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■出られないとか言いながら■2021.1月.冬の書き下ろし
おこた、いいよね
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「おこた、いいよねぇー」
ほわんとした顔をして、葵咲ちゃんがとろけたようなうっとりとした声を出した。
「そうだね。入ったら出られなくなって困るけど」
この冬、葵咲ちゃんが実家からこたつを持って帰りたいと言って、先の休日に僕が車を出して2人で丸山家にあった、葵咲ちゃん愛用の90cm四方のこたつを持ち帰ってきた。
こたつ布団はマンションの雰囲気に合わせて新しくしようかと、ホームセンターでシックな色合いの掛け敷き2点セットを新調した。
それだけでは少し寒いと中掛けや、床に敷く保温シートも一緒に買って。
早速リビングの真ん中に設置したのだけれど。
「セレも出てこないねぇ」
こたつをセッティングしてすぐは「これはニャンですか!?」と恐る恐るにおいを嗅ぎまくっていた愛猫セレも、中がほんわりと暖かい暖房器具だと理解した途端、ど真ん中に伸び伸びと横たわって出てこなくなった。
葵咲ちゃん愛用のこたつはマイルドな温もりに設定することもできたので、真ん中にドン!と入り込んでいるセレのことを考慮して温度設定は割と低め。
座っているとちょっぴり背中が寒いかな。
「葵咲、そっち行っていい?」
そんな風に感じた僕は、真向かいに入った葵咲ちゃんに問いかける。
「え? い、いいけど……2人で並ぶには狭いよ?」
一辺の長さは1mない。
そりゃそうだ。
だけど、そんなの僕には関係ない。
「構わないよ」
言って立ち上がると、僕は葵咲ちゃんの真後ろに立って――。
「えっ!? あの……っ、理人っ?」
戸惑う葵咲ちゃんを背後から抱きしめるようにして足だけこたつの中に伸ばした。
うん、これで葵咲ちゃんは背中、寒くないね。
葵咲ちゃんを自分の前で包み込むように抱きしめて、背後から彼女の甘やかな髪の香りを嗅ぐ。
そのまま鼻先を移動させて首筋に顔を埋めたら
「も、ヤダッ。くすぐったいっ」
葵咲ちゃんがゾクッとしたみたいに首をすくめて抗議の声を上げた。
ホント可愛い。
ほわんとした顔をして、葵咲ちゃんがとろけたようなうっとりとした声を出した。
「そうだね。入ったら出られなくなって困るけど」
この冬、葵咲ちゃんが実家からこたつを持って帰りたいと言って、先の休日に僕が車を出して2人で丸山家にあった、葵咲ちゃん愛用の90cm四方のこたつを持ち帰ってきた。
こたつ布団はマンションの雰囲気に合わせて新しくしようかと、ホームセンターでシックな色合いの掛け敷き2点セットを新調した。
それだけでは少し寒いと中掛けや、床に敷く保温シートも一緒に買って。
早速リビングの真ん中に設置したのだけれど。
「セレも出てこないねぇ」
こたつをセッティングしてすぐは「これはニャンですか!?」と恐る恐るにおいを嗅ぎまくっていた愛猫セレも、中がほんわりと暖かい暖房器具だと理解した途端、ど真ん中に伸び伸びと横たわって出てこなくなった。
葵咲ちゃん愛用のこたつはマイルドな温もりに設定することもできたので、真ん中にドン!と入り込んでいるセレのことを考慮して温度設定は割と低め。
座っているとちょっぴり背中が寒いかな。
「葵咲、そっち行っていい?」
そんな風に感じた僕は、真向かいに入った葵咲ちゃんに問いかける。
「え? い、いいけど……2人で並ぶには狭いよ?」
一辺の長さは1mない。
そりゃそうだ。
だけど、そんなの僕には関係ない。
「構わないよ」
言って立ち上がると、僕は葵咲ちゃんの真後ろに立って――。
「えっ!? あの……っ、理人っ?」
戸惑う葵咲ちゃんを背後から抱きしめるようにして足だけこたつの中に伸ばした。
うん、これで葵咲ちゃんは背中、寒くないね。
葵咲ちゃんを自分の前で包み込むように抱きしめて、背後から彼女の甘やかな髪の香りを嗅ぐ。
そのまま鼻先を移動させて首筋に顔を埋めたら
「も、ヤダッ。くすぐったいっ」
葵咲ちゃんがゾクッとしたみたいに首をすくめて抗議の声を上げた。
ホント可愛い。
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