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第8章 急襲
第3話(3)
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リュークを捕らえる軍服姿の人物に、シリルは目を奪われる。
「ノエラ…ッ」
と次の瞬間、右脇腹に衝撃が奔った。
「シリルッ!」
傷口を抉るようにして勢いよく蹴り飛ばされたシリルの姿に、リュークが悲鳴を放った。
「……っく……!」
脇腹を抱えこんで地面に転がり、ふたつ折りになるシリルの目に、男物の軍靴が映った。
「へえ。やっぱあの女、使えるんだ」
朦朧とするシリルの耳に、聞きおぼえのある、ひどく残忍な色合いを含んだ声が落ちてきた。
「いやあ、王室管理局のオッサンも、いいもん貸してくれたなあ」
「て、め…っ、ラー……ザッ」
「あんたでも、あんな動揺することがあるんだな。いつも取り澄ましていらっしゃったヴァーノン隊長さんよ。スゲェ意外な弱点発見」
言って、レギオス・ラーザは愉快で堪らなさそうに嘲笑した。
「ってかさ、天下のシリル・ヴァーノンの弱点が女って、情けねえにもほどがあんだけど。なにあの女、あんたのセフレ? それとも初体験の相手? 30はとっくに過ぎてるように見えるんだが、まさか、ああいうのがシュミとか? 物騒な年増のミリタリー女。言っちゃなんだが、あんたが大事に運搬してるヒューマノイドのほうが、よっぽどかわいげがあって華奢で、抱き心地もよさそうだよ、なあ?」
セリフの語尾に力が加わるとともに、シリルの右脇腹にふたたび爪先が深くくいこんだ。
「かっ…は……っ」
シリルの口から鮮血が飛び散り、腹部からも血が滲みはじめた。
「シリル!!」
「いいねいいねえ、あんたのその苦しそうな面。最高にイカしてるよ」
一度シリルの頭を軍靴で踏みつけたラーザは、痛みに躰を折り曲げ、全身を痙攣させているシリルの胸倉を掴んで引きずり起こした。
「隊長、あんたでもそういう顔、できちゃうんだねえ。すっげえそそられる。けどさ、そーやって勝ち目なさそうに一方的にやられてるふりしながら、さりげなぁくお手々を懐に入れるのはやめてちょうだい…ねっ!」
胸倉を掴んだまま、ラーザは振り上げた拳をシリルの顔面めがけて振り下ろした。地面に叩きつけられたシリルの躰を、脇腹、背中、頭かまわず容赦なく蹴りつける。
「シリルッ……シリル!」
「か~わいいねえ。あんた、あのお人形、すっかり手懐けちまったんだな。あんな必死んなって呼んでるぜ?」
ラーザはシリルを攻撃しつづけながら、じつに愉しげに嘲弄を浴びせた。
「すげえなあ、どーやって仕込んだんだよ。毎晩たっぷり可愛がって、イイ声で啼かせてやったか? 機械犯すときってどうやるんだ? ケツの穴に普通にぶっこんでガン堀りOK? ってか、あんた、男もイケるクチだったっけ? なあ、ハメ心地はどうよ? 奥まで突っこみゃ、ちゃんと締めつけて、アンアン言いながらあの綺麗な貌で腰振ってイッちゃったりすんの? なあおい、どうなんだよ。お~い、隊長、訊いてんのになんで答えねえかな。シカトこいてねえで俺にも教えてくれよ。無抵抗でやられっぱなしなんて全然らしくねえぞ。まさか本気でギブとか言わないでくれよ? せっかく加減して痛めつけてやってんだからよ。もうちょっと俺と遊ぼう――」
最後のセリフが言い終わる瞬間に、素早く伸びた腕が、蹴りつけようと振り下ろした足を掴んで力任せに引き倒した。不意打ちで片足を掴まれてバランスを崩したラーザが、受け身を取ることなく、まともに背中から地面に叩きつけられる。一瞬息が詰まって動きが止まったタイミングで、素早く這ったまま後背に移動したシリルはラーザの首をガッチリとロックした。
