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第二百十七話 クレア?どうしたの?

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「あ。ごめんなさい。何だか、暗い話になってしまったわね。」

ゾフィーの言葉にクレアは無表情でぼそり、と言った。

「五大貴族の娘が庶民と友達?…冗談だろう。どうせ、ただの作り話に決まってる。あいつらは、庶民を虫けらか何かとしか思ってないんだから。」

吐き捨てるように言うクレアにゾフィーは思わず反論した。

「そんな事ない!リエルは身分とかで人を差別する子じゃないわ!本当に身分で人を差別する人なら、リエルは私なんて見向きもしなかった。貴族の中でも地位は低いし、評判も悪い家の娘の私なんかと関わってもいいことなんて一つもないのにリエルは私を友達だって言ってくれた。確かに貴族の中には平民を見下す人はたくさんいる。だけど…、そんな人達ばかりじゃないの。ねえ、クレア。ずっと気になっていたんだけど、どうしてそこまであなたはリエルを嫌うの?もしかして、あなたリエルと何かあったの?」

もしかしたら、クレアは何か誤解しているのかもしれない。
だったら、その誤解を解いておきたい。

「別にそんなんじゃない。俺はただ単に貴族ってやつが嫌いなだけだ。」

「私だって貴族よ。」

「それは…、」

クレアは戸惑ったように瞳を揺らした。

「クレアは貴族を嫌うけど、それでも私を助けてくれた。それって、あなたから見て、私は助ける価値があったってことじゃないの?私にそんな価値があるかは分からない。でも、あなたが私を助ける価値があると少しでも思ってくれたのなら…、私の言葉を信じてほしい。リエルはあなたが嫌う貴族とは違うってことを。リエルは貴族だけど、誰よりも領民思いの優しい人よ。
リエルはフォルネーゼ伯爵と一緒に領民が暮らしやすいようにどれだけ尽くしてきた事か…!
学校を建てたり、診療所を開設したり、治水環境を整えたり、わざわざ視察に出向いたりして…。私の領地で起こった問題もリエルの助言で解決したこともあったのよ。あなたはそんなリエルを知らないのよ。リエルの事を知らないのに、そんな風に決めつけないで!」

が、クレアはゾフィーの言葉を聞いても、冷ややかな目をしていた。

「あんなの、ただの偽善だろ。貴族の慈善ごっこみたいなもんだ。
お前は貴族の癖にフォルネーゼ家の闇を知らないのか?あいつらが裏でどんな汚い事をしているのか知ってもそんな事が言えるのか?」

「フォルネーゼ家の秘密は部外者の私には分からないわ。確かにフォルネーゼ家が裏で暗躍していることは知っている。でも、それは…、皇帝の命令でしていることよ。人身売買や違法薬物を使って金儲けをする地下組織を取り締まったりしているだけ。別にそれは汚い事ではないわ。むしろ、フォルネーゼ家は汚れ仕事を被って王家や国を守ってくれているの。フォルネーゼ家がいなかったら、犯罪が今以上に蔓延っていたかもしれないのにそんな言い方は…、」

「…なら、何で俺の村を滅ぼしたんだよ。」

「クレア?」

「ッ、何でもない!」

クレアはグイッとカップの紅茶を飲み干すと、乱暴にカップをテーブルに置き、そのまま立ち上がった。

「疲れた。…悪いけど、夕食まで休ませてもらうぞ。」

「あ、う、うん。」

ゾフィーはそのまま自分の部屋に戻るクレアを見送る事しかできなかった。
クレアの背中には明確な拒絶があり、それ以上クレアを追求することはできなかった。

「よし。できた!」

ゾフィーは完成した料理を盛り付けていく。ロンディ家が困窮していた頃はゾフィーは厨房に立って料理を作っていたこともあるので家事全般は身に着いている。商会が軌道に乗ってからは、何とか使用人も雇えるようになったがそれまで家の事はゾフィーがほとんど担っていた。
両親やソニアは全く手伝ってもくれなかった。ゾフィーが作ってもパン固いだの、肉が食べたいだの、スープの味が薄いだの散々な言われようだった。

