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第13話 王立図書館
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マリア様との訓練で俺は、火魔法と回復魔法を取得した。
それも儀式を介さない手法で手に入れてしまっている。
父上、アリスにその事実を伝えると、
とても驚いていたが喜んでくれた。
しかし休憩はあまりに規格外のため、
信用できる者以外に秘密にするよう言われている。
今日も王都に来ているが目的はマリアとの訓練ではない。
マリアは学園に通いながら治療の仕事もしており更に公務も行う。
要するにあまりに多忙なのだ。
その中で訓練をお願いしている。
流石に毎日教えてもらうわけにはいかず、
大体週3回ほどとなったのだ。
それでもマリアからすると無理して時間を割いている。
今日はリーナと王立図書館に向かう途中だ。
魔法学園の試験に向けて魔法の情報を仕入れておきたいのだ。
「ここが王立図書館か…
かなりデカイな」
「まるで王宮かと思うくらいの外観ですね…
ルミナス初代国王が転生者の賢者へ
褒美として設立したそうです」
転生者の賢者、かなり気になる。
どんな功績を残したのか、
スキルは何を持っていたのか。
賢者と呼ばれているから魔法関係だよな。
「ここにはかなり貴重な本もあります…
それこそお屋敷が買えてしまう程の」
「凄いな…ちなみに俺たちは入れるよな?」
「もちろんです…
男爵家は一般区画まで入れます。
特別区画は、王家と一部研究者のみです」
「今回は魔法と学園について調べたいな…
時間があればさっきの賢者についても」
「かしこまりました…それなら、
あちらの受付に行きましょう!」
リーナに連れられて図書館の受付に向かう。
すると何やら罵声が聞こえてきた。
受付でトラブルが起きているようだ。
「なんで歴史ある王立図書館に、
獣人奴隷がいるのだ!即刻つまみ出せ!」
恰幅の良い若者が受付の女性に文句を言っている。
年齢は同じくらいのようだ。
その態度や身なりからしても恐らく貴族なのだろう。
罵倒されている獣人の頭からは犬耳が見える。
白狼族の獣人のようだ。
「恐らくだけどあの娘、
奴隷ではないよな?」
「そうですね…
奴隷の証である奴隷紋のチョーカーを
付けていないです」
ルミナス王国にも奴隷は存在している。
犯罪奴隷を中心に国が法律で定めている。
昔からの根強い獣人差別はあるが、
獣人が必ずしも奴隷であるわけではない。
人族も犯罪を犯すと奴隷になることもある。
そして、奴隷の証としては奴隷紋の入ったチョーカーを首に巻いている。
「王立図書館が汚れる!
言うこと聞かないとお前を左遷するように
リーベルト伯爵に言い付けるぞ」
リーベルト伯爵は王都でも権力ある伯爵だ。
魔法学園、王立図書館の管理運営を任されていると聞く。
「か、勘弁してください…
リーベルト伯爵様に言われるのは」
受付の女性、泣きそうだ。
他に居合わせる者は我関せずと離れている。
「仕方ない…
リーナ、ちょっと待っていてくれ」
「クリスさま…
ト、トラブルにはあまり関わらない方が」
「いや、大丈夫だよ!
うまくやり込めば良いんだろう?」
前世の仕事でもクレーム対応はしてきた。
これでもITプログラマーのマネージャーだった記憶がある。
今回俺は全く関係ないが、見て見ぬ振りするわけにはいかない。
というよりも気になって仕方ないのだ。
「リーベルト伯爵様のお知り合いの貴族様と
お聞きしました…
私は、レガード家のクリスと申します。」
「あん?レガード?
剣士一族が何かの用か?
ここは歴史ある王立図書館だぞ」
「はい、実は学問に疎い私ですが、
少しでも教養を深めようと参りました
それにしても素晴らしい施設ですね」
「それはそうだろう!
ここの施設を修繕しているのはパパ…
あわわわ私の父エドガー男爵だからな」
「おお!何と名工名高い、
エドガー男爵の御子息だったとは…
今後、私の学業の中でも今日の出会いは
特別なものになると予感します」
「お前!嬉しいことを言ってくれる!
もう一度名を聞こう!」
「クリス・レガードと申します!
ところでこちらの獣人の者ですが、
どうやら施設に迷い込んだ者のようなので
私が外に案内しておきますね」
「おーーなんと!其方は気に入った!
