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第百七十四話 僕の質問に答えてくれますよね?

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「出ろ、時間だ。」

数人の騎士に促され、牢から連れ出される。
男は阿片の密輸で捕まったある犯罪組織の一人だった。
だが、男は取り調べや尋問に対して、一切口を割らなかった。
男が捕まって一週間経つが有益な情報を一切吐かない男に根負けしたのか今日で尋問をする担当が変わることとなった。
男は内心、嘲笑っていた。この国の奴らは皆、甘ったれた連中で拷問も大したことはない。
あんなもので自分の口を割ろうとするなど滑稽だ。どうせ、担当が変わった所で同じ事。そう思っていた。

男はてっきり拷問部屋に通されると思っていたが、通された部屋は大きな水槽がある部屋だった。
水槽を上から見下ろせる所まで連行される。水槽の中は十匹以上の小魚が泳いでいた。
そして、一足先にそこに佇んでいる人物がいた。

「初めまして。」

その人物はまるで天使のように見目麗しい美少年だった。
金髪碧眼で華奢な手足は折れそうな程に細い。仕立てのいい服に気品漂う物腰。一目見れば、彼が貴族だと分かる。服装だけでなく、その纏うオーラだけで貴族だと直感できる。
美少年はニコッと微笑み、

「今日から、君を担当することになりました。ルイ・ド・フォルネーゼです。よろしくお願いしますね。」

「フォルネーゼ!?」

その名に男は目を見開いた。フォルネーゼ家は男が所属していた犯罪組織の宿敵だ。
フォルネーゼ一族は皇帝の命により、人身売買、違法薬物の取り締まり等を行い、裏社会に生きる人間達には目の敵にされている。当然、男にとってもフォルネーゼの人間は敵でしかない。
この見るからに線の細い少年がフォルネーゼ伯爵…。拘束されていなかったらこのまま絞め殺してやれるのに…。そんな殺意を籠めた目で睨みつけるが…、ルイは笑みを絶やさずに平然と話しかけた。

「では、早速なんですが…、幾つか質問よろしいでしょうか?君が阿片を入手した経路とその協力者、組織のアジト…。それについて、知っている限りの情報を教えてくれないでしょうか?」

「ハッ…!そんなの、知るかよ!」

「そうですか。残念です。」

男の返答にルイは然して気にする様子もなく、笑ったままだ。そして、次の瞬間…、バシャリ、と液体のような物を男の顔と身体に思いっきりぶっかけた。

「ブッ!?な、何しやがる!この、クソガキ!」

「始めろ。」

男の抗議をルイは無視し、騎士達に命令した。騎士の一人が男を拘束した縄を引っ張り、革のベルトを取り付けた。胸で交差して上に引っ張り上げられるようになっている。騎士の一人が機械を操作し、男の拘束していたベルトを持ち上げ、水槽の真上にくるように移動させた。ベルトを掴まれているため、男は落ちることなく、中途半端に吊り下がったままだ。

「何だ?水責めでもするつもりか?生憎だったな!それなら、俺はもう経験済みだ!」

尋問のために鞭打ちをされたりして拷問を受けたが男はそれでも黙秘を貫いた。水責めの拷問もされたが男はそれでも口を割らなかった。男は自分が強靭な肉体と精神力を持っていると自負している。
それに、こいつらは自分を生かしておかないと捜査をすすめられないのだ。男に情報を吐かせるまでは殺すことはできない。それを分かっているからこそ、男は強気な態度を崩さなかった。

「残念だったなあ!俺にこんなものは効かねえぞ!やるだけ、無駄だ!」

「そんなの、実際にやってみないと分からないでしょう。それに…、君は一つ勘違いをしています。これは、水責めではありませんよ。」

「はあ?じゃあ、何だって言うんだ?」

「そうですね。分かりやすく言うのなら…、魚責め…、でしょうか?」

「魚…だと?こんなちっさい魚ごときに何ができるっていうんだよ!」

「僕は昔から珍しい動物に興味がありましてね…。特にこの国にはいない異国の動物に惹かれるのです。そして、今、僕は動物保護団体の会長をしています。」

「いきなり、何意味の分かんねえこと言いやがる!」

男が怒鳴りつけるがルイは構わずに話し続ける。

「動物の保護も大切ですが…、まだ生態や習性が明らかになっていない生き物の観察や研究をするのも好きなんですよ。これもその一つでしてね…、本体が中々、手に入らなくて苦労しましたが…。
最近、馬鹿だけど使いようによっては便利な駄犬が捕獲に成功しましてね。やっと、入手できたんですよ。それで、ある実験をしたいと思いまして…。折角の機会だから、君に協力してもらおうかなと。」

ルイはニコニコと微笑むが男は段々、違和感を抱いた。ルイは一見、害のなさそうな笑みを浮かべているがその笑みは迫力があり、何だか空恐ろしいものを感じるのだ。
まるで悪魔が微笑んでいるかのような…。

「この水槽にいる魚はセーラ川からわざわざ取り寄せた貴重な魚なんです。
別名、肉食魚、人食い魚と呼ばれています。フフッ…、こんな小さいのに意外ですよね?
この魚は群れで行動することでとてつもない脅威になるそうですよ。
この魚は視覚は弱いけどその分、嗅覚に敏感なんですよ。中でもある匂いにとても敏感なんです。
そういえば…、さっき、君にかけた液体。あれがそうなんですよね。」

「なっ…!?」

男の顔が段々蒼褪める。ルイの言っている意味を理解したからだ。ルイはそんな男に無慈悲にニコリ、と首を傾げて笑い、

「きっとすぐに群がってくれると思いますよ。」

そして、ルイが合図をすると機械の操作により、男の身体がグン、と下に降ろされた。

「まっ…!」

状況が追い付かず、制止の声を上げるがそれより早くに男の身体は水槽の中に沈められた。ただし、顔は水面につかないように首から下の身体を水に浸った状態だ。身体は冷たいが窒息する心配はない。だが、すぐに男の身体に異変が起こった。

「うぎゃああああああ!?」

男は悲鳴を上げ、もがき苦しんだ。身体中に激痛が走る。身体の内側から食い破られ、内臓まで食われるかのような痛み。今までの味わったことのない痛みだった。
暴れるせいで激しい水音が立った。だが、腕は拘束されているせいで足をばたつかせることしかできない。水が血で赤く染まった。悲鳴と苦痛で悶え苦しむ表情だけで男がどれだけの激痛を味わっているのかがよく分かる。今まで鞭打ちや水責め等の拷問を受けてもここまで苦しむ姿は見たことがない。
若い騎士の一人は怖気ついた様に後退った。
だが、ルイはじっと酷薄な目で男を見下ろした。

「どうですか?そろそろ、僕の質問に答える気になりましたか?」

「あがあああああ!」

「…この魚たちは肉と肉を食い尽くす生き物なんですよ。だから、この魚たちに食われた獲物は骨しか残らないとか…。このままだと、君は確実に白骨化した死体へと変貌するでしょうね。そんなの…、嫌でしょう?」

ルイは笑って、男に問いかける。男は激痛に苦しむばかりでルイの言葉に答える余裕はなかった。

「だ、だずけ…!」

「上げろ。」

ルイがそう命じると、身体が水から引き上げられた。

「ぎいやあああああ!」

だが、男の激痛はまだ終わらない。何故?水から上がればこの痛みから解放されるのでは…?そう疑問い思っていると、

「ああ。まだ魚が君の服と体の中にいるのかもしれませんね。確か、彼らって一度食いついたら中々離してくれないみたいですから。」

天使のような微笑みを浮かべているが言っていることは悪魔の様だ。
天使の顔をした悪魔、と呼ばれているフォルネーゼ伯爵の裏の顔…。それを目の当たりにした男はガチガチと恐怖で震えた。

「大丈夫ですよ。僕の質問に答えてくれたら、すぐにとってあげますから。
ですから‥、僕の質問に答えてくれますよね?」

悪魔の囁きに男は拒否することはできなかった。また、あの水に沈められたらと考えるだけで恐ろしかった。男は恐怖に突き動かされるまま全ての情報を吐いた。



「ということで…、阿片の入手経路が判明しました。そちらは、治安局に連絡し、調査は依頼済みです。
組織のアジトも割れましたのですぐに騎士団に討伐命令をした方がよいかと。詳しいことはそちらの報告書に全て書いてありますので。」

「さすがだ。よくやった。ルイ。いや。フォルネーゼ伯爵よ。」

「勿体ないお言葉です。皇帝陛下。」

ルイは報告書を持って主君である皇帝陛下に現状報告をしていた。
王家特有の瞳である黄金の瞳を細めて、皇帝は愉快気に笑った。

「それにしても…、まさかこんな短期間で情報を吐かせるとは思わなかったぞ。捕らえた男は中々、口を割らなかったと聞く。」

「そうですか?あの男、僕と会って数分で口を割りましたよ。」

「ハハハッ!そなたにかかればどんな頑なな人間も一発だな。今回は一体、どんな手を使ったのだ?」

「大したことではありません。ただ、今回の実験で必要なサンプルを集めたいと思っていましたので…、丁度いいので尋問に使ってみようかと思いついただけです。」

「頼もしいな。これからも期待しているぞ。フォルネーゼ伯爵。」

「はい。陛下。」

ルイは膝をついて皇帝陛下の前に頭を垂れた。



「お帰りなさいませ。旦那様。」

「ああ。今、戻った。何か変わったことは?」

ルイが屋敷に着くと、クレメンスが出迎えてくれる。

「いいえ。特に問題はございません。ただ、一つだけご報告が。」

「何だ?」

「アルバート様から例の品が届いております。」

「…そうか。前回の鳥といい、魚といい今回も意外と早かったな。もう少し時間がかかると思ったが。」

「ええ。次は夜光石を手に入れてくると伝言を頂きました。お品物と手紙は旦那様のお部屋に。」

ルイが部屋に行くと、そこには確かに届け物があった。箱を開けると、そこには皿が納められていた。
深く濃い青色の美しい皿だ。満点の星空を閉じ込めたかのようで見ているだけで惚れ惚れとする。
それはまさに一級品の芸術であった。皿の裏側にはしっかりとイグアスという製作者の名が刻まれている。

「あの陶芸家は世俗を捨て、行方知らずと聞いていたのだが、見つけ出したのか。
…全く。駄犬は無駄に鼻が利く。」

チッと舌打ちをするルイ。

「おまけにあの陶芸家は大の貴族嫌いと聞いていたから絶対にあいつの依頼は引き受けないと思ったのに…、一体、どんな手を使って誑し込んだというのだ…。」

「しかし、アルバート様も頑張りますね。その執念深さ…、いえ。決して諦めない意思の強さは中々、真似できることではありませんよ。」

クレメンスは誤魔化しているがその実、全く隠せていない。そもそも、隠す気がないのだろう。

「無理をするな。クレメンス。あいつを庇う必要などない。それにしても…、アルバートめ。本当にしつこい男だ。さっさと音を上げて帰ってくればいいものを。」

「よいではありませんか。旦那様だって欲しい物が手に入ったのですから。」

「フン。あいつは馬鹿なのに、無駄に能力があるからな。本当、面倒な男だ。」

ルイはそう悪態を吐きながら、クレメンスが淹れた紅茶を口にする。

「そういえば、例の研究はどうなっている?」

「ああ。あの毒蛇の件でしたら、今のところ問題なく進んでおります。
無事に毒液も採取できたことですし、現在は旦那様が管理している毒物研究所に運ばれ、調査をしている段階です。毒蛇の調教はまだ時間がかかりそうですが厳重に管理しているとのことです。」

「そうか。何か変わったことや進展があればすぐに報告しろ。
くれぐれも蛇を逃がしたりしないようにな。」

「畏まりました。」

ルイの命令にクレメンスは深々と頭を下げた。クレメンスが退出した後にルイはチラ、とやりかけのチェスを見下ろした。

「全く…。しつこい男は面倒以外の何者でもないな。」

ルイは駒を手に取り、苛立たし気に呟いた。
何となく、こうなることは予想はしていたが…、本当にここまで馬鹿真面目にやるとは思わなかった。
アルバートがこんなふざけた条件なんかできるか!とでも言って、薔薇騎士や五大貴族の権力を使って最愛の姉を力づくで奪おうとするのであれば全力で叩き潰す予定だったのに…。
そうでもして自滅してくれたら姉上もあの厄介な熱病からも目が覚めるだろうし、客観的に見れば悪いのは完全にアルバートになるのだから、あの手この手でアルバートを痛めつけるいい機会だったのに…、

「まあ…、いい。まだ時間はある。」

約束は約束だ。あの条件を達成すれば約束通り、姉上との交際を許可しよう。
勿論、交際期間中はしっかりと監視させてもらうし、交際するにあたって簡潔な決まり事やルールは守ってもらわないと…。それらを破ったら、すぐに姉上から身を退いて別れることに同意すると誓約書も書かせて…、
二人が恋人同士になっても邪魔をする気満々のルイだった。
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