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第99話 教皇
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女神教本部を前にするクリス達。
教会の本部はまさに城とも言える外観をしており煌びやかな装飾が施されている。
「なんか帰りたくなってきたわ」
シャルロットも気負うくらいの外観のため、
クリス達全員も圧倒されている。
すると職員らしき人物が近づき話しかけてきた。
「お待ちしておりました…
ルミナスの皆様ですね、こちらへ」
職員の老人はタキシードのような服装を着ており丁寧にクリス達を導いていく。
その完璧な礼儀作法にクリス達はたじろいでしまう。
そして本部の入口から室内に入ると中の景色が広がり目を奪われる。
内装も豪華なシャンデリアや赤い絨毯が引かれており、まさに城を連想させた。
そして何よりも入口から等間隔で整列する騎士達が印象的で、その騎士達について老人が説明する。
「彼らは教会の中で聖騎士団と呼ばれ、
本部への襲撃を守っております」
「聖騎士団?」
クリスの問いに老人は続けて口を開いた。
その表情は笑顔のまま変わらない。
「女神を守る騎士達のことです。
国の最高戦力の一つですね」
クリスは女神を守るという言葉が気になった。
確かにクリスは女神に出会い転生している。
しかし女神から、一度も干渉されていない。
女神を守るという言葉は、まるで女神が目の前に存在しているかのような表現だった。
「では、私の担当はここまでなので、
後はこのまま真っ直ぐお進みください」
まさに立ち居振る舞いから只者ではないと感じる紳士だったが案内はここまでとなった。
クリス達は中央の通りを直進していく。
クリス達と別れた直後、その老人は人の良さそうな笑顔から不敵な笑みへと変わる。
「覇王よ、せいぜい楽しませてくれよ」
老人は人が変わったように鋭い目つきで独り言を呟き、そのまま入口を去っていった。
クリス達はそのまま通路を進んでいくと聖騎士2名が入口を塞いで守っている。
その様子から先の部屋に教会の要人が待ち受けていると予測した。
「いよいよ会うわね…
女神教の最高責任者である、
教皇ラグナ」
教皇の存在は世界でも名を轟かせており政治的にも影響力が強い相手だ。
そんな相手に対等に話せるのか、クリスは一抹の不安を感じていた。
そして一同は中に入っていく。
謁見の間に近い構造をしており、奥の椅子に教皇が腰掛けている。
更に教皇へ続く道に聖騎士達が等間隔に並ぶ。
「こちらにまいれ…」
クリス達は教皇の言葉に従い歩いていく。
女神教の教皇は白髪混じりの男性で、
意外と若く50代半ばくらいの年齢に見えた。
教皇と呼ばれるには若すぎるだろうが、
その若さを感じさせない程に風格がある。
そしてクリス達は次の言葉を待った。
「良くきたな、ルミナスの者達
そして覇王を持つ者よ」
「はじめまして、
クリス・レガードと申します。
お初にお目にかかれて光栄です」
俺は、剣術の訓練ばかりの日々を送ってきたため礼儀作法が分からない。
今は前世の知識で乗り切るしかない…
「覇王よ、そこにいる聖女マリアと
聖剣の契約者に至ったのは本当か?」
教皇からの質問にクリスはマリアと共に聖剣の契約者に至った事を伝えた。
すると直後に全ての者が喜びの声をあげている。
中には泣き叫ぶ者まで出てくる始末である。
「静まれ…」
教皇が一言命令をすると一瞬で静かになる。
クリス達は、目の前の出来事に頭が追いつかない。
「部下達の見苦しい姿を見せたな…
まあそれだけに悲願なんだよ、聖剣は」
「へ?」
教皇は不敵な笑みを浮かべて一言告げる。
そしてクリスは更に衝撃を受けることになる。
「魔王は聖剣でしか傷つかない…
そしてその聖剣は勇者しか持たない
そう言われていたのが常識だった」
ちょっと待ってほしい…
俺は勇者ではないし初代国王も勇者とは聞いていない。
「ふふ、驚いているな…
勇者は存在したし、今もいる…」
「え?」
以前、黒騎士が魔剣を封印されたと言っていたため、
勇者が存在していたのは知っている。
しかし今も生きているとは思いもしない…
「改めて言っておく…
勇者は……」
教皇はため息を吐き事実を伝える。
そしてその表情は眉間に皺を寄せて瞳には憎しみが込められている。
「勇者は、世界の敵だ」
その教皇が発した言葉が信じられない。
俺の知識では勇者という存在は世界から愛されているはずだった。
しかし憎まれる対象に他ならない。
何故なら勇者の話をする教皇の瞳は憎しみに満ち溢れていたからだ…
教皇が告げた勇者の存在。
そして今から語られる事実に驚愕する。