そんな事を思い出しながら、ゾフィーは食事をテーブルに運んでいく。
クレアは平民なだけあって料理はするが手先が不器用なせいかあまり料理は得意ではない。
だから、居候して貰っているお礼として、ゾフィーは家事全般を担う事にしたのだ。
幸い、食材はクレアが買ってきてくれるので材料には困らない。
クレアは肉料理が好物だから、肉料理をメインに作ってみた。

「ちょっと作りすぎちゃったかな?」

ゾフィーは完成した食事の品数と量の多さにそう呟いた。でも、クレアはああ見えて、かなりの大食漢だから、大丈夫だろう。これ位の量、クレアならペロリ、と平らげてしまいそうだ。
ゾフィーは食事の支度ができたと伝える為にクレアの部屋に向かった。
が、クレアの部屋の扉を叩いても、返事がない。まさか、まだ寝ているの?

「クレア?入るわよ?」

ゾフィーは扉を開け、部屋に入った。
クレアは寝ているようだが様子がおかしい。

「…めろ。ッ…、…さん。」

「クレア?どうしたの?」

酷い汗…。それに、とても苦しそう…。悪い夢でも見て、魘されているのだろうか?
一体、何の夢を見ているのだろうか。誰かの名前を呼んでいる?

「…だ。嫌、だ…。…かないで…。死なないで…。」

ゾフィーはクレアを起こそうと伸ばした手をピタッと止めた。あまりにも悲痛な声にゾフィーは胸が締め付けられる。

「母さん…!リシール…!」

縋るように伸ばされた腕をゾフィーは咄嗟に掴み、クレアの肩に手を置いた。




「クレア。リシール。愛しているわ。」

母はクレアと弟を優しく抱き締め、愛おしそうな表情を浮かべ、そう言った。
母に抱き締められるとふわっとカモミールの匂いがした。それと同時に感じる母の優しい温もり…。
クレアは母に抱き締められるのが大好きだった。
女手一つでクレアと弟を育てる母は苦労をしていただろうにそんな苦労など微塵も感じさせず、いつも笑っていた。穏やかで優しく、見た目は儚げでも芯が強い。そんな母はクレアの自慢だった。
いつも村の子供達と喧嘩をして、問題ばかり起こすクレアを母は責めることなく、優しく頭を撫でた。

「あんたの所の娘があたしの坊やに怪我させたのよ!全く、どういう躾をしているのかしら!これだから、父なしっ子は…!」

クレアはよく喧嘩をして、相手の男の子達を泣かせていた。クレアは母に喧嘩をしたことは言わなかった。いつも転んだんだ、と嘘を吐いた。その嘘は相手の親が怒鳴り込んでくることですぐにバレてしまった。クレアは大好きな母に失望されたと思った。怖くて、母の顔が見れなかった。母は黙ったまま相手の言い分を聞いた。そして、深々と頭を下げた。

「申し訳ありません。娘がお宅の息子さんに怪我をさせたことは謝ります。」

そう謝罪した後、母は真っ直ぐに相手の顔を見つめ、

「ですが…、この子は理由もなく、喧嘩をしたり、手を上げたりするような子ではありません。…どうして、この子がお宅の息子さんに手を上げたのかその理由を聞かせて頂けませんか?」

「まあ!うちの坊やが悪いというの!?」

「そういう訳ではありません。ただ、理由によってはお宅の息子さんに非があると思うのです。…この子とお宅の息子さんの間に何があったのか教えて頂いても?」

「うちの子が悪いんじゃないわ!全部、あんたの娘が悪いのよ!突然、あんたの娘が殴りかかってきたのよ!」

「それは…、嘘ですね。」

「はあ!?」

母はきっぱりとそう言った。クレアは驚いて母を見上げた。

「さっきも言ったようにこの子は…、クレアは理由もなく、相手に怪我をさせるような子ではありません。
この子は怪我をした小鳥や兎を見たら、見捨てずに助けるような優しい子です。私にはどうしてもクレアがそのような事をしたとは信じられません。本当にお宅の息子さんがそう言ったのですか?」

