25 / 27
不正は絶対許すまじ
4
しおりを挟む
自白剤により、ボリスは素面の時では絶対に語らないだろう内面までもペラペラと語り出した。それはまるで、長年積み重ねられた堰が切られたかのように。
その収穫は予定外のものにまで及び、即座に第三課のコリンを学園長室に呼び出した。
「ごめんね、コリン。忙しいだろうに」
「いえ、大丈夫ですよ。丁度この間の件の始末書を書き終えて、休憩を取ろうかと思っていたところでしたので」
始末書を書くような件といえば、私が予算会議中に出向かされた一件のことだろう。確かに、あの時は患者の治療で気にならなかったけど、後から上がってきた全体報告書を見てみれば、かなりの被害が出ていた。跡形もなく消せという指示でも出ていたのかと思うほど。
でも、あの時の指示系統のトップは主――第三課精鋭部隊第一部隊隊長であるリュミエール様で、始末書というなら主が書かれるのが筋というものだろう。なんだってまた、指揮系統上はさらに上であるコリンが……。
と、ここまで考えて理解した。
「……ちょっとここにお座んなさい」
コリンの腕を引き、ソファの一角に座らせる。新しく紅茶を淹れ、コリンが持参してきた茶菓子も合わせて前に出した。
「甘やかしたつもりはないんだけど、一応言っておくわ。ほんっとうにごめんなさい」
「えっ? あ、いや、いいんですよ。元々そういう約束があったので」
「約束? また変な約束させられてるんじゃないわよね? 駄目よ。駄目なことは駄目ってその場で叱ってくれないと。後でまとめてなんて、なんで叱られているか分からなくなるんだから」
一族の末っ子気質の主は自由奔放で、自分の感情に実に素直に生きていらっしゃる。それを私ともう一人の守役が都度指導してきたのだけど、それが許されるのは内輪の時だけ。他人に、しかも仕事上で迷惑をかけていいものではない。
そう言うのに、コリンは“大丈夫ですから”と笑い、カップに口をつけた。
「星鈴、大丈夫だよ。コリンがそう言うなら」
「それにほら、自分以外の報告書の内容が見れたものではなかった、という実体験から、ということもありますし」
「……」
ナルの一言に、コリンは余所を向き、無言を貫いた。ほんの僅かに、口元に何とも言えない物悲しき笑みを浮かべている。これは見事な図星であったらしい。
そういえば、アレ――第三課長であるカミーユが作成した報告書も今までそう見たことがない気がする。第六課に提出する報告書のあまりのたまりように、痺れをきらして痺れ薬を盛って数日間病室のベッドとお友達にした時も、そういえば第三課の書類は承認印だけポンポン打ってたような。それも、あのペースからして大して中身を見ずに。
「……コリン、悪いことは言わないから、今回の採用枠で事務処理もできる人をいれた方がいいと思う。このままだと貴方が倒れるし、倒れたら第三課は終わりよ」
「あ、あはは。それは……まずいですよねぇ」
そうしますと素直に頷いたところを見ると、さすがに自分でも限界は感じていたんだろう。過労死なんて第六課がある限りさせないけれど、よくもまぁ上手いことやってきたものだ。
「それよりも、ご用件はなんだったんでしょう?」
「あぁ、ごめん。そうよね。……ペトラニア。この名に聞き覚えは?」
「聞き覚えもなにも、先日、ミエ――貴女の主達に捕縛に行ってもらった組織の頭目の妻、という体で、事実上組織を牛耳っている者の名です」
「そう。そのペトラニア。先日の捕縛では捕まらなかったそうだけど、そのペトラニアが潜伏しているらしいのよ。彼の主人の家に」
「え!?」
どうやらそこまで情報が掴めていなかったようで、コリンは私が指し示す方を勢いよく振り向いた。もちろん、ボリス少年の方をだ。まだ自白剤が抜けきれないようで、少しぼぉっとして何もない宙を見つめている。
すかさず、ナルがボリスの発言をまとめた調書をコリンに渡す。そして、コリンはフェルナンド様と視線だけを交わした。フェルナンド様が言外の意思を汲み、頷くと、コリンはボリスの横へ腰かけた。
「そのペトラニアという女性、どんな容姿をしていますか?」
「……赤茶色の、腰まであるウェーブのかかった髪。右の目元と左の口元に黒子が一つずつある」
「身長は? どのくらいです?」
「百六十くらい」
ボリスはコリンの矢継ぎ早の質問にも、すらすらと簡潔に答えた。
「どう? 本人に間違いなさそう?」
「はい。レオン様が尋問で聞き出した情報と合致しています」
レオン様が尋問で、ねぇ。尋問って、精神を病ますほどのものであれば、それはもう尋問じゃない気がするんだけど。
こういうのを尋問って一言で済ませちゃう辺り、比較的まともな部類のコリンも第三課に、というよりあの三大魔王に毒されているというか、本人にも元々そういう気質があったんだと諦めるべきか。
強いて言うならただ一つ。もはや手遅れだってことね。
「……でも、驚きよね。学園にいる者から犯罪シンジゲートの親玉の一人の居所が掴めるだなんて。てっきり、トカゲの尻尾切よろしく売買のみの関係かと思ってたのに」
「えぇ。こうしちゃいられません。僕は戻ってカミーユ様に報告を。……彼も連れていっても?」
