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4.転生の準備!
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「なんでもします!」
安請け合いはよくない。私が社会人生活で学んだ経験則です。でも、そんなものは2秒でポイっと捨ててやりました。ゴミ箱にダンクシュートです。
なぜなら! 金髪碧眼で超絶美少年のアレク様が、私にお願いがあると仰っているのですから!
「まだ何も言ってないけれど……きみは面白い人だね」ニッコリ
はわわ、私はもうこの人の笑顔の虜です。なんでもします。いえ、むしろ……なんでもさせてください!
「彼は非業の死を遂げた英雄さんです。吾々、天界を動かすほどの武勲と功績を挙げたので転生させてあげることになったのです! しかし、彼には未練がありました」
ふざけた天使が図々しく説明を始めやがりました。もっとアレク様を鑑賞したいのに、うるさいですね。
「でも、さすがに同じ世界の同じカラダに転生させるのは、生命のルールに反します。なので、別な世界で亡くなった人の魂を入れて復活させることになったのです! その人に未練を解消してもらうために!」
やばいです。アレク様にドキドキして、天使の言葉が頭に入ってきません。
「でもあなたのぺちゃんこのおっぱい、つまりぺちゃぱいのせいで、僕は惑わされてあなたを選んでしまいました。男の人を選ぶつもりだったのに、いい加減にしてください!」
( ◠ ‿ ◠ )←ブチギレ2秒前の私です。
「まず……きみに謝りたい。僕の願いのためにあなたを巻き込んでしまった。本当にすまない」
まぁ、なんて勿体ないお言葉。アレク様は何も悪くありません。全部このク◯天使が悪いのですから。
!!!!
おもむろにアレク様が私に近づいてきました。
顔を近づけられてヒソヒソ話をされたのです!
「……天使がこんなにふざけた存在だなんて思わなかったよ。もしかしたら、僕たちの忍耐力を試しているのかもしれないね」
声も素敵でした。耳がゾワゾワします。
「聞こえてますよぅ」
地獄耳の天使。地獄に堕としてやりたいです。
「きみが嫌なら、僕は諦めるよ。傲慢な考えだったのかもしれない……」
アレク様は、消えてなくなりそうな悲しい顔を見せました。
「と、とんでもございません!! お願いというのはなんでしょうか!!」
私は今、人生の答えを見つけたのです。私はこの人を笑顔にするために生まれてきたのです!!
アレク様は、私の張り上げた声に一瞬目を丸くしました。
それから、うっすらとした笑顔を向けてくれます。
溶けてしまいそうな笑顔でした。
はぅぅ。……全年齢向けでは表現出来ない気持ちです!!
メスの顔しやがって? うるさいですよ! あなたもここに来て、一緒にアレク様の笑顔を見ましょう! それから、彼の笑顔の素晴らしさについて語り合う女子会を開くのです!
……いけません、いけません。我を忘れていました。
殿下のお願いを聞かなければなりません。
ありがとう、と優しく言ってアレク様はお願いを仰ってくださいました。光栄の極みです。
「僕には腹心の四騎士が……いた。きみにお願いしたいのは、彼らの仲を取り持ってほしいって事なんだ」
四騎士……四天王みたいなものでしょうか?
「あと少しだったんだ。僕たちは世界を統一して、誰もが笑って暮らせる国を造りたかった。……でも、目前まで来て僕は死んでしまった」
まぁすごい、アレク様は異世界の統一を目指す覇王だったのですね。さぞ未練なのでしょう、悲しい顔で彼は言いました。
「その4人は、それぞれが英雄の器を持った英傑たちであり、本来は誰かに従うような者たちではない。完全な統治体制に移行する前に、僕という接着剤を失ったら……彼らは戦いを始めてしまうかもしれない。それだけはさせてはならない。200年続いた乱世を終わらせ、世界を統一する。それが僕の願いだ」
「わ、私に出来るでしょうか……?」
壮大な話を聞かされた気分です。
高らかに宣言したのに、不安になるチキンな私です。
「チャンスが与えられるだけで、僕は神に感謝しなければならない。すべてきみに任せるよ。願わくば僕の未練がなくなることを祈って」
アレク様は儚げな笑顔で言いました。
何万回見ても、素敵な笑顔です。
よし、私はやりますよ! がんばります!
「不束者ですが、やってみます!」
☆☆☆
それから暫く、私とアレク様はお話をしていたのです。2人っきりで今後の計画を相談していました。
あ、天使もいましたね。ハエみたいに羽をパタパタさせてやがります。
「お時間ですよぉ」
ふざけた天使は言いました。
まどろみのように、真っ白な空間がなくなっていきます。
「あの、また会えますか?」
「会えるよ。きみは僕なんだから」
アレク様の優しい声が聞こえました。
そして、私は異世界に転生したのです。
安請け合いはよくない。私が社会人生活で学んだ経験則です。でも、そんなものは2秒でポイっと捨ててやりました。ゴミ箱にダンクシュートです。
なぜなら! 金髪碧眼で超絶美少年のアレク様が、私にお願いがあると仰っているのですから!