わ、わ、私はジョニーと申すのだ。
また会ったら、おおお茶でもしないか?」
「え?別にお茶くらい」
「ぜぜぜ是非ではまたな」
最後は頬を染めながら満面の笑顔を向けて、
嵐のように去っていった。
「ん?最後のは何だったんだ?」
「クリス様、お見事です!
私は今日こそ従者として、
誇らしい事はございません」
リーナが誉めてくれた。
ベタ褒めである。
「うおーーーお前!凄いな!」
「あの嫌な奴をうまくやり込みやがった!」
突然野次馬が騒ぎ出し、
ジョニーがいなくなってから軽い祭りが起きた。
「うわーーん、ありがとうございました…
せっかく就職したのにクビになるかと」
受付女性は余程怖かったのか号泣している。
そして危機を回避した白狼族の獣人が声をかけてきた。
「あの……」
「大丈夫だった?怖かっただろう?」
「助けて頂き、ありがとうございました…」
「ひとまずここは目立つ、
外の喫茶店で食事にでもしよう!
借りたい本は一般区画のものなら、
俺が借りてあげるよ」
「あ、ありがとうございます!
こんなにまで良くしてくださるなんて、
そして本当にごめんなさい!
私のせいでご迷惑を……」
「いやいや大したことしてないよ
それに迷惑だなんて」
「え?でも、あの貴族様が、
相当お熱を入れてきそうなので、
これからご迷惑をおかけするかと……」
「はい?
お熱?」
「クリス様、ジョニーとかいう貴族ですが
クリス様に一目惚れしましたね
なのでお茶を誘ってました」
リーナも重ねて言ってきた。
俺はその事実を受け入れられない。
と言うよりも受け入れたくない。
「は~~?
いやいやいや、ないない!
俺は男だぞ?」
「えええ!
貴方様は女性ではないのですか?」
「いや、女神様に誓って男だよ?」
「そそ、そうなのですね」
俺が性別を打ち明けると、
獣人の子は焦りながら苦笑いした。
まあ確かに女には見られることは多いけど。
「あはは、まあ何とかなるでしょ!
まあそれよりあんまり目立たない方が
良いから外に出よう」
俺たちは行きつけの喫茶店に向かっていく。
そして、この少女との出会いが俺の運命を大きく変えることになるとは思いもしなかったのだった……
それも儀式を介さない手法で手に入れてしまっている。
父上、アリスにその事実を伝えると、
とても驚いていたが喜んでくれた。
しかし休憩はあまりに規格外のため、
信用できる者以外に秘密にするよう言われている。
今日も王都に来ているが目的はマリアとの訓練ではない。
マリアは学園に通いながら治療の仕事もしており更に公務も行う。
要するにあまりに多忙なのだ。
その中で訓練をお願いしている。
流石に毎日教えてもらうわけにはいかず、
大体週3回ほどとなったのだ。
それでもマリアからすると無理して時間を割いている。
今日はリーナと王立図書館に向かう途中だ。
魔法学園の試験に向けて魔法の情報を仕入れておきたいのだ。
「ここが王立図書館か…
かなりデカイな」
「まるで王宮かと思うくらいの外観ですね…
ルミナス初代国王が転生者の賢者へ
褒美として設立したそうです」
転生者の賢者、かなり気になる。
どんな功績を残したのか、
スキルは何を持っていたのか。
賢者と呼ばれているから魔法関係だよな。
「ここにはかなり貴重な本もあります…
それこそお屋敷が買えてしまう程の」
「凄いな…ちなみに俺たちは入れるよな?」
「もちろんです…
男爵家は一般区画まで入れます。
特別区画は、王家と一部研究者のみです」
「今回は魔法と学園について調べたいな…
時間があればさっきの賢者についても」
「かしこまりました…それなら、
あちらの受付に行きましょう!」
リーナに連れられて図書館の受付に向かう。
すると何やら罵声が聞こえてきた。
受付でトラブルが起きているようだ。
「なんで歴史ある王立図書館に、
獣人奴隷がいるのだ!即刻つまみ出せ!」
恰幅の良い若者が受付の女性に文句を言っている。
年齢は同じくらいのようだ。
その態度や身なりからしても恐らく貴族なのだろう。
罵倒されている獣人の頭からは犬耳が見える。
白狼族の獣人のようだ。
「恐らくだけどあの娘、
奴隷ではないよな?」
「そうですね…
奴隷の証である奴隷紋のチョーカーを
付けていないです」
ルミナス王国にも奴隷は存在している。
犯罪奴隷を中心に国が法律で定めている。
昔からの根強い獣人差別はあるが、
獣人が必ずしも奴隷であるわけではない。
人族も犯罪を犯すと奴隷になることもある。
そして、奴隷の証としては奴隷紋の入ったチョーカーを首に巻いている。
「王立図書館が汚れる!