更に勇者と聖剣の契約者の因縁について知った時、クリスとマリアの運命は更に変化していく…
教会の本部はまさに城とも言える外観をしており煌びやかな装飾が施されている。
「なんか帰りたくなってきたわ」
シャルロットも気負うくらいの外観のため、
クリス達全員も圧倒されている。
すると職員らしき人物が近づき話しかけてきた。
「お待ちしておりました…
ルミナスの皆様ですね、こちらへ」
職員の老人はタキシードのような服装を着ており丁寧にクリス達を導いていく。
その完璧な礼儀作法にクリス達はたじろいでしまう。
そして本部の入口から室内に入ると中の景色が広がり目を奪われる。
内装も豪華なシャンデリアや赤い絨毯が引かれており、まさに城を連想させた。
そして何よりも入口から等間隔で整列する騎士達が印象的で、その騎士達について老人が説明する。
「彼らは教会の中で聖騎士団と呼ばれ、
本部への襲撃を守っております」
「聖騎士団?」
クリスの問いに老人は続けて口を開いた。
その表情は笑顔のまま変わらない。
「女神を守る騎士達のことです。
国の最高戦力の一つですね」
クリスは女神を守るという言葉が気になった。
確かにクリスは女神に出会い転生している。
しかし女神から、一度も干渉されていない。
女神を守るという言葉は、まるで女神が目の前に存在しているかのような表現だった。
「では、私の担当はここまでなので、
後はこのまま真っ直ぐお進みください」
まさに立ち居振る舞いから只者ではないと感じる紳士だったが案内はここまでとなった。
クリス達は中央の通りを直進していく。
クリス達と別れた直後、その老人は人の良さそうな笑顔から不敵な笑みへと変わる。
「覇王よ、せいぜい楽しませてくれよ」
老人は人が変わったように鋭い目つきで独り言を呟き、そのまま入口を去っていった。
クリス達はそのまま通路を進んでいくと聖騎士2名が入口を塞いで守っている。
その様子から先の部屋に教会の要人が待ち受けていると予測した。
「いよいよ会うわね…
女神教の最高責任者である、
教皇ラグナ」
教皇の存在は世界でも名を轟かせており政治的にも影響力が強い相手だ。
そんな相手に対等に話せるのか、クリスは一抹の不安を感じていた。
そして一同は中に入っていく。
謁見の間に近い構造をしており、奥の椅子に教皇が腰掛けている。
更に教皇へ続く道に聖騎士達が等間隔に並ぶ。
「こちらにまいれ…」
クリス達は教皇の言葉に従い歩いていく。
女神教の教皇は白髪混じりの男性で、
意外と若く50代半ばくらいの年齢に見えた。
教皇と呼ばれるには若すぎるだろうが、
その若さを感じさせない程に風格がある。
そしてクリス達は次の言葉を待った。
「良くきたな、ルミナスの者達
そして覇王を持つ者よ」
「はじめまして、
クリス・レガードと申します。
お初にお目にかかれて光栄です」
俺は、剣術の訓練ばかりの日々を送ってきたため礼儀作法が分からない。
今は前世の知識で乗り切るしかない…
「覇王よ、そこにいる聖女マリアと
聖剣の契約者に至ったのは本当か?」
教皇からの質問にクリスはマリアと共に聖剣の契約者に至った事を伝えた。
すると直後に全ての者が喜びの声をあげている。
中には泣き叫ぶ者まで出てくる始末である。
「静まれ…」
教皇が一言命令をすると一瞬で静かになる。
クリス達は、目の前の出来事に頭が追いつかない。
「部下達の見苦しい姿を見せたな…
まあそれだけに悲願なんだよ、聖剣は」
「へ?」
教皇は不敵な笑みを浮かべて一言告げる。
そしてクリスは更に衝撃を受けることになる。
「魔王は聖剣でしか傷つかない…
そしてその聖剣は勇者しか持たない
そう言われていたのが常識だった」
ちょっと待ってほしい…
俺は勇者ではないし初代国王も勇者とは聞いていない。
「ふふ、驚いているな…
勇者は存在したし、今もいる…」
「え?」
以前、黒騎士が魔剣を封印されたと言っていたため、
勇者が存在していたのは知っている。
しかし今も生きているとは思いもしない…
「改めて言っておく…
勇者は……」
教皇はため息を吐き事実を伝える。
そしてその表情は眉間に皺を寄せて瞳には憎しみが込められている。
「勇者は、世界の敵だ」
その教皇が発した言葉が信じられない。
俺の知識では勇者という存在は世界から愛されているはずだった。
しかし憎まれる対象に他ならない。
何故なら勇者の話をする教皇の瞳は憎しみに満ち溢れていたからだ…
教皇が告げた勇者の存在。
そして今から語られる事実に驚愕する。
更に勇者と聖剣の契約者の因縁について知った時、クリスとマリアの運命は更に変化していく…
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