すずしろの浅漬け

すずしろ

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親睦会ってなんだろう

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「おおっし、体温まった!」
バレーボールチームに所属するママさん達は朝練を終えてやってきました。

んーとね、幼稚園のママさんの親睦会に、何で綱引きなんて企画した?
責任者、ちょっと出てらっしゃい。

娘が幼稚園の時の事です。
年少組は、あひる、ひよこ、はと、うぐいす、かもめ。と、鳥の名前。
年中組は、きく、ばら、すみれ、ゆり、ひまわり。と、花の名前。
年長組は、まつ、たけ、うめ、もも、ふじ。と、木の名前が付けられている、そこそこ大きな幼稚園です。

どういう訳だかは分かりませんが、年少組の『親睦会』として呼び出されたのは、幼稚園の3階にある体育館、通称アリーナでした。

ママさんバレーボールチームのメンバーの殆どがいる『あひる組』のお母さんたちは、朝練の後の気合の入ったままの姿でやってきました。

ええ、圧勝ですよ。
号砲が鳴った瞬間、全員が吹き飛ばされました。
しんがりは現役モデルの○○ママでしたが、可哀想に本当に宙に舞っていました。

綱引きって、圧倒的な力量差がある相手が遠慮なしに引っ張ると、吹き飛ばされるんだと初めて知りました。

そして普段使わない筋肉を使ったせいで翌日は筋肉痛。
今後親睦会で綱引きをすると言われたら、絶対に欠席するんだと秘かにクラスのママさん達と話したもんです。

翌年、年中組になり親睦会のお知らせが来ました。
綱引きだったらいかないよと言ったら前年の大惨事(?)に教訓を得たのか、玉入れになったというので、それなら筋肉痛にはならないなと安心したものの、なんで体育系にこだわるのかは疑問でした。
アリーナで持ち寄りのお茶会でもいいじゃないかと思うんですよねえ。

「おおっし、体温まった!」

バレー部のママさん達は同じクラスにするとかいう決まりでもあるんでしょうか?
『あひる組』から進級して、『きく組』になったママさん達はやる気満々です。

ホイッスルが鳴って玉入れが開始されると、バレーママさんたちは一斉に床に散らばる玉を集め始めました。

え?っと思って横眼で見ていたら、両手に抱えた玉を一気に籠に投げ込みます。
またそれが綺麗にほとんど入るんだな。
落ちたものはさっと拾い、競技時間満了まで半分の時間を残してきく組さんのスペースには一つの玉もありません。
隣でわたわたしながら玉を拾っては入れている私達を笑って見ています。

ところが終了とともに玉の数を数えたら、私たちが勝っちゃったんですね。

用意した人が紅白の玉の数を確認せず出したようで、当然猛抗議です。
で、きちんと数えて再試合。

きく組さん見習って出来る限り玉集めて入れてみましたが、彼女たちの統制された動きに付け焼刃では叶うはずもなく敗北でした。

「来年の競技は何だろうね?」
いやいや、親睦会だよね。
スポーツ競技大会じゃないよね。

年長組に上がって、親睦会のお知らせをもらいましたが欠席することにしました。
だって綱引きだったんですもの。
待ち構えているのは、きく組から進級したバレーママ集団『まつ組』ですから。

                                 怖いじゃん
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