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第18話 王都にて
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マリアとの訓練のために城を訪れているが、
その前に騎士団へ挨拶に来ている。
白狼族救出の際にいなかった人物に久しぶりに会いに来た。
父上の息子であることから一部の騎士団の者とは親しくしている。
目の前にいるカートさんとは幼少の頃から親戚のように良くしてもらった。
カートさんは30代の男性で父上とは幼馴染だ。
そして珍しい大楯スキルを持っている。
「カートさん、久しぶりです」
「おう!クリス!
昨日は大活躍だったな!」
「ありがとうございます!
昨日はいらっしゃらなかったですね」
「あ~最近王都に出る不審者が多くてな」
最近の騎士団は多忙を極めている。
マリアを狙った誘拐事件以来、
王都内での警備に兵士を割いている。
聖女誘拐は絶対にあってはならないことだ。
しかしそれと同時に手薄になった王都外での犯罪に対処できなくなってしまっている。
それが先日の白狼族襲撃なのだ。
「最近特に多いのが子供の誘拐だな…
それも貴族を狙ってる」
「貴族ですか?」
「ああ、それも魔法学園の子供だ…
お前も気をつけろよ」
王都では貴族の子供を狙った犯行が多い。
通学路で1人になった隙に攫われる。
その後は捜索しても全然見つからない。
痕跡自体見つからず攫われた子供の親は藁にも縋りたい気持ちで必死に探している。
そのため王都では兵士が日夜交代で警備、捜索している。
「そんなことが王都で起きてるなんて…
確かに父上もかなり忙しそうですが」
「あ~アイツは苦労を背負い込むからな。
全く弱音は吐かないだろうぜ」
父上は自分に厳しく人にも厳しい。
人に厳しくするには常に自分を律する必要があると考えている。
そのため普段から弱音は一切吐かない…
「父は強いですからね」
「まああんな奴にも弱点はあったけどな」
父上の弱点と聞いて驚く。
あの完璧主義者に苦手なものは、
絶対に無いと思っていたからだ。
「あはは、亡くなったクレアにだよ!
クレアはそれはそれは気が強くてな…
いつもゲイルを尻に敷いていたぞ」
「あ、あの父上がですか?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔とは、
まさに今の俺の顔だろう。
「お前とアリスは小さかったからな…
だがクレアは強かった。
性格も、実力もな」
最強の魔術師クレア・レガード。
カートさんが言うには母上は、
宮廷魔術師の序列一位だったらしい。
「母上がそんなに凄腕の魔道士だったなんて
知りませんでした」
「なんか通り名があったな
クレアを表す名前、何だったけか
爆炎の?いや、そんなじゃなかった」
そんなものがあったのか……
通り名があるということは、
戦い方に特徴があったのか?
「まあ思い出したら教えてやるよ」
「あはは、ぜひ知りたいです」
そしてカートの部下が大事な報告をしに来たようだ。
忙しくなりそうなので邪魔をしていけないと思い別れの挨拶をする。
「じゃあ、そろそろマリア様のところに、
行く時間なので失礼しますね!」
「あ~本当に気をつけろよ!クリス!」
「わかってますよ!カートおじさん!」
「ばか!その呼び方で呼ぶなって
言ってるだろう!」
昔の懐かしい呼び方で呼ぶとカートさんは、
照れ臭そうに嫌がるが、表情は嬉しそうだ。
昔からカートさんは優しく接してくれて、
俺にとっては良い親戚のおじさんなのだ。
また一緒にゆっくりご飯でも食べたいと思っている。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「マリア様、おはようございます!」
「おはよう!聞いたわよ!
