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第110話 龍
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リブル山の舗装された山道を登っている途中、
ガルムがふと口を開いた。
「そういえば、アニキとおやびんって、
どことなく似てるっすね」
「へ?」
このメンツの中でも、特にガルムは鈍そうだが、
いち早くレガードの血筋に気付いた。
その言葉に、母上は咳き込み動揺している。
こんな時に母上は表情や仕草に本心が出てしまうのだ。
「そうかな?
ユリスさんの方が綺麗でしよ~」
「な、何言ってるのよ!」
貴族社会で、このような会話は普通だが、
相手はレガードの剣一筋のお嬢様だ。
「わ、私が綺麗なわけないでしょ!」
顔を赤くしながら髪を触っているのを見ると、
先ほどの言葉をかなり意識しているようだ。
レガードの血筋の会話から一転して、
ユリスの容姿の話になった。
「クリス、お手のものって感じだな……
ユーリに言い付けるぞ……」
「母上、やめてください……」
母上は、俺がユリスを上手くやり込んだのを見て、
ジト目で見てきた。
少し居た堪れないので俺は咳をしながら、
この場をやり過ごす。
そして、そんなやり取りを繰り返した後、
母上が真剣な眼差しで声を発した。
「クリス、力を解放しておけ……
幼体という話だが、強い波動を感じる」
俺もそれには気づいていた。
もう少しで山頂に到着するが、
この距離でもドラゴンの強烈な波動を感じた。
「もし親ドラゴンと遭遇したら、
クリスは2人を守りつつ戦え!
私は空を移動する」
万が一、親ドラゴンがいた場合、
そのブレスを警戒しなければならない。
母上が囮になり、ドラゴンを誘き寄せる作戦だ。
「そろそろ頂上だ……
幼体のドラゴンがいたら、
すぐに倒して、逃げるぞ……」
そして山頂まで到着すると、
中央にドラゴンの巣を発見する。
親ドラゴンはどうやら、狩りに出かけているようだ。
「親には悪いが、私達も未来がかかっている……
まずは見つかる前に子供を倒すぞ!」
俺と母上は即座に移動して、
巣にいる2匹のドラゴンを撃破した。
可哀想な気もするが、生きるためには仕方ない。
持ってきた袋に死体を入れて、母上と共に担ぐ。
「意外とあっさりしていたな……」
そして頂上から降りようとしたその瞬間……
俺と母上の持っている袋が赤く輝き出した。
「な、なんだ?」
「母上、これは?」
聖剣技でマリアと繋がっているため、
俺は、本能的に察知できたのかもしれない……
「母上、親ドラゴンの反応だ!
魔力で繋がっている!」
「ユリス、ガルム、襲撃に備えろ!
ドラゴンが来るぞ!」
そして、突如としてリブル山の頂上に現れた。
我が子を殺され怒り狂うドラゴンが……
そのドラゴンは俺達を睨みつけて、
大音量の咆哮を発する。
まるでそれは、目の前で殺された子供を悲しみ、
俺達を恨む怨念の声だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
水の神殿の儀式の間で、サポートは続いている。
マリアは、ドラゴンと対峙したクリスに力を送り続けていた。
「け、賢者様!
ドラゴンと対峙したんですか?」
突如、クリスが親ドラゴンに遭遇してしまい、
マリアは胸が張り裂けそうな想いだった。
「マズイぞ……あのドラゴンは、
魔王の加護を得てるんだ……」
「え?」
賢者には500年前の記憶がある。
ドラゴンの特徴を思い出し、
即座に適切な作戦を考えた。
そして賢者は、通信機を片手に取り、
クリスに討伐作戦を伝える。
「龍の鎧と呼ばれる魔力の防御壁がある。
奴の防御壁は、クリスとクレア、
2人の同時攻撃で破れ!」
賢者は緊急事態での解決策を考えて、
唯一攻撃が通りそうな方法を編み出した。
「最後はユリスの剣技スキルだ!
