分それは――。
(……健二さんのことだ……)
告げられた塚田さんの言葉の重みに、私は思わず立ち止まる。
そんな私に合わせて歩みを止めると、塚田さんは私の頭を優しく撫でてくださった。それから、何の声かけもなくいきなり私をお姫様抱っこなさる。
「きゃっ」
突然のことに驚いて、私は思わず彼の首筋にしがみ付いた。
わわわ、どうしようっ。未だかつてないくらい、塚田さんのお顔が近い……。
それはもやもやとわだかまる許婚への罪悪感を束の間吹き飛ばしてしまうほどの衝撃で、私は不覚にも健二さんのことを失念して、またしても塚田さんへの想いにソワソワと溺れてしまう。
抱き上げられた驚きで思わず彼にしがみ付いてしまってから、ふと我に返って自分の余りに大胆な行動が恥ずかしくなった。それで、かえって塚田さんの肩口に顔を埋めたまま視線を上げられなくなってしまって。
「大丈夫ですよ。落としたりしません……」
でも、塚田さんは私の照れ隠しのそれを、落っことされる恐怖からのしがみ付きだと思われたみたいで。
い、いえ、そういことじゃないんですっ、ホントすみません……。
それに……それに……この体勢は必然的に塚田さんに全体重を預けていることになるわけで……。
「あ、あの、塚田しゃん……。わ、私、重いれすのれっ」
必死に訴えたその言葉を小さく笑って黙殺すると、塚田さんはそのまま寝室の先にあるリビングを抜けて、お手洗いの前まで私を運んでくださった。
そこで私をそっと床に下ろしてから、
「一人で、行けそうですか?」
さすがに個室までついていくのはどうかと思うので……と笑う。そんな塚田さんに、私は真っ赤になってうつむいた。
「僕はリビングにいますので、転ばないように気をつけて。――何かあったらすぐに呼んでくださいね」
言って踵を返されたのを、私は半ば呆然と見送る。
塚田さんがリビングの扉を閉めるのを確認してから、私は壁にすがるようにしながら前進して、どうにかこうにか個室に入った。
そうしながら、さっき塚田さんに「私には許婚がいるんです」とちゃんと言えなかった自分のズルさに落ち込んでしまう。
許婚の存在なんて、塚田さんは父たちから聞いてとっくにご存知なんだろうな、と思いつつも、自分の口からは……健二さんのことを話したくない、と思ってしまった。
僕に関して言うならば、というところに……私は塚田さんが自分以外の誰かを想定しているのを感じた。
多分それは――。
(……健二さんのことだ……)
告げられた塚田さんの言葉の重みに、私は思わず立ち止まる。
そんな私に合わせて歩みを止めると、塚田さんは私の頭を優しく撫でてくださった。それから、何の声かけもなくいきなり私をお姫様抱っこなさる。
「きゃっ」
突然のことに驚いて、私は思わず彼の首筋にしがみ付いた。
わわわ、どうしようっ。未だかつてないくらい、塚田さんのお顔が近い……。
それはもやもやとわだかまる許婚への罪悪感を束の間吹き飛ばしてしまうほどの衝撃で、私は不覚にも健二さんのことを失念して、またしても塚田さんへの想いにソワソワと溺れてしまう。
抱き上げられた驚きで思わず彼にしがみ付いてしまってから、ふと我に返って自分の余りに大胆な行動が恥ずかしくなった。それで、かえって塚田さんの肩口に顔を埋めたまま視線を上げられなくなってしまって。
「大丈夫ですよ。落としたりしません……」
でも、塚田さんは私の照れ隠しのそれを、落っことされる恐怖からのしがみ付きだと思われたみたいで。
い、いえ、そういことじゃないんですっ、ホントすみません……。
それに……それに……この体勢は必然的に塚田さんに全体重を預けていることになるわけで……。
「あ、あの、塚田しゃん……。わ、私、重いれすのれっ」
必死に訴えたその言葉を小さく笑って黙殺すると、塚田さんはそのまま寝室の先にあるリビングを抜けて、お手洗いの前まで私を運んでくださった。
そこで私をそっと床に下ろしてから、
「一人で、行けそうですか?」
さすがに個室までついていくのはどうかと思うので……と笑う。そんな塚田さんに、私は真っ赤になってうつむいた。
「僕はリビングにいますので、転ばないように気をつけて。――何かあったらすぐに呼んでくださいね」
言って踵を返されたのを、私は半ば呆然と見送る。
塚田さんがリビングの扉を閉めるのを確認してから、私は壁にすがるようにしながら前進して、どうにかこうにか個室に入った。
そうしながら、さっき塚田さんに「私には許婚がいるんです」とちゃんと言えなかった自分のズルさに落ち込んでしまう。
許婚の存在なんて、塚田さんは父たちから聞いてとっくにご存知なんだろうな、と思いつつも、自分の口からは……健二さんのことを話したくない、と思ってしまった。
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