「うちの子が嘘を吐いていると言いたいの!全く!親子そろってろくでなしばかりね!謝罪するどころか開き直って被害者面するだなんて!もういいわ!こんな所、二度と来ないわ!」

そう言って、相手の親は鼻息荒く、足早に帰って行った。母はフウ、と溜息を吐いた。

「…クレア。」

母に名を呼ばれ、クレアはビクッとした。恐る恐る顔を上げると、母の琥珀色の目が真っ直ぐにクレアを見つめる。

「何があったか話してくれる?」

母の目は大丈夫、とでもいっているかのようだった。その目は穏やかで…、責めるような眼差しじゃなかった。クレアは母に促されるようにぼそぼそと話した。

「…あいつが…、母さんを阿婆擦れだって、言ったから…。だから、俺…、ついカッとなって…、」

自分の事を悪く言うのは我慢できた。だけど、母を悪く言うのだけは許せなかった。
気が付けば、相手の男の子を半殺しにしていた。邪魔をした他の取り巻きも全員、返り討ちにしてやった。そんなクレアを大人達は責め立てた。クレアは無言でその場を後にし、逃げ帰る事しかできなかった。そして、母にもこのことは言えなかった。
クレアがボコボコにした奴らはクレアへの逆恨みか親に泣きつき、自分達が言ったことは隠して、クレアに一方的に殴られたのだと言いつけたのだ。その結果、相手の親がクレアの家に怒鳴り込んできたのだ。
あの時、クレアは母に嫌われたと思った。だけど、母は…、クレアの言葉を聞いて、そっと優しく抱き締めた。

「…クレア。やっぱり、あなたは優しい子ね。ありがとう。私の為に怒ってくれたのよね?フフッ…、そういう優しくて、向こう見ずな所はあの人にそっくりだわ。」

母はそう言って嬉しそうに笑い、よしよしとクレアの頭を撫でた。
あの人、とはクレアの父親の事だ。村では父なしっ子といわれているが実はクレアにはちゃんと父親がいる。ただ、父親は仕事人間なので頻繁に家に帰ってくることがない。
クレアは年に数回しか父親と顔を合わせたことがない。だから、クレアにとっての両親は母親だけのようなものだった。
年に数回しか帰ってこない父親なのに、母はそんな父を心底、慕っている様だった。
あの父親が優しい?それなら、どうして、家に帰ってこないんだ。…本当に家族を愛しているのなら帰ってきてくれてもいいのに。家族一緒に暮らしてくれてもいいのに。
クレアは父親を嫌いなのか好きなのか分からない。父さんがずっと傍にいて暮らしてくれるのなら、こんな複雑な思いを抱くことはなくなるかもしれないのに…。

「でも、もうこんな無茶な事はしないでね。クレアが怪我をするのは母さんも悲しいわ。」

そう言って、母はクレアを優しく諭した。
そんな母にクレアは何度も救われた。

「ねーね。ねーね。」

舌ったらずな口調で甘える弟のリシールは姉のクレアを慕ってくれた。可愛い可愛い俺の弟。
村の連中は冷たくて、家の外の世界は居心地が悪かったがクレアは今の生活に満足していた。
俺には母さんとリシールがいればそれでいい。そう思っていた。
それなのに…、クレアの幸せはあの悪夢の夜に一瞬で奪われた。

「逃げて!クレア!」

それが母の最期の言葉だった。目の前で崩れ落ちる母の身体。真っ赤な血…。
泣き叫ぶ弟を助けようと伸ばした手は届かず…、弟の亡骸を呆然と見つめる事しかできなかった。
たった一夜にして、クレアは全てを失った。
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