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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』

女子会3

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「ひおちゃんのパジャマ、すごく可愛い!」

 フリルがついた淡いピンク色のパジャマ。イチゴの柄が散りばめられていてすごく女の子らしくて。

「ききちゃんのブルーのパジャマも大人っぽくて、お似合いなのですっ」

 私は童顔なので、こういう子供っぽいのしか似合わないだけなのです、と付け加えるひおちゃんが可愛くて、私は思わずギュッと抱きしめたくなる。
 っていうか抱きしめちゃった。

「く、苦しいですっ」
 ひおちゃんにジタバタされて、私は慌てて腕を緩めた。

「塚田さんがひおちゃんを溺愛したくなるの、分かる気がする」
 ひおちゃんの目をじっと見つめてそう言ったら、「しゅ、修太郎しゅうたろうさんはちょっと過保護すぎますっ」
 と真っ赤になるの。
 ひおちゃん、本当、可愛い。

「お部屋、行きましょう」
 ひおちゃんが私の視線を避けるように、真っ赤な顔をして話題を逸らす。
「そうだね。ガールズトーク沢山しよう!」
 ひおちゃんの手をギュッと握ってそう言ったら、「お風呂のお話も……お聞きしたいのです……」
 恥ずかしそうにひおちゃんがつぶやいた。

 お風呂のお話。
 そうだね、それもしないとね。
 けど、私もひおちゃんに聞いてみたいこと、沢山あるよ?

 何だか他の友達には恥ずかしくて聞けないことも、ひおちゃんとなら共有しても大丈夫な気がする。
 他の友達だったらバカにするかもしれないことも、ひおちゃんはそういうの、しないって確信できるから。
 ひおちゃんはとてもピュアだと思う。
 小さい頃から、それはずっと変わっていない。

***

「お菓子と飲み物、足りるでしょうか?」

 ひおちゃんは、こんなにっ!?って思うぐらい、クッキーやスナック菓子や、果ては羊羹ようかんやカステラまで、様々なお菓子を準備してくれていた。

「飲み物もたくさんあるのですっ」

 冷蔵庫からジュースやお酒類をゴッソリ抱えて帰ってきたひおちゃんに、私はびっくりしてしまう。

「ひ、ひおちゃん、2人でこの量はさすがにっ」
 言ったら、「一晩中おしゃべりしまくるのですよ? 要りそうじゃないですか?」って本気ですか?

 缶ビールだけでも350ml缶を1ダース冷蔵庫で冷やして頂いていますっ、と宣言してくれたひおちゃんに、私はドキドキしながら尋ねる。
「ひおちゃん、お酒、飲めるようになったの?」

 いつだったか、メールで、職場の歓迎会で初めてお酒を飲んだ際、ピーチサワーを一杯飲んだら酔っ払って恥ずかしい思いをしたって聞いたことがあるけれど……。あれから訓練したの?

「お酒は飲めないのです。なので、私はソフトドリンクでいきますっ。お茶っ葉も、玉露の美味しいの、お母様に用意していただいたので、ききちゃん、熱いお茶も飲めますから遠慮なくおっしゃってくださいねっ?」

 屈託のない笑顔でニコッと笑われて、私はドキドキしてしまう。
 ちょっと待ってひおちゃん。ってことは先の話にあったビールも含めてお酒類は全部私用ですか?
 ついでに缶チューハイや日本酒なども用意されていて……ひおちゃんがコトコトとテーブルに並べる沢山のお酒類を見て、ひおちゃんの感覚のズレに内心「ひえっ!」ってなる。
「ひ、ひおちゃん、私こんなに飲んだら倒れちゃう」
 眉根を寄せてそう言ったら、「もちろん、全部飲む必要は無いのです。お好きなだけどうぞ」って邪気のない笑顔を見せてくれるの。
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