身体強化を最大限まで高めて攻撃しろ……
それとガルムは、何としてもユリスを守れ!」
賢者がそう言うと、クリスも指示に返事をする。
ここからはクリス達に任せるしかない。
500年前に災厄と謳われたドラゴンを倒し、
クリス達が生きて帰れるのを心から祈った。
そして、この部屋に勢いよく飛び込む人物がいる。
「賢者様!
お取込み中、申し訳ありません!」
「何事だ!カート!
今、大事な時だぞ……」
カートは、息を切らせて部屋まで入ってきた。
まさに緊急事態を知らせるために来た様子で、
賢者も後回しに出来ない。
「賢者様、ユーリが……
ユーリが何処にもいないんです……」
「な、何だって?」
賢者は、ユーリ、シャルロット、アリスを見守り、
警護するようカートに指示していた。
しかし、朝からユーリの姿が見当たらないため、
カートは神殿を探し回っていた。
それでも、何処を探しても見つからなかったのだ。
「こっちも緊急事態だってのに……」
「賢者様、どうすれば……」
賢者はこの瞬間、
脳みそをフル回転して最善策を考える。
「私が探知で探しに行く……
状況は通信機でクリス達に知らせるよ……
マリア、お前は聖剣技を引き続き頼む!」
そしてカートに、アリスとシャルロットを起こし、
儀式の間に集めるよう伝える。
勇者襲撃まで時間がない中、二人とも訓練を行い、
クリス達の力になるよう取り組んでいた。
「賢者様、気をつけて……」
マリアが賢者の無事を気遣い言葉をかけると、
それに対して賢者は笑顔でマリアへ言葉を返す。
「マリア、クリスが帰るまで、何としても、
お前がクリスの魔力を保たせるんだよ!」
マリアへクリスの支援を託して部屋を飛び出した。
しかし賢者は、探知魔法を使用して向かう先で、
想像を超える陰謀を目の当たりにしてしまう。
そして龍と戦うクリス達は、その陰謀を知り、
怒りに震えてしまうのであった。
ガルムがふと口を開いた。
「そういえば、アニキとおやびんって、
どことなく似てるっすね」
「へ?」
このメンツの中でも、特にガルムは鈍そうだが、
いち早くレガードの血筋に気付いた。
その言葉に、母上は咳き込み動揺している。
こんな時に母上は表情や仕草に本心が出てしまうのだ。
「そうかな?
ユリスさんの方が綺麗でしよ~」
「な、何言ってるのよ!」
貴族社会で、このような会話は普通だが、
相手はレガードの剣一筋のお嬢様だ。
「わ、私が綺麗なわけないでしょ!」
顔を赤くしながら髪を触っているのを見ると、
先ほどの言葉をかなり意識しているようだ。
レガードの血筋の会話から一転して、
ユリスの容姿の話になった。
「クリス、お手のものって感じだな……
ユーリに言い付けるぞ……」
「母上、やめてください……」
母上は、俺がユリスを上手くやり込んだのを見て、
ジト目で見てきた。
少し居た堪れないので俺は咳をしながら、
この場をやり過ごす。
そして、そんなやり取りを繰り返した後、
母上が真剣な眼差しで声を発した。
「クリス、力を解放しておけ……
幼体という話だが、強い波動を感じる」
俺もそれには気づいていた。
もう少しで山頂に到着するが、
この距離でもドラゴンの強烈な波動を感じた。
「もし親ドラゴンと遭遇したら、
クリスは2人を守りつつ戦え!
私は空を移動する」
万が一、親ドラゴンがいた場合、
そのブレスを警戒しなければならない。
母上が囮になり、ドラゴンを誘き寄せる作戦だ。
「そろそろ頂上だ……
幼体のドラゴンがいたら、
すぐに倒して、逃げるぞ……」
そして山頂まで到着すると、
中央にドラゴンの巣を発見する。
親ドラゴンはどうやら、狩りに出かけているようだ。
「親には悪いが、私達も未来がかかっている……
まずは見つかる前に子供を倒すぞ!」
俺と母上は即座に移動して、
巣にいる2匹のドラゴンを撃破した。
可哀想な気もするが、生きるためには仕方ない。
持ってきた袋に死体を入れて、母上と共に担ぐ。
「意外とあっさりしていたな……」
そして頂上から降りようとしたその瞬間……
俺と母上の持っている袋が赤く輝き出した。
「な、なんだ?」
「母上、これは?」
聖剣技でマリアと繋がっているため、
俺は、本能的に察知できたのかもしれない……
「母上、親ドラゴンの反応だ!
魔力で繋がっている!」
「ユリス、ガルム、襲撃に備えろ!
ドラゴンが来るぞ!」
そして、突如としてリブル山の頂上に現れた。
我が子を殺され怒り狂うドラゴンが……
そのドラゴンは俺達を睨みつけて、
大音量の咆哮を発する。
まるでそれは、目の前で殺された子供を悲しみ、
俺達を恨む怨念の声だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
水の神殿の儀式の間で、サポートは続いている。
マリアは、ドラゴンと対峙したクリスに力を送り続けていた。
「け、賢者様!
ドラゴンと対峙したんですか?」
突如、クリスが親ドラゴンに遭遇してしまい、
マリアは胸が張り裂けそうな想いだった。
「マズイぞ……あのドラゴンは、
魔王の加護を得てるんだ……」
「え?」
賢者には500年前の記憶がある。
ドラゴンの特徴を思い出し、
即座に適切な作戦を考えた。
そして賢者は、通信機を片手に取り、
クリスに討伐作戦を伝える。
「龍の鎧と呼ばれる魔力の防御壁がある。
奴の防御壁は、クリスとクレア、
2人の同時攻撃で破れ!」
賢者は緊急事態での解決策を考えて、
唯一攻撃が通りそうな方法を編み出した。
「最後はユリスの剣技スキルだ!
身体強化を最大限まで高めて攻撃しろ……
それとガルムは、何としてもユリスを守れ!」
賢者がそう言うと、クリスも指示に返事をする。
ここからはクリス達に任せるしかない。
500年前に災厄と謳われたドラゴンを倒し、
クリス達が生きて帰れるのを心から祈った。
そして、この部屋に勢いよく飛び込む人物がいる。
「賢者様!
お取込み中、申し訳ありません!」
「何事だ!カート!
今、大事な時だぞ……」
カートは、息を切らせて部屋まで入ってきた。
まさに緊急事態を知らせるために来た様子で、
賢者も後回しに出来ない。
「賢者様、ユーリが……
ユーリが何処にもいないんです……」
「な、何だって?」
賢者は、ユーリ、シャルロット、アリスを見守り、
警護するようカートに指示していた。
しかし、朝からユーリの姿が見当たらないため、
カートは神殿を探し回っていた。
それでも、何処を探しても見つからなかったのだ。
「こっちも緊急事態だってのに……」
「賢者様、どうすれば……」
賢者はこの瞬間、
脳みそをフル回転して最善策を考える。
「私が探知で探しに行く……
状況は通信機でクリス達に知らせるよ……
マリア、お前は聖剣技を引き続き頼む!」
そしてカートに、アリスとシャルロットを起こし、
儀式の間に集めるよう伝える。
勇者襲撃まで時間がない中、二人とも訓練を行い、
クリス達の力になるよう取り組んでいた。
「賢者様、気をつけて……」
マリアが賢者の無事を気遣い言葉をかけると、
それに対して賢者は笑顔でマリアへ言葉を返す。
「マリア、クリスが帰るまで、何としても、
お前がクリスの魔力を保たせるんだよ!」
マリアへクリスの支援を託して部屋を飛び出した。
しかし賢者は、探知魔法を使用して向かう先で、
想像を超える陰謀を目の当たりにしてしまう。
そして龍と戦うクリス達は、その陰謀を知り、
怒りに震えてしまうのであった。
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