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第178話 為すべき事
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エメリの予言により、何をしなければならないか明確になった。
そして聖剣の儀式を受けるために、
賢者が神殿の場所について説明する。
「最後の神殿は、ルミナスの地下だ……
実は、この謁見の間に隠し通路がある」
賢者がその言葉を発すると、
更にルミナス国王が説明を加えた。
「長い歴史の中で私達は守ってきた……
初代国王が眠る墓を……」
その事実に俺達は驚愕してしまう。
この部屋の隠し通路を通った先に、
最後の試練が待ち受けているのだ。
「初代国王に認められた時、
覇王は更なる進化を遂げる……」
「それが……俺の為すべき事」
賢者と陛下からの説明を終えて、
試練の覚悟を決める。
そして聖剣の試練を受ける前に、
女神アテナが魔王軍について口を開いた……
「魔王軍の中に転移使いがいる。
その者がミゲルに現れた瞬間、
この国の周辺まで転移するぞ」
アテナが言っている人物は、シンに間違いない。
賢者の結界と精霊の力によって、
ルミナスに直接転移は出来ない。
しかしミゲルに到着した途端に、
ルミナス周辺まで転移されてしまう。
「そうなれば、
戦力を一気に投下してくるだろう」
大量の魔物が一斉に突撃すると、
国民の被害は甚大となる。
その防衛策に頭を悩ませていた……
「あの……
私に考えがあります!」
今まで発言をしていなかったが、
ここにきて協力を申し出る人物がいた。
それはイグニスの王、ガルムだ。
「我々はルミナスに返しきれない恩がある……
国民の避難先として受け入れます。
イグニスに避難してください」
「それは願ってもない話だ!」
その提案に陛下だけでなく、賢者も賛成する。
間違いなくルミナスは戦場になり、
このままでは国民が犠牲になるところだった。
「勿論、獣人部隊も支援します」
「ガルム……」
返しきれない恩があると言ったが、
それは俺の方こそ同じだ。
時を超えて助けてくれるガルムに、
心から感謝したい……
「ジークの飛行船で国民をイグニスまで送る。
その後、ルミナスの兵士、精霊、獣人、
エルフの戦士達で魔王軍を叩く」
ルミナスに集まる種族達が、一致団結し守る。
過去を振り返っても史上最高戦力となっていた。
そして賢者が今後について作戦を説明する。
「マリアとサラを奪われた時点で敗北だ……
クリスが戻ってくるまでの間、
聖剣の神殿で守ろう」
最後の儀式で俺が不在の間、
レガードの戦士達が中心となり、
マリアやユーリを守る。
そして儀式が終わってすぐに、
マリアとの再契約をすることになった。
「まあ、私とクレアで敵を一掃するかもしれんがな」
賢者は笑みを浮かべながら話す。
俺達を安心させるために言ったのだ。
一通りの計画が決まり、
更に防衛について詳細を詰めていくことになる。
その前に、アテナはこの場を去ることになった。
「後は自分達の力で守って見せろ……
私が支援できるのはここまでだ。
そこにいる暇人とは違ってな……」
アテナはもう一人の女神の方を見つめて皮肉を伝えたが、その人物は頭を描きながら苦笑いした。
そしてその海の女神もクリスに言葉を贈る。
「ユーリさんも大切にしてあげてね……
いつも貴方を大切に想ってる……」
「テティス……
今まで色々助けてくれて……
感謝しています……」
「あ~でも、まだ私は帰らないわよ!
引き続きユーリと貴方の恋を見守らないと」
笑いながらテティスが俺に呟くと、
その声を聞いたアテナの表情が変わる……
「おい、お前……
今、何と言った?」
「へ?ユーリと貴方のこ……
あ……」
テティスは、アテナを見て何かを思い出したように焦り出した。
「おい、貴様……
もしかして二股なのか?」
二股という表現があながち間違ってはいないため、
完全には否定できない。
というよりも重婚を目指しているが、
アテナに意味が伝わるか分からなかった……
そして不穏な空気が出始めると、テティスが宥めようとする。
「あの……アテナ……
それはね……」
「お前は黙っていろ!
