異世界転生興国記

青井群青

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ダンジョン?~戦闘?

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 ヒロキはなんとなく断崖の岩棚が気になったので風魔法を駆使して降りてみることにした。崖の下は鋭い岩が顔を覗かせる浅瀬の海なので慎重に降りた。着地してみると目の前には高さ幅が2メートル程の洞窟があった。暗いので奥行きはどれぐらいなのかはわからない。
「まるでダンジョンみたいだな。時間もあるし入ってみようかな。」
ヒロキはそう呟くと進んでみることにした。灯りがないので火魔法を使い進むこと数分ほどで巨大で重厚な鉄扉が現れた。扉は開けるにはとても重そうだ。ヒロキは多少躊躇ったが開けてみることにした。

ギギギッ・・・ンゴゴゴゴゴゴ。

 何とか扉が開いたので中に入ってみると金属のタイルで覆われた壁や天井の通路が広がっていた。明るくもないが暗くもない照明が通路には点いているみたいだ。天井には等間隔に何かの石が埋め込まれていてボンヤリ光っていた。詳しい材質まではわからないが元の自分がいた世界に限りなく近い感じがした。そのまま何もない通路を進んでいく。通路は特に軋む音も出ない。聞こえるのは自分の足音のみだった。通路を更に進んで行くとT字路に出た。ヒロキは左右を確認すると右側にはドアがあり左は通路が更に続いていた。
 ヒロキはひとまず右のドアを開けてみることにした。ドア自体は特に問題なく開いた。とても軽かった。部屋の中は広さは約10畳程で部屋の中央にとても見覚えのある物が鎮座していた。何故か什器があった。什器には携帯電話のような物が整然と並べてあった。

「なんでこんな物が・・・」

 ヒロキはかなり訝しんだが、すぐに気を取り直しそれを手に取る。なんてことはない2つ折りのよくある携帯電話は所謂ガラケーである。携帯をおもむろに開いてみる。すると突然手に取った携帯電話の電子音が鳴り響くとヒロキの手から宙に浮いて離れた。そして同じように並んでいた携帯電話が全てではないがやはり電子音がなると宙に浮いた。その数は凡そ10台。驚くことにその携帯電話はアラームのような電子音を鳴らしながらヒロキに向かって次々と飛んできた。正確には襲いかかってきた!

「っ!?痛いっ!イテテ!なんじゃこりゃ!!」
携帯電話はヒロキの身体中にぶつかってくる。怪我をするほどではないが地味に痛い、嫌がらせレベルである。ヒロキは突然のありえない出来事に混乱しそうになった。携帯が襲ってくるなんてちょっと理解が追い付かなかった。冷静なら魔法を使って反撃したのだろうがまだ使い慣れておらず、パニック気味だったので使えなかった。
 時間にして数十秒後何とか態勢を整え冷静さをある程度取り戻す。飛んできた先頭の携帯電話をなんとか手でキャッチすると反対側にくの字に折る。すると携帯は動かなくなった。同じように残りの携帯電話を迎撃していく。なんとか終わった。変に罪悪感もあった。しかし襲ってきたものは仕方がないと自分に言い聞かせた。そんなことを思いながらヒロキは部屋を後にした。
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