「まだ何も言ってないけれど……きみは面白い人だね」ニッコリ
はわわ、私はもうこの人の笑顔の虜です。なんでもします。いえ、むしろ……なんでもさせてください!
「彼は非業の死を遂げた英雄さんです。吾々、天界を動かすほどの武勲と功績を挙げたので転生させてあげることになったのです! しかし、彼には未練がありました」
ふざけた天使が図々しく説明を始めやがりました。もっとアレク様を鑑賞したいのに、うるさいですね。
「でも、さすがに同じ世界の同じカラダに転生させるのは、生命のルールに反します。なので、別な世界で亡くなった人の魂を入れて復活させることになったのです! その人に未練を解消してもらうために!」
やばいです。アレク様にドキドキして、天使の言葉が頭に入ってきません。
「でもあなたのぺちゃんこのおっぱい、つまりぺちゃぱいのせいで、僕は惑わされてあなたを選んでしまいました。男の人を選ぶつもりだったのに、いい加減にしてください!」
( ◠ ‿ ◠ )←ブチギレ2秒前の私です。
「まず……きみに謝りたい。僕の願いのためにあなたを巻き込んでしまった。本当にすまない」
まぁ、なんて勿体ないお言葉。アレク様は何も悪くありません。全部このク◯天使が悪いのですから。
!!!!
おもむろにアレク様が私に近づいてきました。
顔を近づけられてヒソヒソ話をされたのです!
「……天使がこんなにふざけた存在だなんて思わなかったよ。もしかしたら、僕たちの忍耐力を試しているのかもしれないね」
声も素敵でした。耳がゾワゾワします。
「聞こえてますよぅ」
地獄耳の天使。地獄に堕としてやりたいです。
「きみが嫌なら、僕は諦めるよ。傲慢な考えだったのかもしれない……」
アレク様は、消えてなくなりそうな悲しい顔を見せました。
「と、とんでもございません!! お願いというのはなんでしょうか!!」
私は今、人生の答えを見つけたのです。私はこの人を笑顔にするために生まれてきたのです!!
アレク様は、私の張り上げた声に一瞬目を丸くしました。
それから、うっすらとした笑顔を向けてくれます。
溶けてしまいそうな笑顔でした。
はぅぅ。……全年齢向けでは表現出来ない気持ちです!!
メスの顔しやがって? うるさいですよ! あなたもここに来て、一緒にアレク様の笑顔を見ましょう! それから、彼の笑顔の素晴らしさについて語り合う女子会を開くのです!
……いけません、いけません。我を忘れていました。
殿下のお願いを聞かなければなりません。
ありがとう、と優しく言ってアレク様はお願いを仰ってくださいました。光栄の極みです。
「僕には腹心の四騎士が……いた。きみにお願いしたいのは、彼らの仲を取り持ってほしいって事なんだ」
四騎士……四天王みたいなものでしょうか?
「あと少しだったんだ。僕たちは世界を統一して、誰もが笑って暮らせる国を造りたかった。……でも、目前まで来て僕は死んでしまった」
まぁすごい、アレク様は異世界の統一を目指す覇王だったのですね。さぞ未練なのでしょう、悲しい顔で彼は言いました。
「その4人は、それぞれが英雄の器を持った英傑たちであり、本来は誰かに従うような者たちではない。完全な統治体制に移行する前に、僕という接着剤を失ったら……彼らは戦いを始めてしまうかもしれない。それだけはさせてはならない。200年続いた乱世を終わらせ、世界を統一する。それが僕の願いだ」
「わ、私に出来るでしょうか……?」
壮大な話を聞かされた気分です。
高らかに宣言したのに、不安になるチキンな私です。
「チャンスが与えられるだけで、僕は神に感謝しなければならない。すべてきみに任せるよ。願わくば僕の未練がなくなることを祈って」
アレク様は儚げな笑顔で言いました。
何万回見ても、素敵な笑顔です。
よし、私はやりますよ! がんばります!
「不束者ですが、やってみます!」
☆☆☆
それから暫く、私とアレク様はお話をしていたのです。2人っきりで今後の計画を相談していました。
あ、天使もいましたね。ハエみたいに羽をパタパタさせてやがります。
「お時間ですよぉ」
ふざけた天使は言いました。
まどろみのように、真っ白な空間がなくなっていきます。
「あの、また会えますか?」
「会えるよ。きみは僕なんだから」
アレク様の優しい声が聞こえました。
そして、私は異世界に転生したのです。
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