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第142話 侵入
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ミストの代表リディアの依頼により、
シャルロットは、地下施設へ向かうために行動を開始していた。
今は通路で遭遇した女兵士を気絶させて、
装備を奪い変装している。
勿論幻惑の腕輪で、その者の容姿に変化した。
「これでミストの兵士にしか見えないわね。
それにしても王女がスパイをやるなんて、
あり得ないわよ……」
独り言を言いながら施設を歩き、
魔導エレベーター前に到着した。
すると両隣に二人の男が現れて、
一緒にエレベーターが着くのを待っている。
男達は、最上階を行き来しているため、
役職ある人物の可能性が高い。
「もしくは敵の可能性があるってことね」
敵対勢力の可能性が高いが、変装は見破られていないと考えて、自然体で振る舞う事にした。
「お疲れ様です……」
「お疲れ!
お前もリディアを見張るの大変だな」
一瞬理解に苦しんだが、自分が変装した相手は、
敵側の兵士だと気付いた。
「異動したばかりで、重要ポストだもんな
娘のために出世したいんだろ?頑張れよ」
男の一人がシャルロットに告げると、
普段から親しくする人物だと分かる。
話に矛盾が出ると偽物だと見破られるため、
適当に相槌をしながら誤魔化した。
「全く!普段から無口だが、少しは話せよ!
まあ、娘の事を話してくれた時は嬉しかったがよ」
「えぇ……また相談させてください」
もともと無口な人物だったらしく、
相手からしても普段通りに見えている。
エレベーター内で敵側のスパイと鉢合わせたが、
何とか切り抜けることが出来た。
「よし、そろそろ地下施設に着くぞ!
お前も来る予定だろ?ケイナ」
地下施設に行くと知り驚愕するが、
絶好の機会を逃すわけにはいかず男達の後を付いて行った。
「ケイナ、鍵はあるか?」
地下施設の鍵は、シャルロットしか持っていない。
その鍵を男達に渡すと、部屋のロックが解除され室内が明らかになった。
「いくぞ!緊張するだろうが肩の力を抜けよ」
緊張から唾を飲み込み部屋に足を踏み入れると、一人の女の子の鳴き声が聞こえてくる。
その声は悲しみに満ち溢れていて、
シャルロットも胸の痛みを抑えきれない。
それ程に悲痛な叫びに聞こえた。
「聞いていないのか?
精霊奴隷だよ」
「精霊を拘束して奴隷にしているの?」
「そうだ!まずは風の精霊の力を吸収している」
シャルロットは、目の前で苦しむ精霊を見て怒りを抑えきれない。
力を吸収される精霊は、涙を流しながら痛みに苦しんでいる。
「精霊王をこの施設に誘き寄せるんだよ!
そしてミストを崩壊させる」
風の精霊王は、間違いなく子供を保護するために施設を襲うだろう。
怒り狂った王は、リディアを殺す可能性が高い。
「最近、配属されたばかりなので、
この後の計画を知りたいです」
「おぉ!やっとやる気になったか!」
二人とも笑顔に満ち溢れて、今後の計画を話していく。
しかし、その計画の全容を聞いて、シャルロットは我慢が出来なくなってしまった。
「分かったわ……
お前達が危険分子であることは」
「何だと?」
二人の男の足元に魔法陣が生まれ、シャルロットは怒りに震えながら睨みつける。
「動かないで!
動いたら焼き殺すわ」
「お前、何者だ?」
「ケイナよ!貴方達の大好きなね……
さぁ、精霊を解放しなさい」
そう言葉を発すると男が機械に触れて、
精霊の拘束具が外された。
すると苦しんでいた精霊は、
涙を流しながら地面に横たわっている。
「これで俺達を解放するんだろ!」
「そんなわけないでしょう?
お前達は私の怒りに触れたの!
正義の炎に焼かれて死になさい」
男達は強烈な火柱により気絶した。
殺したい程に怒っていたが、我慢してリディアに引き渡そうと判断した。
「よし、あとは肝心の精霊ね……」
拘束具は外れたが、まだ痛みが消えずに泣き続けている。
そんな精霊があまりに可哀想でシャルロットは優しく抱きしめた。
「お姉ちゃん?怖くない?」
お姉ちゃんと呼ばれて、
何故か精霊をマリアと重ねてしまう。
「怖くないわよ!
むしろ世界一優しいお姉さんよ」
そう伝えると満面の笑顔を見せて、
風の精霊の女の子はシャルロットに抱きついた。
「あんた、名前は?
名前あるでしょう?」
「私は、シルフィ!
お姉ちゃんの名前は?」
「私はシャルロットよ!