「あぁ、悪いんだけど、彼の主人に第六課なりの教育をしてやりたいの。彼にはその手伝いをしてもらわなきゃならないのよ。終わったら私がその主人共々連れて行くから、先にそっちの方に着手してくれる?」
「分かりました。よろしくお願いします」
ここで呑気にしていたら標的に逃げられてしまう。コリンは私の言葉を何一つ追及せず、そのまま転移門を出してバタバタとこの場を去っていった。
「星鈴」
「はい?」
「駄目じゃないか」
課の長であるフェルナンド様。その彼の許可なく勝手を言ったことを窘められるのかと思いきや。
「そういうことはもっと早く教えてくれないと。ほら、早く準備を進めないと」
「そうですよ。えっと、何がいりますかね? 必要なものがあるなら取ってきます」
「あ、どうせなら、これで第六課の内定出す子も見繕っちゃおうか」
「あ! それ、すごくいいですね! やりましょう!」
いつの間にか、そもそもの言い出しっぺの私抜きで話がどんどん進んでいた。
「……ものすごいやる気」
「「え?」」
似たような表情で顔を向けてくる二人。もちろん種族は違うけど、あれにしか見えなくなってくる。
――散歩を楽しみに、愛嬌を振りまくワンコ。二匹。
ごめん。ごめんなさい。ただ被検体が欲しかっただけなんです。
とは言えなくなり、全てにおいて異議なしと答えておくことで、その場をなんとか誤魔化し切り抜けた。
その収穫は予定外のものにまで及び、即座に第三課のコリンを学園長室に呼び出した。
「ごめんね、コリン。忙しいだろうに」
「いえ、大丈夫ですよ。丁度この間の件の始末書を書き終えて、休憩を取ろうかと思っていたところでしたので」
始末書を書くような件といえば、私が予算会議中に出向かされた一件のことだろう。確かに、あの時は患者の治療で気にならなかったけど、後から上がってきた全体報告書を見てみれば、かなりの被害が出ていた。跡形もなく消せという指示でも出ていたのかと思うほど。
でも、あの時の指示系統のトップは主――第三課精鋭部隊第一部隊隊長であるリュミエール様で、始末書というなら主が書かれるのが筋というものだろう。なんだってまた、指揮系統上はさらに上であるコリンが……。
と、ここまで考えて理解した。
「……ちょっとここにお座んなさい」
コリンの腕を引き、ソファの一角に座らせる。新しく紅茶を淹れ、コリンが持参してきた茶菓子も合わせて前に出した。
「甘やかしたつもりはないんだけど、一応言っておくわ。ほんっとうにごめんなさい」
「えっ? あ、いや、いいんですよ。元々そういう約束があったので」
「約束? また変な約束させられてるんじゃないわよね? 駄目よ。駄目なことは駄目ってその場で叱ってくれないと。後でまとめてなんて、なんで叱られているか分からなくなるんだから」
一族の末っ子気質の主は自由奔放で、自分の感情に実に素直に生きていらっしゃる。それを私ともう一人の守役が都度指導してきたのだけど、それが許されるのは内輪の時だけ。他人に、しかも仕事上で迷惑をかけていいものではない。
そう言うのに、コリンは“大丈夫ですから”と笑い、カップに口をつけた。
「星鈴、大丈夫だよ。コリンがそう言うなら」
「それにほら、自分以外の報告書の内容が見れたものではなかった、という実体験から、ということもありますし」
「……」
ナルの一言に、コリンは余所を向き、無言を貫いた。ほんの僅かに、口元に何とも言えない物悲しき笑みを浮かべている。これは見事な図星であったらしい。
そういえば、アレ――第三課長であるカミーユが作成した報告書も今までそう見たことがない気がする。第六課に提出する報告書のあまりのたまりように、痺れをきらして痺れ薬を盛って数日間病室のベッドとお友達にした時も、そういえば第三課の書類は承認印だけポンポン打ってたような。それも、あのペースからして大して中身を見ずに。
「……コリン、悪いことは言わないから、今回の採用枠で事務処理もできる人をいれた方がいいと思う。このままだと貴方が倒れるし、倒れたら第三課は終わりよ」
「あ、あはは。それは……まずいですよねぇ」
そうしますと素直に頷いたところを見ると、さすがに自分でも限界は感じていたんだろう。過労死なんて第六課がある限りさせないけれど、よくもまぁ上手いことやってきたものだ。
「それよりも、ご用件はなんだったんでしょう?」
「あぁ、ごめん。そうよね。……ペトラニア。この名に聞き覚えは?」
「聞き覚えもなにも、先日、ミエ――貴女の主達に捕縛に行ってもらった組織の頭目の妻、という体で、事実上組織を牛耳っている者の名です」
「そう。そのペトラニア。先日の捕縛では捕まらなかったそうだけど、そのペトラニアが潜伏しているらしいのよ。彼の主人の家に」
「え!?」
どうやらそこまで情報が掴めていなかったようで、コリンは私が指し示す方を勢いよく振り向いた。もちろん、ボリス少年の方をだ。まだ自白剤が抜けきれないようで、少しぼぉっとして何もない宙を見つめている。
すかさず、ナルがボリスの発言をまとめた調書をコリンに渡す。そして、コリンはフェルナンド様と視線だけを交わした。フェルナンド様が言外の意思を汲み、頷くと、コリンはボリスの横へ腰かけた。