言うこと聞かないとお前を左遷するように
リーベルト伯爵に言い付けるぞ」
リーベルト伯爵は王都でも権力ある伯爵だ。
魔法学園、王立図書館の管理運営を任されていると聞く。
「か、勘弁してください…
リーベルト伯爵様に言われるのは」
受付の女性、泣きそうだ。
他に居合わせる者は我関せずと離れている。
「仕方ない…
リーナ、ちょっと待っていてくれ」
「クリスさま…
ト、トラブルにはあまり関わらない方が」
「いや、大丈夫だよ!
うまくやり込めば良いんだろう?」
前世の仕事でもクレーム対応はしてきた。
これでもITプログラマーのマネージャーだった記憶がある。
今回俺は全く関係ないが、見て見ぬ振りするわけにはいかない。
というよりも気になって仕方ないのだ。
「リーベルト伯爵様のお知り合いの貴族様と
お聞きしました…
私は、レガード家のクリスと申します。」
「あん?レガード?
剣士一族が何かの用か?
ここは歴史ある王立図書館だぞ」
「はい、実は学問に疎い私ですが、
少しでも教養を深めようと参りました
それにしても素晴らしい施設ですね」
「それはそうだろう!
ここの施設を修繕しているのはパパ…
あわわわ私の父エドガー男爵だからな」
「おお!何と名工名高い、
エドガー男爵の御子息だったとは…
今後、私の学業の中でも今日の出会いは
特別なものになると予感します」
「お前!嬉しいことを言ってくれる!
もう一度名を聞こう!」
「クリス・レガードと申します!
ところでこちらの獣人の者ですが、
どうやら施設に迷い込んだ者のようなので
私が外に案内しておきますね」
「おーーなんと!其方は気に入った!
わ、わ、私はジョニーと申すのだ。
また会ったら、おおお茶でもしないか?」
「え?別にお茶くらい」
「ぜぜぜ是非ではまたな」
最後は頬を染めながら満面の笑顔を向けて、
嵐のように去っていった。
「ん?最後のは何だったんだ?」
「クリス様、お見事です!
私は今日こそ従者として、
誇らしい事はございません」
リーナが誉めてくれた。
ベタ褒めである。
「うおーーーお前!凄いな!」
「あの嫌な奴をうまくやり込みやがった!」
突然野次馬が騒ぎ出し、
ジョニーがいなくなってから軽い祭りが起きた。
「うわーーん、ありがとうございました…
せっかく就職したのにクビになるかと」
受付女性は余程怖かったのか号泣している。
そして危機を回避した白狼族の獣人が声をかけてきた。
「あの……」
「大丈夫だった?怖かっただろう?」
「助けて頂き、ありがとうございました…」
「ひとまずここは目立つ、
外の喫茶店で食事にでもしよう!
借りたい本は一般区画のものなら、
俺が借りてあげるよ」
「あ、ありがとうございます!
こんなにまで良くしてくださるなんて、
そして本当にごめんなさい!
私のせいでご迷惑を……」
「いやいや大したことしてないよ
それに迷惑だなんて」
「え?でも、あの貴族様が、
相当お熱を入れてきそうなので、
これからご迷惑をおかけするかと……」
「はい?
お熱?」
「クリス様、ジョニーとかいう貴族ですが
クリス様に一目惚れしましたね
なのでお茶を誘ってました」
リーナも重ねて言ってきた。
俺はその事実を受け入れられない。
と言うよりも受け入れたくない。
「は~~?
いやいやいや、ないない!
俺は男だぞ?」
「えええ!
貴方様は女性ではないのですか?」
「いや、女神様に誓って男だよ?」
「そそ、そうなのですね」
俺が性別を打ち明けると、
獣人の子は焦りながら苦笑いした。
まあ確かに女には見られることは多いけど。
「あはは、まあ何とかなるでしょ!
まあそれよりあんまり目立たない方が
良いから外に出よう」
俺たちは行きつけの喫茶店に向かっていく。
そして、この少女との出会いが俺の運命を大きく変えることになるとは思いもしなかったのだった……
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