ここで出会ったし、保護してあげるわよ」
そう伝えると飛び上がり喜んで、
子犬のようにシャルロットの周りをぐるぐる回っている。
これが精霊の愛情表現なのかと、
シャルロットは優しく微笑んだ。
「キリも良くなったし、一旦報告しようかな」
シャルロットは、右耳についた機械を触り電源を入れる。
事前に渡されていた通信機を使い、
ルミナスにいる賢者に調査内容を報告した。
敵対勢力の目的は、風の精霊王を誘き寄せて、
ミストを崩壊させることだった。
シャルロットは、敵の策略を未然に防ぎ、
風の精霊の子供を救出してみせた。
その無邪気な笑顔を見ているうちに、
絶対に敵の計画を阻止しなければならないと、心に誓うのであった……
シャルロットは、地下施設へ向かうために行動を開始していた。
今は通路で遭遇した女兵士を気絶させて、
装備を奪い変装している。
勿論幻惑の腕輪で、その者の容姿に変化した。
「これでミストの兵士にしか見えないわね。
それにしても王女がスパイをやるなんて、
あり得ないわよ……」
独り言を言いながら施設を歩き、
魔導エレベーター前に到着した。
すると両隣に二人の男が現れて、
一緒にエレベーターが着くのを待っている。
男達は、最上階を行き来しているため、
役職ある人物の可能性が高い。
「もしくは敵の可能性があるってことね」
敵対勢力の可能性が高いが、変装は見破られていないと考えて、自然体で振る舞う事にした。
「お疲れ様です……」
「お疲れ!
お前もリディアを見張るの大変だな」
一瞬理解に苦しんだが、自分が変装した相手は、
敵側の兵士だと気付いた。
「異動したばかりで、重要ポストだもんな
娘のために出世したいんだろ?頑張れよ」
男の一人がシャルロットに告げると、
普段から親しくする人物だと分かる。
話に矛盾が出ると偽物だと見破られるため、
適当に相槌をしながら誤魔化した。
「全く!普段から無口だが、少しは話せよ!
まあ、娘の事を話してくれた時は嬉しかったがよ」
「えぇ……また相談させてください」
もともと無口な人物だったらしく、
相手からしても普段通りに見えている。
エレベーター内で敵側のスパイと鉢合わせたが、
何とか切り抜けることが出来た。
「よし、そろそろ地下施設に着くぞ!
お前も来る予定だろ?ケイナ」
地下施設に行くと知り驚愕するが、
絶好の機会を逃すわけにはいかず男達の後を付いて行った。
「ケイナ、鍵はあるか?」
地下施設の鍵は、シャルロットしか持っていない。
その鍵を男達に渡すと、部屋のロックが解除され室内が明らかになった。
「いくぞ!緊張するだろうが肩の力を抜けよ」
緊張から唾を飲み込み部屋に足を踏み入れると、一人の女の子の鳴き声が聞こえてくる。
その声は悲しみに満ち溢れていて、
シャルロットも胸の痛みを抑えきれない。
それ程に悲痛な叫びに聞こえた。
「聞いていないのか?
精霊奴隷だよ」
「精霊を拘束して奴隷にしているの?」
「そうだ!まずは風の精霊の力を吸収している」
シャルロットは、目の前で苦しむ精霊を見て怒りを抑えきれない。
力を吸収される精霊は、涙を流しながら痛みに苦しんでいる。
「精霊王をこの施設に誘き寄せるんだよ!
そしてミストを崩壊させる」
風の精霊王は、間違いなく子供を保護するために施設を襲うだろう。
怒り狂った王は、リディアを殺す可能性が高い。
「最近、配属されたばかりなので、
この後の計画を知りたいです」
「おぉ!やっとやる気になったか!」
二人とも笑顔に満ち溢れて、今後の計画を話していく。
しかし、その計画の全容を聞いて、シャルロットは我慢が出来なくなってしまった。
「分かったわ……
お前達が危険分子であることは」
「何だと?」
二人の男の足元に魔法陣が生まれ、シャルロットは怒りに震えながら睨みつける。
「動かないで!
動いたら焼き殺すわ」
「お前、何者だ?」
「ケイナよ!貴方達の大好きなね……
さぁ、精霊を解放しなさい」
そう言葉を発すると男が機械に触れて、
精霊の拘束具が外された。
すると苦しんでいた精霊は、
涙を流しながら地面に横たわっている。
「これで俺達を解放するんだろ!」
「そんなわけないでしょう?
お前達は私の怒りに触れたの!
正義の炎に焼かれて死になさい」
男達は強烈な火柱により気絶した。
殺したい程に怒っていたが、我慢してリディアに引き渡そうと判断した。
「よし、あとは肝心の精霊ね……」
拘束具は外れたが、まだ痛みが消えずに泣き続けている。
そんな精霊があまりに可哀想でシャルロットは優しく抱きしめた。
「お姉ちゃん?怖くない?」
お姉ちゃんと呼ばれて、
何故か精霊をマリアと重ねてしまう。
「怖くないわよ!
むしろ世界一優しいお姉さんよ」
そう伝えると満面の笑顔を見せて、
風の精霊の女の子はシャルロットに抱きついた。
「あんた、名前は?
名前あるでしょう?」
「私は、シルフィ!
お姉ちゃんの名前は?」
「私はシャルロットよ!
ここで出会ったし、保護してあげるわよ」
そう伝えると飛び上がり喜んで、
子犬のようにシャルロットの周りをぐるぐる回っている。
これが精霊の愛情表現なのかと、
シャルロットは優しく微笑んだ。
「キリも良くなったし、一旦報告しようかな」
シャルロットは、右耳についた機械を触り電源を入れる。
事前に渡されていた通信機を使い、
ルミナスにいる賢者に調査内容を報告した。
敵対勢力の目的は、風の精霊王を誘き寄せて、
ミストを崩壊させることだった。
シャルロットは、敵の策略を未然に防ぎ、
風の精霊の子供を救出してみせた。
その無邪気な笑顔を見ているうちに、
絶対に敵の計画を阻止しなければならないと、心に誓うのであった……
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