5 / 55
第4話 ミルの家
しおりを挟む
ローラ姫の馬車が通り過ぎ、前に進むと、姫を一目見ようと集まっていた人々は、散り散りバラバラになり、思い思いの方向へと歩きはじめた。
メインストリートを歩く人たちの中に混ざり、俺もミルの手を取り、まっすぐに道を進んだ。
首都ドートにある武器屋の場所はよく分かっている。
ゲームで何度も訪れたことがある。
そして、その近くにある、エルフィンという料理屋を探せばいいだけのことだ。
「ミル、どうだい? このあたりの風景に見覚えはないかい?」
「うん。知ってる」
たまごのような光沢のあるほっぺたがゆるんでいる。
「ここをまっすぐ行けば、武器屋だよね」
「その通りだ。じゃあ、もうすぐ家にたどり着くぞ」
そう言いながら、俺はミルの説明通りに、武器屋を右に曲がった。
「この先の家」
ミルはそう言って、一軒の家を指さした。
その家には看板がかけられてあり、たしかにエルフィンと書かれている。
でも。
俺は不思議に思うことがあった。
たしか、ここは……。
ゲームをやり込んでいる俺だから分かる。
ハッピーロードでは、こんなところに店などないはずだ。
ゲームでは、ここは何もない空き地だったはずなのだ。
ゲームの世界とは微妙にズレているのだろうか?
いや、ズレという問題ではないのかもしれない。
ゲームでこの地を訪れるのは、まだ先の話だ。
ということは、この先、ここは空き地になってしまう運命にあると考えたほうが正しいのでは。
「ママー、ただいまー」
ミルが店の入口のドアを開け、大きな声を出した。
次の瞬間、店の奥から、飛び出すように慌てて出てくる女性がいた。
「ミル! どこに行ってたの!」
女性は、声を震わしながらミルのもとに走り寄る。
そして、隣に立つ俺を見ると、細長な目を一度まばたきさせた。
「あなたは?」
「あ、怪しいものではありません」
俺は、すぐにそう答えた。
何しろ俺は、汚らしい革製の服を羽織った、薄汚れたゴブリンなのだから。
こんなモンスターが、子供の横にいたら、驚くばかりではなく、恐怖で固まってしまってもおかしくないはずだ。
「怪我をしていた娘さんを送ってきただけですので」
「歩けなくなった私を治してくれて、ここまで送ってもらったの」
ミルもすぐにそう話す。
母親は口を半開きにしながら、じっと俺を見つめていた。
子供は、無事に家まで送り届けた。
もう俺の役目は終わりだ。
母親を安心させるためにも、恐ろしい姿の俺はさっさとここから立ち去らなければ。
そう思った俺は、「それでは」と言い、体を反転させようとした。
「ちょ、ちょっと待ってください」
母親の頬がゆるんだ。
「あなたがミルを助けてくれたのですね」
「ええ、まあ……」
「ありがとうございます。この子が、何時間待っても帰ってきませんので、よほどのことがあったと思い、もう生きた心地がしませんでした」
「骨折して歩けなくなっていたところを、たまたま通りがかったのです」
「骨折ですか?」
母親は、ミルの足元を見た。
ミルはしっかりと二本の足で立っている。
「ゴブマールお兄さんが、魔法で足を治してくれたの」
「え? あなたは治癒魔法が使えるのですか?」
「ええ、まあ」
「あ、ありがとうございます。治癒魔法だなんて……、いったいどのようなお礼をすればいいのでしょうか?」
「お礼なんていりませんよ。そんなつもりで助けたのではありませんから」
「そんな……、治癒魔法で骨折を治すなんて、もし治療院でしたら、かなりの金額を払わなければなりません。せめて、何か少しでもお礼をさせていただけませんか」