「ノエラ…ッ」
と次の瞬間、右脇腹に衝撃が奔った。
「シリルッ!」
傷口を抉るようにして勢いよく蹴り飛ばされたシリルの姿に、リュークが悲鳴を放った。
「……っく……!」
脇腹を抱えこんで地面に転がり、ふたつ折りになるシリルの目に、男物の軍靴が映った。
「へえ。やっぱあの女、使えるんだ」
朦朧とするシリルの耳に、聞きおぼえのある、ひどく残忍な色合いを含んだ声が落ちてきた。
「いやあ、王室管理局のオッサンも、いいもん貸してくれたなあ」
「て、め…っ、ラー……ザッ」
「あんたでも、あんな動揺することがあるんだな。いつも取り澄ましていらっしゃったヴァーノン隊長さんよ。スゲェ意外な弱点発見」
言って、レギオス・ラーザは愉快で堪らなさそうに嘲笑した。
「ってかさ、天下のシリル・ヴァーノンの弱点が女って、情けねえにもほどがあんだけど。なにあの女、あんたのセフレ? それとも初体験の相手? 30はとっくに過ぎてるように見えるんだが、まさか、ああいうのがシュミとか? 物騒な年増のミリタリー女。言っちゃなんだが、あんたが大事に運搬してるヒューマノイドのほうが、よっぽどかわいげがあって華奢で、抱き心地もよさそうだよ、なあ?」
セリフの語尾に力が加わるとともに、シリルの右脇腹にふたたび爪先が深くくいこんだ。
「かっ…は……っ」
シリルの口から鮮血が飛び散り、腹部からも血が滲みはじめた。
「シリル!!」
「いいねいいねえ、あんたのその苦しそうな面。最高にイカしてるよ」
一度シリルの頭を軍靴で踏みつけたラーザは、痛みに躰を折り曲げ、全身を痙攣させているシリルの胸倉を掴んで引きずり起こした。
「隊長、あんたでもそういう顔、できちゃうんだねえ。すっげえそそられる。けどさ、そーやって勝ち目なさそうに一方的にやられてるふりしながら、さりげなぁくお手々を懐に入れるのはやめてちょうだい…ねっ!」
胸倉を掴んだまま、ラーザは振り上げた拳をシリルの顔面めがけて振り下ろした。地面に叩きつけられたシリルの躰を、脇腹、背中、頭かまわず容赦なく蹴りつける。
「シリルッ……シリル!」
「か~わいいねえ。あんた、あのお人形、すっかり手懐けちまったんだな。あんな必死んなって呼んでるぜ?」
ラーザはシリルを攻撃しつづけながら、じつに愉しげに嘲弄を浴びせた。
「すげえなあ、どーやって仕込んだんだよ。毎晩たっぷり可愛がって、イイ声で啼かせてやったか? 機械犯すときってどうやるんだ? ケツの穴に普通にぶっこんでガン堀りOK? ってか、あんた、男もイケるクチだったっけ? なあ、ハメ心地はどうよ? 奥まで突っこみゃ、ちゃんと締めつけて、アンアン言いながらあの綺麗な貌で腰振ってイッちゃったりすんの? なあおい、どうなんだよ。お~い、隊長、訊いてんのになんで答えねえかな。シカトこいてねえで俺にも教えてくれよ。無抵抗でやられっぱなしなんて全然らしくねえぞ。まさか本気でギブとか言わないでくれよ? せっかく加減して痛めつけてやってんだからよ。もうちょっと俺と遊ぼう――」
最後のセリフが言い終わる瞬間に、素早く伸びた腕が、蹴りつけようと振り下ろした足を掴んで力任せに引き倒した。不意打ちで片足を掴まれてバランスを崩したラーザが、受け身を取ることなく、まともに背中から地面に叩きつけられる。一瞬息が詰まって動きが止まったタイミングで、素早く這ったまま後背に移動したシリルはラーザの首をガッチリとロックした。
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