4 / 7
第1章 少年期〜覚醒編〜
第4話 ぼくが得たもの
しおりを挟む俯いていた顔を上げ、
瞑っていた瞳を開ける。
「神官様……さっきまで目の前にあった二つの玉が消えているということは、ぼくの中に入ったということですね?」
「あぁ……えぇ、はい。その通りでございます。
自身と向き合って固有スキルを獲得したのですよ」
「そっか……ぼく自身、何がどうしてこうなったのかは本当に分からないんだけど
きっと、ぼくたちはもう一人の存在に気づいて、認め合った上で一つにならなきゃいけなかったんだと思う」
今のぼくは、僕とボクが向き合って、新たに生まれ変わったような……そんな気分を感じている。
固有スキルを獲得したのも、なんとなく感じられる。
「左様でございますか。
まぁ、何はともあれ、固有スキル獲得おめでとうございます。
同時に、ステータスも使えるようになっているはずです。
確認してみてください。
"ステータスオープン"と唱えるのです」
「"ステータスオープン"」
すると、前世ではSF映画などでよく見たことがある電子パネルのようなものが現れた。
これが、ステータスなのだろう。
ステータスには、文字やら数字やらが浮かび上がっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
ステータス
〔基本情報〕
名前:ファミリア・ビンドウィード
種族:人族
性別:男
年齢:6歳
職業:(未定)
属性:(不明)
〔パワ―詳細〕
体力:57
魔力:30
物攻:84
物防:66
魔攻:91
魔防:33
俊敏:90
〔スキル情報〕
・固有スキル《強欲者》
・固有スキル《管理者》
━━━━━━━━━━━━━━━━━
凄い!
ぼくに関する情報が、視覚化されてる。
〔基本情報〕にある"属性"って、使用できる魔術スキルのタイプがどんなものかを表すものだよね。
ぼくは、まだ魔術スキルを取得していないから不明になってるけど。
それから〔パワー詳細〕は、いろんな力が数値化されていて分かりやすいな~。
"魔力"ってうのは、魔術スキルを使用すると消耗するっていう力のことだよね。
ぼくの魔力は少し少ないのかもしれない。
魔術攻撃力が高いのに対して、魔力が少ないのは、どうにも強みを活かしづらい。
物理防御力も魔術防御力も、どっちも攻撃力に比べると明らかに弱い。
だけど、俊敏性が高いってことは、素早く立ち回って攻撃する戦闘スタイルなら、体力も多いし似合っているのかもしれない。
それに、魔力を補強したいなら、とにかく魔術を使い続けると増えていくらしいから大きな問題ではなさそうだ。
「ファミリア、ステータスを見させていただいても?」
「えぇ、大丈夫ですよ」
神官様にステータスを見せる。
「おぉ~、なかなかお強いようですね。攻撃に優れておられる」
「やはり、そうですか。
うちで、お父さんに剣術の指南をしていただいてるので、その影響だと思います」
「そうか……"救国の英雄"ハルス様が直々に指導なさるのですから、それは強い子に育つわけです」
ぼくのお父さんは、しばしば"救国の英雄"と言われている。
聞くところによると、魔物といわれる、人を襲う怪物たちが、この国"ハイドランジア"に突如現れ王都に向かって進行した際に、当時お父さんがリーダーだった冒険者クランが対抗し全滅させたという。
その功績から、お父さんは国民から尊敬される的になったということらしい。
「それにしても、この二つの固有スキル……詳細が気になります」
「はい。ステータスを見て、固有スキルの欄に触れてみてください。
初期効果が分かるはずです」
「わかりました。やってみます」
一体どんな能力なんだろう。
ボクと僕の固有スキル……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
二つの精神が互いに混じり合い、新たな精神を獲得したその少年は、最強への道を夢見て、人差し指を前へ前へと進めていた。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
婚約破棄は十年前になされたでしょう?
こうやさい
恋愛
王太子殿下は最愛の婚約者に向かい、求婚をした。
婚約者の返事は……。
「殿下ざまぁを書きたかったのにだんだんとかわいそうになってくる現象に名前をつけたい」「同情」「(ぽん)」的な話です(謎)。
ツンデレって冷静に考えるとうっとうしいだけって話かつまり。
本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
(完)あなたの瞳に私は映っていなかったー妹に騙されていた私
青空一夏
恋愛
私には一歳年下の妹がいる。彼女はとても男性にもてた。容姿は私とさほど変わらないのに、自分を可愛く引き立てるのが上手なのよ。お洒落をするのが大好きで身を飾りたてては、男性に流し目をおくるような子だった。
妹は男爵家に嫁ぎ玉の輿にのった。私も画廊を経営する男性と結婚する。私達姉妹はお互いの結婚を機に仲良くなっていく。ところがある日、夫と妹の会話が聞こえた。その会話は・・・・・・
これは妹と夫に裏切られたヒロインの物語。貴族のいる異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。
※表紙は青空作成AIイラストです。ヒロインのマリアンです。
※ショートショートから短編に変えました。
(完結)私の夫を奪う姉
青空一夏
恋愛
私(ポージ)は爵位はないが、王宮に勤める文官(セオドア)の妻だ。姉(メイヴ)は老男爵に嫁ぎ最近、未亡人になったばかりだ。暇な姉は度々、私を呼び出すが、私の夫を一人で寄越すように言ったことから不倫が始まる。私は・・・・・・
すっきり?ざまぁあり。短いゆるふわ設定なお話のつもりです。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる