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第百六十話 会えないのがこんなにももどかしい

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「ごめん!リエル!」

アルバートの謝罪にリエルは気にしないで、と首を横に振った。

「ううん。仕事じゃしょうがないもの。長期任務、頑張ってね。」

「え、あ…、ああ。」

リエルが笑顔でそう言うと、アルバートは気まずそうにしながら頷いた。
アルバートは長期任務で国を離れることになり、暫くリエルとの時間を作れないと謝りに来たのだ。
既にアルバートは旅装の姿をしている。これからすぐに出発するらしい。

「リエル。俺、すぐに帰って来るからな。」

「無理しないで。」

リエルはアルバートの手を握り、内心の寂しさを隠してそう言った。

「土産を買ってくるからな。お前が喜びそうな物を持って帰ってくる!」

「ありがとう。でも、お土産なんて別に気にしなくていいのに。無事に帰ってきてくれるだけで…。」

「俺、絶対に生きて帰って来るから!」

「う、うん。」

何だか物騒な言葉にリエルはん?と思った。アルバートはリエルの額にキスをし、そのまますぐに出立してしまう。リエルはそのままアルバートの姿を見送った。

「はあ…。行ってしまった。」

リエルはアルバートの姿が見えなくなり、一気に寂しさと切なさを感じた。さっき別れたばかりなのにもう彼が恋しい。これで暫く会えなくなるだなんて…。リエルは溜息を吐いた。せめて、アルバートにお守りを作ってあげればよかったな。急に決まったことだから、そんな時間もなくて…、リエルは待つだけしかできない自分が不甲斐なく感じた。



アルバートが出立してから数日が過ぎた。
それなのに、リエルはもう心に穴が開いたかのように寂しい。アルバートと心を通わせてからは、彼は時間の合間にリエルに会いに来てくれていた。だから、会いたくても会えないのがこんなにももどかしい。仕事の為に仕方ないと頭では理解していても会えなくて寂しいという気持ちはどうしても抱いてしまう。
でも、忙しい中でもアルバートはリエルに手紙を定期的に出してくれる。その手紙のやり取りがリエルの寂しさを癒してくれる。

「あら?この国って確かエルレスト山がある所?」

リエルは差し出された手紙を見て、そう呟いた。エルレスト山とは、世界一高い山の名だ。
エルレスト山には希少価値の高い宝石があるといわれ、毎年それを手に入れようとする冒険者や挑戦する者が多くいるが実際にそれを手にした人間はごく僅か。エルレスト山は登山家の上級者でも登りきるのが難しいといわれている危険な山で毎年多くの死者や行方不明者をだしている。
手紙にはエルレスト山に行ってくるという内容が書かれていた。薔薇騎士の任務で調査でも命じられたのだろうか?アルバートが優秀な騎士であるのは知っているが大丈夫だろうか?危険な場所だといわれているエルレスト山に行くと知り、リエルは不安を抱いた。
どうか、無事に戻ってこれますように…。
リエルはそっとアルバートの無事を祈った。



「リエル様?リエル様ではありませんか!?」

リエルはゾフィーが経営しているお店に買い物をした後、町を軽く散策していた。歩き続けたせいか喉が渇いてしまい、メリルが飲み物を買ってきてくれているので待っていると、背後から声を掛けられた。振り向けば、そこには…、

「あなたは…、」

ルクク村の村長の息子だった。村一番の美男子と評判の精悍な顔立ちをした青年にリエルは笑顔で挨拶を返した。彼も好意的な笑顔を見せて、頭を下げてくれる。聞けば、村で育った果物を売りに来たらしい。

「良かったら、リエル様もどうぞ。」

そう言って、緑色の梨を差し出してくれる。

「ありがとう。幾らかしら?」

「いえいえ!お嬢様から代金を頂くわけにはいきません。村が平和で過ごせるのも領主様とリエル様のお蔭です。これは、ほんのお気持ちですから。」

そう言って、村長の息子に押し切られ、リエルはいいのかな?と思いつつもありがたく梨を受け取った。

「ありがとう。弟も喜ぶわ。早速、今日の夜にでも頂くわね。」

「勿体ないお言葉です!」

リエルの言葉に青年は満面の笑顔で頭を下げた。

「そういえば、ルクク村は最近、どう?何か変わったことはない?」

リエルがそう訊ねると、彼は少し暗い表情を浮かべた。

「何かあったの?」

「え、ええ。その…、実は…、村娘の一人が家出をしてしまい、行方不明なんです。」

「行方不明?一体、誰が?」

「アガットです。」

アガット。確かルクク村で一番の美少女だった子だ。金茶色の髪をした愛らしい少女の姿をリエルは思い浮かべた。

「実は、僕はアガットと結婚する予定なんです。」

「え!?そうだったの?」

彼はアガットを思い出したのか、僅かに頬を赤く染めてコクンと頷いた。

「え、ええ…。アガットの両親も許してくれたのでアガットと結婚することが決まったんです。」

「まあ…。素敵ね。アガットは可愛らしいし、とてもお似合いだわ。」

「けど…、その直後にアガットが行方不明になってしまって…、彼女が無事なのかどうかが心配です。」

リエルは村長の息子が心配そうに目を伏せるのを見て、

「…そう。分かったわ。それなら、私も協力するわ。ルイに相談して、今度、捜索隊を出して貰えるように…、」

「え、い、いえ!そんな!ただの村人一人の為にご領主様の手を煩わせるわけには…!」

「だからこそよ。大切な領民がいなくなったのだから、私達が手を貸すのは当然の事だわ。それに、この梨のお礼もしたいし。」

そう言って、リエルはニコッと笑った。

「リエル様…。ありがとうございます!感謝します!本当に…!」

村長の息子は深く深く頭を下げてお礼を言った。何度も何度もお礼を言い、頭を下げて彼は仕事に戻っていった。アガットの件をルイに相談しようと心に決めながらもリエルはふと、メリルがいつまでも帰ってこないことに気が付いた。様子を見に行こうと思い、メリルが行った場所へ足を向ける。そこには…、

「やめてください!」

あれはメリルの声?リエルは叫び声のようなものに異変を感じ、駆け出した。

「いや!放してったら!」

「ええい!うるさい!たかが平民の分際で…!」

「お止めなさい!」

リエルが思わず間に割り込むように声を上げた。
メリルは一人の男に腕を掴まれ、無理矢理どこかに連れて行かれそうになっていた。急いでメリルに駆け寄り、バッと二人の間に割って入った。
男は一見、貴族の様だったがよく見れば貴族らしい装いとはいえなかった。服は乱れ、足取りもおぼつかない。それに、この強いアルコールの匂いがする。
こんな時間に飲んでいるのだろうか?リエルはそう思いながらもメリルを背に庇い、目の前の男を睨みつけた。

「お、お嬢様あ…。」

メリルは男の人が苦手だ。だが、その可憐な容姿から言い寄る男が後を絶たない。
そんなメリルがいきなり、男の人に腕を掴まれたりしてさぞや怖かっただろう。
リエルは思わず目の前の男に怒りを抱いた。一体、何の真似かと思わず非難の声を上げようとしたその時、男はリエルを見ると、顔色を変えた。

「その眼帯…!貴様、あの憎きフォルネーゼ伯爵の…!」

男がギラギラした目でリエルを睨みつけた。
私を知っている?
いや。この反応はルイに恨みを抱いた…?男は血走った目を向け、唾を吐きかける勢いで叫んだ。

「この、厄病神め!貴様のせいで俺は散々な目に遭ったのだ!くそ!くそ!貴様さえいなければ…!」

そう言って、男は懐から何かを取り出した。ギラリ、と光るそれは…、ナイフだった。

「殺してやる!この、悪魔め!」

「メリル!下がって!」

リエルは急いでメリルを下がらせ、サッと腰を低くした。ナイフを振り上げる男の手首を掴み上げると同時に身体を反らし、真横に来るように移動し、拳で殴りつけた。呻き声を上げて、力が抜けた男の手からナイフを取り上げ、よろめいた男を思いっきり床に叩きつけた。

「グッ…、ウッ…!」

「正当防衛です。悪く思わないで。それより、あなた一体何なのです?私はあなたなんて、知らないし、第一…、」

ふと、リエルは男の顔をまじまじと覗き込み、見覚えがあることに気が付いた。

「あなた…、」

リエルはハッとした。思い出した。この男はかつて、リエルにチェスでぼろ負けした縁談相手の伯爵子息だった。あの後、あの伯爵家は不正や横領やらが見つかり、財産や領地の一部を没収され、爵位降格の処分を受けた筈だ。それから、まるで没落の道を辿るように事業に失敗し、借金を重ね、落ちぶれてしまったと聞いた。社交界でも姿を見せず、噂にも上がらなくなったのでリエルはその後の事を知らなかった。
リエルはまさかこんな所で再会するとは思わず、戸惑っていると、

「リエル嬢?」

呼ばれた声に振り返れば、そこには…、薔薇騎士の一人、ニコラスが立っていた。巡回中なのだろう。紫薔薇騎士の騎士服を身に纏っている。

「ニコラス様!」

「何か揉め事?」

タッとニコラスがリエルに近付く。すると、地面に這いつくばっていた男が起き上がろうとし、そのまま顔を上げる。そして、ニコラスの姿を目にした途端…、

「ヒ…!ヒイイイイ!?ば、ばばば、薔薇騎士い!?」

ズザザ、と勢いよく後退り、顔色が真っ青になる男は尋常ない位に怯えていた。ガタガタと震え、今にも泣きそうだ。

「…何、その反応。俺、まだ何もしてない。」

ぼそり、と無表情で呟くがニコラスが話しかけ、一歩近づくだけで男は悲鳴を上げる。

「う、うわああああ!く、来るなあ!」

逃げようとするが腰が抜けたのかへたり込んだまま動かない男にリエルは呆然とした。

「何があったのか知らないけど、とりあえず状況を…、」

説明して欲しい、と言おうとしたニコラスだったが男は遂に限界に達したのかそのまま気絶してしまった。バタリ、と倒れる男を前にニコラスは数秒無言で見下ろす。

「これ、どうすればいい?」

ニコラスはそう言って、これ、と気絶した男を指差し、リエルに訊ねるしかなかった。



「そう。そんな事が。災難だったね。リエル嬢…とそのお付きの人。」

ニコラスはそう言って、リエルと背後で震えているメリルを労った。事情を聞いたニコラスは部下達に男を捕縛して、連行するように指示した。

「あの男は婦女暴行未遂と傷害罪で裁かれるだろうから、暫くは出てこれないよ。だから、安心していい。」

「あ、ありがとうございます。でも、あの…、あの方は一体、どうしてあそこまでニコラス様に怯えていたのでしょうか?」

「ああ。僕というより、薔薇騎士が怖いだけだよ。彼、あのアルバートとの一件がトラウマになったみたい。薔薇騎士の制服が視界に入っただけでああやって異常に反応するらしいから。…僕はその現場にいなかったから知らないけど、よっぽどアルバートに殴られたのが堪えたみたいだ。」

「そ、そうなんですね…。」

リエルは苦笑した。そういえば、アルバートはあの伯爵子息を夜会で突然、殴りつけ、大怪我を負わせて謹慎処分を受けたのだ。
その理由は恐らく、私を守る為…。
それを知った今では、アルバートの気持ちがただどうしようもなく、嬉しい。
…ちょっとやり過ぎな気はするが。

「あの時、アルバートを止めてくれたのはサミュエル。詳しい話を聞きたいなら、サミュエルに聞くといいよ。」

「サミュエル様が…。」

リエルは黄薔薇騎士、サミュエルの姿を思い出し、呟いた。そして、あ、と思い出したようにニコラスに顔を上げると、

「そういえば、ニコラス様。この間は昆虫館の前売り券を譲っていただいてありがとうございました。」

「ああ。気にしないでいいよ。まだ持っているし、二枚くらい減っても何ともないから。」

ニコラスはそう言い、デートは楽しかった?と無表情で聞いた。
ニコラスは別に不機嫌とかではなく、いつもこんな表情だ。それを知っているからこそリエルは気にすることなく、答えた。

「ええ!とっても!たくさんの蝶や昆虫を見ることができました。」

「そう。良かったね。アルバート、君のデートの為にサミュエルからデートの心得を聞いたり、女の子が喜びそうなスイーツやデートスポットやコースをこそこそと調べたりしていたから。」

何だか、想像できてしまう。リエルは思わず笑ってしまった。
デートをした時、アルバートは手慣れた感じでスマートにエスコートしてくれた。姉や他の女性とデートしているから慣れているのかな?と思ったが実際は陰でそんなに努力していたなんて…。

「そういえば、リエル嬢はアルバートと一緒じゃないの?」

「え?いえ…。アルバートは長期の任務で国を離れるので暫く会えないと…、」

「長期任務?確かアルバートは長期の休みを貰っていたよ。」

「え!?」

リエルは思いがけない言葉に驚いた。

「急に申請したからセイアスが渋っていたけど、アルバートが何が何でも休みをくれ!ってしつこいから根負けしたみたい。あの時の必死な様子から絶対にリエル嬢絡みかと思ったんだけど、違ったんだ?」

「…初めて知りました。アルバートは仕事で暫く会えないってそう言われて…、」

「へえ、そうなんだ。何でそんな嘘を吐いてまで隠しているんだろうね。」

嘘。ニコラスの言葉にリエルは凍り付いた。
アルバートが私に嘘を?どうして?まさか…、
一瞬、浮気かと思ったが慌ててその考えを否定した。

「…まあ、帰ってきてから聞いたらいいよ。じゃあ、僕はこれで。」

ニコラスはそう言って、リエルの前から立ち去った。
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