母親がそう申し出たとき、不意に思いもよらないことが起こった。
グーと、俺の腹が鳴り出したのだ。
ゴブリンの腹は、人間よりも大きな音で鳴るようだ。
突然の事で、恥ずかしくなった俺は、顔が燃えるように熱くなってしまった。
「ゴブマールお兄さん、お腹がすいているのね」
「い、いや……」
そう言った矢先、もう一度俺の腹がグーと鳴り出した。
「どうぞ、もしよろしければ、うちでご飯を食べていってください。この通り、お客の入らない寂れた料理屋で、美味しくないと思いますが、お腹の足しになるものは出せますので」
「それでは、お言葉にあまえて、頂いて帰ります」
もう空腹という本能に逆らえなくなっていた俺は、照れ隠しに下を向きながらすぐにそう答えたのだった。
「ここに座って、待っていてください。何かお出ししますので」
そう言うとミルの母親は、調理場へと向かった。
縦長な窓から、明るい日光が差し込んでくる。
木製のテーブルに丸い椅子が並び、その一つに俺は座った。
お客は誰もおらず、店内には俺とミルがいるだけだ。
「ねえ、私のお母さん、きれいでしょ」
突然ミルがそんなことを言い出した。
「そうだね」
確かに、ミルの母親は魅力的な輝きを放つ女性だった。
繊細そうな髪が肩にやわらかくかかり、ほっそりとした体つきに似合った、整った細面な顔を持っていた。
「今、独身なの」
「え?」
「お母さん、独身よ」
ミルの言葉になんと答えたらいいのかわからない。
どうして独身なのかは興味があったが、こちらから幼い子供に根掘り葉掘り聞くのも間違っているような気がして、話題を変えた。
「ミルちゃんも、お母さんに似てとてもきれいでかわいい女の子だね」
「ありがとう」
ミルは俺の言葉に目を輝かせた。そしてこう続けた。
「ねえ、どうしてお母さんが独身なのか知りたくない?」
結局、その話題に戻ってしまった。
「そうだね。でもそんな話は、会ったばかりの俺に話すことではないかもしれないよ」
「そうかな、でも、お兄さんには聞いてほしいと思ったの」
「なぜだい?」
「だって、すごい魔法使いだし、お母さんを救ってくれそうだから」
そんな話をしている時、ミルの母親がすらりとした長い腕でトレーを持ち、俺たちの座るテーブルへとやってきた。
救ってくれそう……。まだ幼いミルはそんな言葉を使っていた。
ということは、この親子は、誰かに助けてもらわなければならない状況にいるのだろうか。
俺は、ミルの母親の落ち着いた笑顔を眺めながらそう思ったのだった。
メインストリートを歩く人たちの中に混ざり、俺もミルの手を取り、まっすぐに道を進んだ。
首都ドートにある武器屋の場所はよく分かっている。
ゲームで何度も訪れたことがある。
そして、その近くにある、エルフィンという料理屋を探せばいいだけのことだ。
「ミル、どうだい? このあたりの風景に見覚えはないかい?」
「うん。知ってる」
たまごのような光沢のあるほっぺたがゆるんでいる。
「ここをまっすぐ行けば、武器屋だよね」
「その通りだ。じゃあ、もうすぐ家にたどり着くぞ」
そう言いながら、俺はミルの説明通りに、武器屋を右に曲がった。
「この先の家」
ミルはそう言って、一軒の家を指さした。
その家には看板がかけられてあり、たしかにエルフィンと書かれている。
でも。
俺は不思議に思うことがあった。
たしか、ここは……。
ゲームをやり込んでいる俺だから分かる。
ハッピーロードでは、こんなところに店などないはずだ。
ゲームでは、ここは何もない空き地だったはずなのだ。
ゲームの世界とは微妙にズレているのだろうか?
