辺境伯と悪役令嬢の婚約破棄

六角

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見切り

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私は自分の人生に見切りをつけた。

私は自分の人生に興味がなくなった。

私は自分の人生に逃げ出した。

私はアルベルト伯爵に手紙で返事をした。

「アルベルト・ノイエン伯爵様

貴方からの手紙を拝読しました。貴方からの結婚の申し込みに驚きましたが、貴方からの敬意と好意に感謝します。

そこで、私から貴方に一つお願いがあります。それは条件です。貴方と結婚する条件です。

貴方と結婚するならば、貴方は私に対して以下のことを守ってください。

- 貴方は私に対して暴力や暴言や侮辱を振るわないこと。
- 貴方は私に対して不忠や不倫や浮気をしないこと。
- 貴方は私に対して尊重や配慮や理解を示すこと。
- 貴方は私に対して自由や選択肢や幸福を与えること。
- 貴方は私に対して愛情や信頼や安心を与えること。

これらの条件を貴方が承諾してくださるならば、私も貴方と結婚することを承諾します。どうか、貴方の返事をお待ちしております。

レイナ・ファーディン令嬢」

この手紙を書いて送った後、私は少し後悔した。

この条件があまりにも高望みだったかもしれないと思った。

この条件が彼を怒らせたり嫌わせたりしたらどうしようと思った。

この条件が彼に拒否されたらどうしようと思った。

しかし、私はそれ以上考えるのをやめた。

私はもう何も期待しなかった。

私はもう何も感じなかった。

私はただ、彼からの返事を待った。

数日後、私は彼からの返事を受け取った。

それは簡潔なものだった。

「レイナ・ファーディン令嬢

貴女からの手紙を拝読しました。貴女からの結婚の条件に驚きましたが、貴女からの要求に理解します。

そこで、私から貴女に一つお答えします。それは承諾です。貴女と結婚する条件を承諾します。

貴女と結婚するならば、私は貴女に対して以下のことを守ります。

- 私は貴女に対して暴力や暴言や侮辱を振るいません。
- 私は貴女に対して不忠や不倫や浮気をしません。
- 私は貴女に対して尊重や配慮や理解を示します。
- 私は貴女に対して自由や選択肢や幸福を与えます。
- 私は貴女に対して愛情や信頼や安心を与えます。

これらの条件を私が承諾したことで、貴女も私と結婚することを確認します。どうか、早急に準備を整えてください。私は近日中に貴女の屋敷に伺います。そして、私は貴女を連れて辺境伯領へと向かいます。私は貴女と共に新しい人生を始めることを楽しみにしております。

アルベルト・ノイエン伯爵」

私は手紙を読み終えたとき、呆然とした。

私は信じられなかった。私は理解できなかった。

なぜ、彼は私の条件を受け入れるのだろうか?

彼は本当に私のことを愛しているのだろうか?

彼は本当に私のことを尊重しているのだろうか?

彼は本当に私のことを幸せにするつもりなのだろうか?

それとも、彼には何か別の目的があるのだろうか?

私は手紙に書かれた言葉に一つも信用できなかった。私は手紙に書かれた申し出に一つも魅力を感じなかった。

私はただ、恐怖と不安と疑念で満たされた。

私はこの手紙にどう返事すればいいのだろうか?

私はその問題に悩んだ。

私は父親に相談しようと思ったが、父親は私に冷たくなっていた。父親は私が王太子殿下と婚約を破棄されたことで、私に期待や信頼を失っていた。父親は私に対して、責任や義務や恥辱を感じていた。

私は友人に相談しようと思ったが、友人は私から離れていった。友人は私が悪役令嬢と呼ばれるようになったことで、私に同情や嫌悪や恐怖を感じていた。友人は私に対して、利用や裏切りや妬みを感じていた。

私は一人ぼっちだった。

私は誰も頼れなかった。

私は自分の判断で決めなければならなかった。

私は手紙を何度も読み返した。

私はアルベルト伯爵の言葉を何度も考えた。

私は自分の気持ちを何度も確かめた。

そして、私は結論に達した。

私はアルベルト伯爵と結婚することにした。

それは愛や敬意や忠誠の結果ではなかった。

それは絶望と無関心と逃避の結果だった。



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