【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

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第106話 憧れ

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ようやく賢者と通信が繋がると、
龍退治に向けて戦力補強をすることになった。
しかし、ギルドで人員募集をしたが、
応募は一切来ない。


「うーん、お前は未来の人間だから、
 知り合いもいないしな……」
 

人員確保のために募集活動したが努力も虚しい。
それであれば、ひとまずガルムだけでも確保しようと賢者に提案する。


「あんまり強そうじゃないけど、
 このまま1人で活動しても、進展しないだろう」


1人よりも2人で活動した方が、
知恵も人脈もあるだろうと賢者は判断して、
昨日聞いたガルムの家を尋ねることにした。
ガルムの家は街の外れにあり、小さな古民家に住んでいる。


「ここが、ガルムの家か……」


ガルムの家は、レンガを基調とした家だが、
所々にヒビが入り劣化が激しい。
築年数も相当経過していそうだ。


「おーい、ガルム~」


大声で呼ぶと、窓から犬耳が動くのが見えて、
ドアから元気よくガルムが現れた。


「ア、アニキ~!
 来てくれたんですね!」


ガルムは犬耳と尻尾は付いているが、
普通の人間と変わらない容姿をしている。
その笑顔は愛嬌があり可愛らしい。


「ところで、せっかく来たし、
 妹さんに、会えるかな?」


「ア、アニキ!
 リルムのために、わざわざ来てくれるなんて」


目を星のようにキラキラと輝かせて、
あまりの嬉しさに今にも泣き出しそうだ。
そんな顔されたら余計に龍退治を言い難い。
とりあえず今は、家の中に入らせてもらうことにした。


「お兄ちゃん、誰か来たの?」


出迎えてきたのは、犬耳の小柄な女の子、リルム。
片耳に付けたリボンが可愛らしく、ガルムと同様に童顔だ。
まさに守ってあげたくなる妹と感じる。


「お、おい!リルム、咳が出るから、
 横になっていないと駄目だろ」


そう言いながら、リルムを横にして毛布をかける。
ガルムは、心配性で妹想いの兄なのだ。


「でも、お客さんだし、お茶を……」


リルムは話した直後に咳き込んでしまう。
それを見て、ガルムは慌てて背中をさすっている。
俺も何か力になれないかと思い、
リルムに回復魔法ヒールをかけてみた。


「え?」


すると先程は元気がなかったが、
リルムの表情に活力が溢れて笑顔になる。


「え、え、え、
 これって、まさか!」


「ア、ア、アニキ!
 か、か、回復魔法を使えるの?」


二人ともいきなり焦り始めて、
ガルムの顔も青くなり震えが止まらない。


「ア、アニキ……
 回復魔法に払えるお金無いっすよ……」


「いやいや、お金は、いらないよ
 それよりもリルム、具合はどう?」


リルムは、顔色が悪かった時と比べ物にならない程の綺麗な笑顔で言葉を発する。


「もう元気だよ!
 お兄さんのおかげです!」


身体が軽くなったのが余程嬉しかったのか、
リルムは腕を回して、軽い運動をした。


「リルム、お前が元気に……」


ガルムは瞳に涙を溜めて大泣きをし始める。
妹のことになると、ガルムは涙腺が弱くなり、
感情を制御出来なくなってしまう。


「う……っう……
 アニキ、う……
 一生ついていきやす」


絶対に無理だとツッコミを入れたいが、
水を差すのも可哀想なので心の中に留めた。


「でも、まだ治っていないみたいだ……
 くれぐれも無理しないようにね」


リルムの手を握り、症状を把握したが、
俺の使える回復魔法では治せない病気だ。
後で賢者に治癒の方法を聞いてみよう。


「でも、こんなに身体が軽いの始めて……
 本当にありがとう」


輝かしい笑顔が向けられて心が暖かくなる。
そしてその笑顔を見たガルムは、
再度声をあげて泣き出した。


「う……う……ア、ニキ~
 うっ……うっ」


そんな二人を見ていると、
龍退治を話せる雰囲気では無くなる。
しかしこんなに喜ばれるのなら、
会いに来て良かったと思えた。


そして今日は一度帰ろうと、
ドアを開けて外に出る。


「アニキ、送りますよ!」


ガルムは、ドアの外まで見送りに来たが、
その顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。
本当に嬉しくて仕方ない顔をしていた。


「まだ妹さんの病気は治っていないから、
 俺に出来ることは協力するよ」


「アニキ、本当に……
 俺は、恩返しに何でもします……」


ガルムがそう言ったので、
丁度龍の話がしやすいと思ったが、
予想外の邪魔が入る。







「お、おい!
 私の子分に何してるんだ!」





そう言い放ったのは、
短い銀髪に赤目をした活発な少女だ。
恐らく同い年くらいだろう。



「お、おやびん!」



いきなり隣にいたガルムが叫び出す。
もしかしたら少女は、泣き腫らしたガルムを見て、
俺が苛めていると勘違いをしたのかもしれない。


そして通信機から賢者がその名前を告げると、
本当にその人なのか信じられない。







「私は、ユリス・レガード
 そいつの親分よ!」





ユリス・レガード……
レガード家の者なら知らないわけがない。
龍を倒して剣聖を受勲された伝説の存在。
初代剣聖のおかげで、レガード家は力を付けられた。


そして近い未来、剣聖に至る憧れの存在を前に、
俺は戸惑いを隠せない。
初代剣聖に出会えて感動しているが、
何故か剣を向けられているのだから……
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