「そのペトラニアという女性、どんな容姿をしていますか?」
「……赤茶色の、腰まであるウェーブのかかった髪。右の目元と左の口元に黒子が一つずつある」
「身長は? どのくらいです?」
「百六十くらい」
ボリスはコリンの矢継ぎ早の質問にも、すらすらと簡潔に答えた。
「どう? 本人に間違いなさそう?」
「はい。レオン様が尋問で聞き出した情報と合致しています」
レオン様が尋問で、ねぇ。尋問って、精神を病ますほどのものであれば、それはもう尋問じゃない気がするんだけど。
こういうのを尋問って一言で済ませちゃう辺り、比較的まともな部類のコリンも第三課に、というよりあの三大魔王に毒されているというか、本人にも元々そういう気質があったんだと諦めるべきか。
強いて言うならただ一つ。もはや手遅れだってことね。
「……でも、驚きよね。学園にいる者から犯罪シンジゲートの親玉の一人の居所が掴めるだなんて。てっきり、トカゲの尻尾切よろしく売買のみの関係かと思ってたのに」
「えぇ。こうしちゃいられません。僕は戻ってカミーユ様に報告を。……彼も連れていっても?」
「あぁ、悪いんだけど、彼の主人に第六課なりの教育をしてやりたいの。彼にはその手伝いをしてもらわなきゃならないのよ。終わったら私がその主人共々連れて行くから、先にそっちの方に着手してくれる?」
「分かりました。よろしくお願いします」
ここで呑気にしていたら標的に逃げられてしまう。コリンは私の言葉を何一つ追及せず、そのまま転移門を出してバタバタとこの場を去っていった。
「星鈴」
「はい?」
「駄目じゃないか」
課の長であるフェルナンド様。その彼の許可なく勝手を言ったことを窘められるのかと思いきや。
「そういうことはもっと早く教えてくれないと。ほら、早く準備を進めないと」
「そうですよ。えっと、何がいりますかね? 必要なものがあるなら取ってきます」
「あ、どうせなら、これで第六課の内定出す子も見繕っちゃおうか」
「あ! それ、すごくいいですね! やりましょう!」
いつの間にか、そもそもの言い出しっぺの私抜きで話がどんどん進んでいた。
「……ものすごいやる気」
「「え?」」
似たような表情で顔を向けてくる二人。もちろん種族は違うけど、あれにしか見えなくなってくる。
――散歩を楽しみに、愛嬌を振りまくワンコ。二匹。
ごめん。ごめんなさい。ただ被検体が欲しかっただけなんです。
とは言えなくなり、全てにおいて異議なしと答えておくことで、その場をなんとか誤魔化し切り抜けた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
白鬼
藤田 秋
キャラ文芸
ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。
普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?
田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!
草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。
少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。
二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。
コメディとシリアスの温度差にご注意を。
他サイト様でも掲載中です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
異世界でワーホリ~旅行ガイドブックを作りたい~
小西あまね
恋愛
世界史オタクで旅行好きの羽南(ハナ)は、会社帰りに雨に濡れた子供を保護した。そのご縁で4泊5日の異世界の旅へご招待!紳士的なイケメン青年アレクの案内で、19世紀ヨーロッパ風の世界をオタク心全開で観光するが、予想外のことが起こって…?
題に「ワーホリ(ワーキングホリデー)」とありますがお仕事展開は第2章からです。異文化交流多め。
本オタク×歴史オタクの誠実真面目カプの恋愛展開はゆっくりで全年齢。ヒロインが歴史・旅行への愛を糧に(?)人生切り開いていきます。ヒーローは地道で堅実な職業ですが、実は王子や魔王というオチはありません。家事万能年下男子。魔法やチートはないけどエセ科学はある。女子が仲良し。メインでありませんがざまぁ(因果応報)あり。ハッピーエンド。
ストックが切れるまで毎日AM 6:00更新予定です。一話3千字前後目安ですが、一部大きく異なります。
∕ヒーロー君の職業出てきました。貸本屋です。私はヨーロッパ風小説でこの職業のキャラを見たことないのですが、当時庶民の文化を支えた大きな産業でした。
∕第2章21話から不定期更新です。3月中に完結予定です。
∕本作は小説家になろうにも掲載しています。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる