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0-14 アイス落下

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 俺は木の実入りのアイスを買ってきた。そしてそれをレティシアに手渡す。
 一個銀貨一枚だったんだがあってるよな?
 高いのか安いのかぜんぜんわからんが……。
 それを受け取りながらレティシアが言った。

「木の実入りのアイスはそこら辺の子供はなかなかそれを買ってもらえないだろう。銀貨一枚もするのだからな」

 えっと、金貨1枚が銀貨10枚だっけ。

「そう。そして銀貨1枚が大銅貨10枚。大銅貨1枚が小銅貨10枚。金貨一枚が君の世界で言えば一万円くらいの価値だ」

 なるほど。って、昔より貨幣の価値さがったんだな。
 金貨と言えば一枚でちょっとした技物の剣一本買える価値だったはずだが。
 レティシアはその問いには答えずアイスをぺろぺろと舐めながら新たな問いを俺にかぶせる。

「で、なんでまだこの世界に来たばかりですってんてんのはずの君が金を持っているんだ?」

 ああ。ちょっとさっき一仕事終えてね。

「ふーん。君は人がいいからボランティアでもした気でいるんだろうがな」

 うーん。まあそんな感じかな。

「で、何の魔法を創った」

 なんでそれがわかるんだよ。

「今の君にはそれしか取り柄が無いからな」

 ステルス魔法を作った。
 俺がそう心の中で思うとレティシアは食ってたアイスを噴き出した。

「おいおい! ステルス魔法ってまさかとは思うが魔法探知に引っ掛り難いとかその手の魔法じゃないだろうな!?」

 うん。そうだよ。

「そうだよ。じゃねーよ! それがどういう事かわかっているのか!? この世界のバランスを大きく崩すことになりかねないんだぞ!」

 いや、そう思ったからスピード系の魔法に限定した。

「あのな。君の作る魔法はな。魔法の素だ。魔法を機械に表した場合で言えばもっとも単純な機構の魔法と言えるんだ。しかしこの世界で新たな機構の魔法を作ろうと思ったら最低20年はその開発にかかるんだぞ。それを君は一瞬で創りあげる事ができる。つまり、20年の魔法の歴史を瞬間的に縮める言う事なんだ。15年前以前に君がこの世界で数々の魔法を生み出してどうなった? そしてたった15年で『この様』な世界ができあがったんだぞ! 私はその責任を取れと言ったのに何また安定期に入っているこの世界をカオスに導こうとしているんだ!」

 言いたいことはわかるよ? でも、僕、それしかできないし。

「はぁ。まあそうだな。それでいい。で、誰にその魔法を教授したんだ?」

 レッドドラゴン種の運送屋のマイケルさんだよ。
 ポトッ。レティシアがアイスを落とした音だ。
 レティシアが呟く。

「私、ちょっと王宮に帰るわ」

「ん? どうした? アイスで腹を冷やして糞でもしたくなったのか?」

 俺のその言葉を聞かず、レティシアは瞬間移動魔法テレポートを使用してその場から消えてしまったのだ。

 一体何なんだよ……。
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