昨日は大活躍だったらしいじゃない!」
もうマリア様の耳まで昨日の白狼族の件が
届いているのか。
城内での伝達網は凄いな……
「私がお伝えしたのですよ」
騎士団に所属しているキャロルが言う。
忘れていたがキャロルは騎士団の中でも、
手練れの騎士だ。
それでなければマリアの専属にはなれない。
騎士団からの情報であれば納得だ。
「そう言うことですね」
「クリス、早速私との訓練の成果が
出て嬉しいです…」
マリアの授けてくれた回復魔法がなければ、
俺もベルも確実に死んでいただろう。
マリアへの感謝を改めて痛感した。
「本当に、マリア様から回復魔法を
教えて頂かなければ死んでました」
「ふふふ、クリスが頑張ったからですよ…
あれからスキルに変化はありますか?」
「あれから回復魔法と火魔法は、
それぞれレベル2まで上がりました」
休憩スキルで回復した時、火魔法と回復魔法共にレベルが上がっている。
回復魔法レベル2でアンチポイズンが使えたことも伝えておいた。
「す、凄いじゃないですか!
まさかこの短期間で2つのスキルを、
レベル2にするなんて……」
マリアはその事実に驚いていた。
まさにスキルのレベル上昇は年単位で取り組むものだ。
しかしクリスの場合、この3、4日間で達成している。
まさに休憩は規格外の成長を促すスキルだ。
「そして実はですが、
もう一つスキルを手に入れまして…」
「あ、新しいスキルですか?」
新しいスキルは基本的には手に入らない。
儀式で手に入るのは多くても2種類のダブル。
3種類のトリプルは特異的な存在と言われている。
それが今になっては4種類目なのだ。
「獣王剣と言いまして…
実はこのスキル、反動が強過ぎる可能性が
ありますので休憩スキルを使える状況で
試したいのです」
「なるほど、物凄く仰々しい名前だものね。
警戒するのは分かるわ…
今日の訓練はそのスキルの確認にする?」
「ぜ、是非お願いします!」
いよいよ俺も獣王剣を使うことになる。
反動が起きた時にマリアがいると安心だ。
なんと言っても回復魔法レベル5なのだ。
そんな現金な考えを思いついたクリスだが、この後クリスの閃きによりマリアを混乱?へと陥れるとは思いもしなかったのである。
その前に騎士団へ挨拶に来ている。
白狼族救出の際にいなかった人物に久しぶりに会いに来た。
父上の息子であることから一部の騎士団の者とは親しくしている。
目の前にいるカートさんとは幼少の頃から親戚のように良くしてもらった。
カートさんは30代の男性で父上とは幼馴染だ。
そして珍しい大楯スキルを持っている。
「カートさん、久しぶりです」
「おう!クリス!
昨日は大活躍だったな!」
「ありがとうございます!
昨日はいらっしゃらなかったですね」
「あ~最近王都に出る不審者が多くてな」
最近の騎士団は多忙を極めている。
マリアを狙った誘拐事件以来、
王都内での警備に兵士を割いている。
聖女誘拐は絶対にあってはならないことだ。
しかしそれと同時に手薄になった王都外での犯罪に対処できなくなってしまっている。
それが先日の白狼族襲撃なのだ。
「最近特に多いのが子供の誘拐だな…
それも貴族を狙ってる」
「貴族ですか?」
「ああ、それも魔法学園の子供だ…
お前も気をつけろよ」
王都では貴族の子供を狙った犯行が多い。
通学路で1人になった隙に攫われる。
その後は捜索しても全然見つからない。
痕跡自体見つからず攫われた子供の親は藁にも縋りたい気持ちで必死に探している。
そのため王都では兵士が日夜交代で警備、捜索している。
「そんなことが王都で起きてるなんて…
確かに父上もかなり忙しそうですが」
「あ~アイツは苦労を背負い込むからな。
全く弱音は吐かないだろうぜ」
父上は自分に厳しく人にも厳しい。
人に厳しくするには常に自分を律する必要があると考えている。
そのため普段から弱音は一切吐かない…
「父は強いですからね」
「まああんな奴にも弱点はあったけどな」
父上の弱点と聞いて驚く。
あの完璧主義者に苦手なものは、
絶対に無いと思っていたからだ。
「あはは、亡くなったクレアにだよ!
クレアはそれはそれは気が強くてな…
いつもゲイルを尻に敷いていたぞ」
「あ、あの父上がですか?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔とは、
まさに今の俺の顔だろう。
「お前とアリスは小さかったからな…
だがクレアは強かった。
性格も、実力もな」
最強の魔術師クレア・レガード。
カートさんが言うには母上は、
宮廷魔術師の序列一位だったらしい。
「母上がそんなに凄腕の魔道士だったなんて
知りませんでした」
「なんか通り名があったな
クレアを表す名前、何だったけか
爆炎の?いや、そんなじゃなかった」
そんなものがあったのか……
通り名があるということは、
戦い方に特徴があったのか?
「まあ思い出したら教えてやるよ」
「あはは、ぜひ知りたいです」
そしてカートの部下が大事な報告をしに来たようだ。
忙しくなりそうなので邪魔をしていけないと思い別れの挨拶をする。
「じゃあ、そろそろマリア様のところに、
行く時間なので失礼しますね!」
「あ~本当に気をつけろよ!クリス!」
「わかってますよ!カートおじさん!」
「ばか!その呼び方で呼ぶなって
言ってるだろう!」
昔の懐かしい呼び方で呼ぶとカートさんは、
照れ臭そうに嫌がるが、表情は嬉しそうだ。
昔からカートさんは優しく接してくれて、
俺にとっては良い親戚のおじさんなのだ。
また一緒にゆっくりご飯でも食べたいと思っている。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「マリア様、おはようございます!」
「おはよう!聞いたわよ!
昨日は大活躍だったらしいじゃない!」
もうマリア様の耳まで昨日の白狼族の件が
届いているのか。
城内での伝達網は凄いな……
「私がお伝えしたのですよ」
騎士団に所属しているキャロルが言う。
忘れていたがキャロルは騎士団の中でも、
手練れの騎士だ。
それでなければマリアの専属にはなれない。
騎士団からの情報であれば納得だ。
「そう言うことですね」
「クリス、早速私との訓練の成果が
出て嬉しいです…」
マリアの授けてくれた回復魔法がなければ、
俺もベルも確実に死んでいただろう。
マリアへの感謝を改めて痛感した。
「本当に、マリア様から回復魔法を
教えて頂かなければ死んでました」
「ふふふ、クリスが頑張ったからですよ…
あれからスキルに変化はありますか?」
「あれから回復魔法と火魔法は、
それぞれレベル2まで上がりました」
休憩スキルで回復した時、火魔法と回復魔法共にレベルが上がっている。
回復魔法レベル2でアンチポイズンが使えたことも伝えておいた。
「す、凄いじゃないですか!
まさかこの短期間で2つのスキルを、
レベル2にするなんて……」
マリアはその事実に驚いていた。
まさにスキルのレベル上昇は年単位で取り組むものだ。
しかしクリスの場合、この3、4日間で達成している。
まさに休憩は規格外の成長を促すスキルだ。
「そして実はですが、
もう一つスキルを手に入れまして…」
「あ、新しいスキルですか?」
新しいスキルは基本的には手に入らない。
儀式で手に入るのは多くても2種類のダブル。
3種類のトリプルは特異的な存在と言われている。
それが今になっては4種類目なのだ。
「獣王剣と言いまして…
実はこのスキル、反動が強過ぎる可能性が
ありますので休憩スキルを使える状況で
試したいのです」
「なるほど、物凄く仰々しい名前だものね。
警戒するのは分かるわ…
今日の訓練はそのスキルの確認にする?」
「ぜ、是非お願いします!」
いよいよ俺も獣王剣を使うことになる。
反動が起きた時にマリアがいると安心だ。
なんと言っても回復魔法レベル5なのだ。
そんな現金な考えを思いついたクリスだが、この後クリスの閃きによりマリアを混乱?へと陥れるとは思いもしなかったのである。
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