いや、ズレという問題ではないのかもしれない。
ゲームでこの地を訪れるのは、まだ先の話だ。
ということは、この先、ここは空き地になってしまう運命にあると考えたほうが正しいのでは。
「ママー、ただいまー」
ミルが店の入口のドアを開け、大きな声を出した。
次の瞬間、店の奥から、飛び出すように慌てて出てくる女性がいた。
「ミル! どこに行ってたの!」
女性は、声を震わしながらミルのもとに走り寄る。
そして、隣に立つ俺を見ると、細長な目を一度まばたきさせた。
「あなたは?」
「あ、怪しいものではありません」
俺は、すぐにそう答えた。
何しろ俺は、汚らしい革製の服を羽織った、薄汚れたゴブリンなのだから。
こんなモンスターが、子供の横にいたら、驚くばかりではなく、恐怖で固まってしまってもおかしくないはずだ。
「怪我をしていた娘さんを送ってきただけですので」
「歩けなくなった私を治してくれて、ここまで送ってもらったの」
ミルもすぐにそう話す。
母親は口を半開きにしながら、じっと俺を見つめていた。
子供は、無事に家まで送り届けた。
もう俺の役目は終わりだ。
母親を安心させるためにも、恐ろしい姿の俺はさっさとここから立ち去らなければ。
そう思った俺は、「それでは」と言い、体を反転させようとした。
「ちょ、ちょっと待ってください」
母親の頬がゆるんだ。
「あなたがミルを助けてくれたのですね」
「ええ、まあ……」
「ありがとうございます。この子が、何時間待っても帰ってきませんので、よほどのことがあったと思い、もう生きた心地がしませんでした」
「骨折して歩けなくなっていたところを、たまたま通りがかったのです」
「骨折ですか?」
母親は、ミルの足元を見た。
ミルはしっかりと二本の足で立っている。
「ゴブマールお兄さんが、魔法で足を治してくれたの」
「え? あなたは治癒魔法が使えるのですか?」
「ええ、まあ」
「あ、ありがとうございます。治癒魔法だなんて……、いったいどのようなお礼をすればいいのでしょうか?」
「お礼なんていりませんよ。そんなつもりで助けたのではありませんから」
「そんな……、治癒魔法で骨折を治すなんて、もし治療院でしたら、かなりの金額を払わなければなりません。せめて、何か少しでもお礼をさせていただけませんか」
母親がそう申し出たとき、不意に思いもよらないことが起こった。
グーと、俺の腹が鳴り出したのだ。
ゴブリンの腹は、人間よりも大きな音で鳴るようだ。
突然の事で、恥ずかしくなった俺は、顔が燃えるように熱くなってしまった。
「ゴブマールお兄さん、お腹がすいているのね」
「い、いや……」
そう言った矢先、もう一度俺の腹がグーと鳴り出した。
「どうぞ、もしよろしければ、うちでご飯を食べていってください。この通り、お客の入らない寂れた料理屋で、美味しくないと思いますが、お腹の足しになるものは出せますので」
「それでは、お言葉にあまえて、頂いて帰ります」
もう空腹という本能に逆らえなくなっていた俺は、照れ隠しに下を向きながらすぐにそう答えたのだった。
「ここに座って、待っていてください。何かお出ししますので」
そう言うとミルの母親は、調理場へと向かった。
縦長な窓から、明るい日光が差し込んでくる。
木製のテーブルに丸い椅子が並び、その一つに俺は座った。
お客は誰もおらず、店内には俺とミルがいるだけだ。
「ねえ、私のお母さん、きれいでしょ」
突然ミルがそんなことを言い出した。
「そうだね」
確かに、ミルの母親は魅力的な輝きを放つ女性だった。
繊細そうな髪が肩にやわらかくかかり、ほっそりとした体つきに似合った、整った細面な顔を持っていた。
「今、独身なの」
「え?」
「お母さん、独身よ」
ミルの言葉になんと答えたらいいのかわからない。
どうして独身なのかは興味があったが、こちらから幼い子供に根掘り葉掘り聞くのも間違っているような気がして、話題を変えた。
「ミルちゃんも、お母さんに似てとてもきれいでかわいい女の子だね」
「ありがとう」
ミルは俺の言葉に目を輝かせた。そしてこう続けた。
「ねえ、どうしてお母さんが独身なのか知りたくない?」
結局、その話題に戻ってしまった。
「そうだね。でもそんな話は、会ったばかりの俺に話すことではないかもしれないよ」
「そうかな、でも、お兄さんには聞いてほしいと思ったの」
「なぜだい?」
「だって、すごい魔法使いだし、お母さんを救ってくれそうだから」
そんな話をしている時、ミルの母親がすらりとした長い腕でトレーを持ち、俺たちの座るテーブルへとやってきた。
救ってくれそう……。まだ幼いミルはそんな言葉を使っていた。
ということは、この親子は、誰かに助けてもらわなければならない状況にいるのだろうか。
俺は、ミルの母親の落ち着いた笑顔を眺めながらそう思ったのだった。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
ゆったりおじさんの魔導具作り~召喚に巻き込んどいて王国を救え? 勇者に言えよ!~
ぬこまる
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界の食堂と道具屋で働くおじさん・ヤマザキは、武装したお姫様ハニィとともに、腐敗する王国の統治をすることとなる。
ゆったり魔導具作り! 悪者をざまぁ!! 可愛い女の子たちとのラブコメ♡ でおくる痛快感動ファンタジー爆誕!!
※表紙・挿絵の画像はAI生成ツールを使用して作成したものです。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉
菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。
自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。
さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。
その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。
更にはモブ、先生、妹、校長先生!?
ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。
これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる