8 / 20
第8話
しおりを挟む
バサッ!バサッ!と翼を羽ばたたせながら空を駆ける。見下ろせばそこは黒い瘴気と深い霧に覆われた暗い森が広がっている。鬱蒼と生い茂った森は薄暗く、不気味な印象を与える。ヴァルスは黒の森を見渡しながら、母の言葉を思い起こした。
「ヴァルス…。人間は我々一族の敵なのだ。我ら一族が受けた屈辱を…、決して忘れるな。」
そう言って、母は鋭い視線を森のずっと向こう…、あの王国を見据え、睨みつけていた。
「絶対に人間に心を許してはならぬ!」
この森の生命の源であり、礎でもあった美しい石。
森の穢れを払い、浄化されていたからこそ、森は生命力に溢れており、美しい輝きを保つことができていた。
だが、それを奪われてしまい、森は光を失った。母体を失った森は黒い瘴気が蔓延り、呪いの森へと変貌した。
強い突風を巻き起こしながら、ヴァルスは地面に降り立った。
岩の上に腰を下ろし、眼前を見下ろす。こうして、黒い森を一望していると、かつての母の姿が甦る。
母もよくここで人間に対する憎しみや怒り等が混じり合った感情を吐き出し、必ず報いを受けさせてやると呟いていた。
母はかつての美しい森を取り戻そうと力を尽くした。その為には、あの石を取り戻すことは必要不可欠だった。
人間の手から石を取り戻す。それは母の悲願だった。
しかし、それは叶わなかった。母はその遺志を子であるヴァルスに託した。
母が生きていたらきっとあの聖女を生かすことを許さなかっただろう。人間を憎んでいた母の事だ。
一瞬の迷いも躊躇することなく、聖女の命を刈り取っていた事だろう。
ヴァルスがこれまで人間達にしてきたように。
これは母の遺志に背いたことになる。あの聖女がフェルを助けた過去がなければヴァルスも母の言葉通りに従っていた。どんなに魔力が高く、聖女と呼ばれた女だろうと所詮は人間。ヴァルスの敵ではない。あの薄汚い男達と同じ目に遭わせるつもりだった。だが、あの聖女はフェルの恩人だった。森の掟には、恩を受けたならそれを返さないとならないという決まりがある。
母の遺志と森の掟…。どちらを優先するべきか。
一瞬、聖女だろうとフェルの恩人だろうと人間…。
殺意を覚え、手にかけようとした。が、殺そうとするとフェルが猛反対したので止めた。
ヴァルスは森の掟を優先した。聖女を保護し、その恩を返すことに決めたのだ。この判断が正しいかどうかは分からない。だが、この森の守護妖精として、公正な判断を下さないとならない。
客観的に見れば、人間ではあるがこの森の住人を助けたのは紛れもない事実。恩を仇で返したとなっては、あの下劣で愚かな人間達と同じ穴の狢になってしまう。ヴァルスにとってそれは耐え難い屈辱であり、吐き気がする程に嫌悪するものだった。我々は人間達とは違う。そう思ったからこそ、聖女を助けたのだ。
「聖女、セラフィーナ…。」
あの女を助けたのが吉と出るか凶と出るか…。ヴァルスにはまだ予測ができないことだった。
もし、この森に害を及ぼすと判断したその時は…、ヴァルスの金色の目は不穏な光を宿していた。
あれから一人、取り残されたセラフィーナは何か自分でもできることはないかと考え…、家事をしてみようという考えに至った。そして、掃除を始めた。掃除などやったことがないセラフィーナは掃除って何を使うんだろう?という所から始まったが教会の神官見習いがやっていた掃除の姿を思い出しながら、掃除をしてみることにした。
まず、水汲みをしなければ。そう思い、屋敷の裏に井戸があったのでそこに行ってみたが井戸の水は枯れていた。
そこで川まで水を汲みに行くことにした。そこで、セラフィーナはフェル達に川まで案内してもらったのだが…、
「え…、ここが川…?」
ドロドロ、といった言葉が似合いそうな位に黒く濁った川にセラフィーナは口元が引き攣った。
ここまで汚い川の水は初めて見た。というか、この水…。絶対に身体に悪そうだ。セラフィーナは川を眺めながらそう感じた。こんな水を使ったら掃除どころか益々汚れてしまいそう。セラフィーナは途方に暮れた。
「もしかして、これも…、石の加護がなくなったせい…?」
セラフィーナはそう思い、スッと川に手を伸ばした。
ヴァルスに見せてもらった記憶では川の水は透き通っていて日の光に反射して、水はキラキラと虹色の光を放ってとても綺麗な景色だった。あんなに綺麗な水が流れていたのに…。私達、人間のせいで…、セラフィーナは川の水を掬った。濁った水はセラフィーナの手から零れ落ちていく。
セラフィーナは川の水に触れ、手から零れ落ちていく水を眺めながら、ふと、ある事に気が付いた。
「この感じ…。」
セラフィーナはもう一度、川の水に手を沈める。じっと川を見つめながら、神経を集中させる。
この禍々しい気…。まるでべたべたと纏わりつくような感覚…。セラフィーナはハッと辺りを見回した。
森全体に感じるこの黒い瘴気…。そうだった。この森は石を奪われてから、黒い瘴気に覆われるようになったんだ。
この川の水もそのせいでこんなに汚染されたのだ。川からは強い穢れを感じる。
「…。」
川から手を引き上げ、セラフィーナは考え込んだ。
浄化魔法を使えば…、少しは元の川に戻るだろうか。セラフィーナは聖女として、穢れで充満してしまった土地や村を浄化したことがある。でも、あれは微弱なものでこんなにも目に見える程に強い穢れは見たことがない。
セラフィーナに浄化できる自信はなかった。
でも…、セラフィーナはスッともう一度川に手を漬けた。
もし、少しでも…、可能性がああるのなら…、試してみる価値はある。セラフィーナは浄化魔法を発動した。
金色の光が辺りを包み込んだ。
川の色に変化はない。だが、少しずつ、少しずつその色は薄れていった。濁りが消え、透き通った水の色へと変わっていく。光が消える頃には川には清涼な水が流れ、あの濁った川の面影もなくなっていた。
セラフィーナは思わず笑顔になった。
「カアカア!」
「ギャギャ!ギャギャ!」
フェル達がびっくりしたように同時に嬉しそうに声を上げている。そんな鴉達を見ていると、セラフィーナも嬉しくなった。フェル達は川の水に嘴をつけて水を飲み始めた。セラフィーナもそっと水を掬って飲んでみる。
冷たい水が喉に伝った。
「美味しい…。」
渇きが満たされていく。水が身体に行き渡る心地よい感覚にセラフィーナはほう、と溜息を吐いた。
セラフィーナは持ってきたバケツに水を汲むと、それを持って屋敷に戻った。
「ヴァルス…。人間は我々一族の敵なのだ。我ら一族が受けた屈辱を…、決して忘れるな。」
そう言って、母は鋭い視線を森のずっと向こう…、あの王国を見据え、睨みつけていた。
「絶対に人間に心を許してはならぬ!」
この森の生命の源であり、礎でもあった美しい石。
森の穢れを払い、浄化されていたからこそ、森は生命力に溢れており、美しい輝きを保つことができていた。
だが、それを奪われてしまい、森は光を失った。母体を失った森は黒い瘴気が蔓延り、呪いの森へと変貌した。
強い突風を巻き起こしながら、ヴァルスは地面に降り立った。
岩の上に腰を下ろし、眼前を見下ろす。こうして、黒い森を一望していると、かつての母の姿が甦る。
母もよくここで人間に対する憎しみや怒り等が混じり合った感情を吐き出し、必ず報いを受けさせてやると呟いていた。
母はかつての美しい森を取り戻そうと力を尽くした。その為には、あの石を取り戻すことは必要不可欠だった。
人間の手から石を取り戻す。それは母の悲願だった。
しかし、それは叶わなかった。母はその遺志を子であるヴァルスに託した。
母が生きていたらきっとあの聖女を生かすことを許さなかっただろう。人間を憎んでいた母の事だ。
一瞬の迷いも躊躇することなく、聖女の命を刈り取っていた事だろう。
ヴァルスがこれまで人間達にしてきたように。
これは母の遺志に背いたことになる。あの聖女がフェルを助けた過去がなければヴァルスも母の言葉通りに従っていた。どんなに魔力が高く、聖女と呼ばれた女だろうと所詮は人間。ヴァルスの敵ではない。あの薄汚い男達と同じ目に遭わせるつもりだった。だが、あの聖女はフェルの恩人だった。森の掟には、恩を受けたならそれを返さないとならないという決まりがある。
母の遺志と森の掟…。どちらを優先するべきか。
一瞬、聖女だろうとフェルの恩人だろうと人間…。
殺意を覚え、手にかけようとした。が、殺そうとするとフェルが猛反対したので止めた。
ヴァルスは森の掟を優先した。聖女を保護し、その恩を返すことに決めたのだ。この判断が正しいかどうかは分からない。だが、この森の守護妖精として、公正な判断を下さないとならない。
客観的に見れば、人間ではあるがこの森の住人を助けたのは紛れもない事実。恩を仇で返したとなっては、あの下劣で愚かな人間達と同じ穴の狢になってしまう。ヴァルスにとってそれは耐え難い屈辱であり、吐き気がする程に嫌悪するものだった。我々は人間達とは違う。そう思ったからこそ、聖女を助けたのだ。
「聖女、セラフィーナ…。」
あの女を助けたのが吉と出るか凶と出るか…。ヴァルスにはまだ予測ができないことだった。
もし、この森に害を及ぼすと判断したその時は…、ヴァルスの金色の目は不穏な光を宿していた。