私はな……だらしない男が大っ嫌いなのだ」
元々サラの容姿は、整った美しさがあり、
どちらかというとキツめな印象だ。
その怒り狂う姿は迫力がある。
「あのですね……
俺は二人とも同じくらい愛していて……」
「な、何だと……
女神の前でも……
いっそのこと、天界裁判にかけてやろうか!」
怒り狂う女神を止めることが出来ず、
小一時間に渡り説明し続けた……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれから1日が経ち、アテナは天界に帰った。
そして既に国民も飛行船での移動を開始している。
着々と準備が進む中、精霊の長老オリジンは、
ミゲルでゲートを封印する役割を担った。
精霊達と共にゲートが開かないように守る。
「いよいよ、開戦になるのか……」
500年前に起きた魔族と人族の全面的な戦い、
魔大戦が再び始まろうとしていた。
「ここで出来る限り食い止めるぞ」
精霊達は、魔族達の転移を阻止するために、
その精霊魔法に魔力を込めた。
魔王になるために、魔族達も手段を選ばない。
それでもルミナスに恩を返そうと、
精霊や獣人達も命をかけて挑む。
そしてクリスを含めたレガードの戦士達は、
初代が眠る地下墓地に向かって歩き始めた……
そして聖剣の儀式を受けるために、
賢者が神殿の場所について説明する。
「最後の神殿は、ルミナスの地下だ……
実は、この謁見の間に隠し通路がある」
賢者がその言葉を発すると、
更にルミナス国王が説明を加えた。
「長い歴史の中で私達は守ってきた……
初代国王が眠る墓を……」
その事実に俺達は驚愕してしまう。
この部屋の隠し通路を通った先に、
最後の試練が待ち受けているのだ。
「初代国王に認められた時、
覇王は更なる進化を遂げる……」
「それが……俺の為すべき事」
賢者と陛下からの説明を終えて、
試練の覚悟を決める。
そして聖剣の試練を受ける前に、
女神アテナが魔王軍について口を開いた……
「魔王軍の中に転移使いがいる。
その者がミゲルに現れた瞬間、
この国の周辺まで転移するぞ」
アテナが言っている人物は、シンに間違いない。
賢者の結界と精霊の力によって、
ルミナスに直接転移は出来ない。
しかしミゲルに到着した途端に、
ルミナス周辺まで転移されてしまう。
「そうなれば、
戦力を一気に投下してくるだろう」
大量の魔物が一斉に突撃すると、
国民の被害は甚大となる。
その防衛策に頭を悩ませていた……
「あの……
私に考えがあります!」
今まで発言をしていなかったが、
ここにきて協力を申し出る人物がいた。
それはイグニスの王、ガルムだ。
「我々はルミナスに返しきれない恩がある……
国民の避難先として受け入れます。
イグニスに避難してください」
「それは願ってもない話だ!」
その提案に陛下だけでなく、賢者も賛成する。
間違いなくルミナスは戦場になり、
このままでは国民が犠牲になるところだった。
「勿論、獣人部隊も支援します」
「ガルム……」
返しきれない恩があると言ったが、
それは俺の方こそ同じだ。
時を超えて助けてくれるガルムに、
心から感謝したい……
「ジークの飛行船で国民をイグニスまで送る。
その後、ルミナスの兵士、精霊、獣人、
エルフの戦士達で魔王軍を叩く」
ルミナスに集まる種族達が、一致団結し守る。
過去を振り返っても史上最高戦力となっていた。
そして賢者が今後について作戦を説明する。
「マリアとサラを奪われた時点で敗北だ……
クリスが戻ってくるまでの間、
聖剣の神殿で守ろう」
最後の儀式で俺が不在の間、
レガードの戦士達が中心となり、
マリアやユーリを守る。
そして儀式が終わってすぐに、
マリアとの再契約をすることになった。
「まあ、私とクレアで敵を一掃するかもしれんがな」
賢者は笑みを浮かべながら話す。
俺達を安心させるために言ったのだ。
一通りの計画が決まり、
更に防衛について詳細を詰めていくことになる。
その前に、アテナはこの場を去ることになった。
「後は自分達の力で守って見せろ……
私が支援できるのはここまでだ。
そこにいる暇人とは違ってな……」
アテナはもう一人の女神の方を見つめて皮肉を伝えたが、その人物は頭を描きながら苦笑いした。
そしてその海の女神もクリスに言葉を贈る。
「ユーリさんも大切にしてあげてね……
いつも貴方を大切に想ってる……」
「テティス……
今まで色々助けてくれて……
感謝しています……」
「あ~でも、まだ私は帰らないわよ!
引き続きユーリと貴方の恋を見守らないと」
笑いながらテティスが俺に呟くと、
その声を聞いたアテナの表情が変わる……
「おい、お前……
今、何と言った?」
「へ?ユーリと貴方のこ……
あ……」
テティスは、アテナを見て何かを思い出したように焦り出した。
「おい、貴様……
もしかして二股なのか?」
二股という表現があながち間違ってはいないため、
完全には否定できない。
というよりも重婚を目指しているが、
アテナに意味が伝わるか分からなかった……
そして不穏な空気が出始めると、テティスが宥めようとする。
「あの……アテナ……
それはね……」
「お前は黙っていろ!
私はな……だらしない男が大っ嫌いなのだ」
元々サラの容姿は、整った美しさがあり、
どちらかというとキツめな印象だ。
その怒り狂う姿は迫力がある。
「あのですね……
俺は二人とも同じくらい愛していて……」
「な、何だと……
女神の前でも……
いっそのこと、天界裁判にかけてやろうか!」
怒り狂う女神を止めることが出来ず、
小一時間に渡り説明し続けた……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれから1日が経ち、アテナは天界に帰った。
そして既に国民も飛行船での移動を開始している。
着々と準備が進む中、精霊の長老オリジンは、
ミゲルでゲートを封印する役割を担った。
精霊達と共にゲートが開かないように守る。
「いよいよ、開戦になるのか……」
500年前に起きた魔族と人族の全面的な戦い、
魔大戦が再び始まろうとしていた。
「ここで出来る限り食い止めるぞ」
精霊達は、魔族達の転移を阻止するために、
その精霊魔法に魔力を込めた。
魔王になるために、魔族達も手段を選ばない。
それでもルミナスに恩を返そうと、
精霊や獣人達も命をかけて挑む。
そしてクリスを含めたレガードの戦士達は、
初代が眠る地下墓地に向かって歩き始めた……
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