あれから一人、取り残されたセラフィーナは何か自分でもできることはないかと考え…、家事をしてみようという考えに至った。そして、掃除を始めた。掃除などやったことがないセラフィーナは掃除って何を使うんだろう?という所から始まったが教会の神官見習いがやっていた掃除の姿を思い出しながら、掃除をしてみることにした。
まず、水汲みをしなければ。そう思い、屋敷の裏に井戸があったのでそこに行ってみたが井戸の水は枯れていた。
そこで川まで水を汲みに行くことにした。そこで、セラフィーナはフェル達に川まで案内してもらったのだが…、
「え…、ここが川…?」
ドロドロ、といった言葉が似合いそうな位に黒く濁った川にセラフィーナは口元が引き攣った。
ここまで汚い川の水は初めて見た。というか、この水…。絶対に身体に悪そうだ。セラフィーナは川を眺めながらそう感じた。こんな水を使ったら掃除どころか益々汚れてしまいそう。セラフィーナは途方に暮れた。
「もしかして、これも…、石の加護がなくなったせい…?」
セラフィーナはそう思い、スッと川に手を伸ばした。
ヴァルスに見せてもらった記憶では川の水は透き通っていて日の光に反射して、水はキラキラと虹色の光を放ってとても綺麗な景色だった。あんなに綺麗な水が流れていたのに…。私達、人間のせいで…、セラフィーナは川の水を掬った。濁った水はセラフィーナの手から零れ落ちていく。
セラフィーナは川の水に触れ、手から零れ落ちていく水を眺めながら、ふと、ある事に気が付いた。
「この感じ…。」
セラフィーナはもう一度、川の水に手を沈める。じっと川を見つめながら、神経を集中させる。
この禍々しい気…。まるでべたべたと纏わりつくような感覚…。セラフィーナはハッと辺りを見回した。
森全体に感じるこの黒い瘴気…。そうだった。この森は石を奪われてから、黒い瘴気に覆われるようになったんだ。
この川の水もそのせいでこんなに汚染されたのだ。川からは強い穢れを感じる。
「…。」
川から手を引き上げ、セラフィーナは考え込んだ。
浄化魔法を使えば…、少しは元の川に戻るだろうか。セラフィーナは聖女として、穢れで充満してしまった土地や村を浄化したことがある。でも、あれは微弱なものでこんなにも目に見える程に強い穢れは見たことがない。
セラフィーナに浄化できる自信はなかった。
でも…、セラフィーナはスッともう一度川に手を漬けた。
もし、少しでも…、可能性がああるのなら…、試してみる価値はある。セラフィーナは浄化魔法を発動した。
金色の光が辺りを包み込んだ。
川の色に変化はない。だが、少しずつ、少しずつその色は薄れていった。濁りが消え、透き通った水の色へと変わっていく。光が消える頃には川には清涼な水が流れ、あの濁った川の面影もなくなっていた。
セラフィーナは思わず笑顔になった。
「カアカア!」
「ギャギャ!ギャギャ!」
フェル達がびっくりしたように同時に嬉しそうに声を上げている。そんな鴉達を見ていると、セラフィーナも嬉しくなった。フェル達は川の水に嘴をつけて水を飲み始めた。セラフィーナもそっと水を掬って飲んでみる。
冷たい水が喉に伝った。
「美味しい…。」
渇きが満たされていく。水が身体に行き渡る心地よい感覚にセラフィーナはほう、と溜息を吐いた。
セラフィーナは持ってきたバケツに水を汲むと、それを持って屋敷に戻った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
悪役令嬢と転生ヒロイン
みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」
鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。
そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。
ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。
その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。
この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。
改めて、鏡の中の姿を見る。
どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。
問題は、そこではない。
着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。
これはもしかして、小説版に転生?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる