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第75話 旧魔法学園
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クリス達は旧魔法学園へ足を踏み入れる。
魔法学園は、八棟の校舎から成り立っており、
その中でも中央校舎は国内最大級の設備を誇る。
敵国から攻撃を受けた際に、ゲイルが撹乱されてもおかしくない程に規模が大きかった。
「何かこう見ると切なくなるな~」
フィリアにとって青春の場所で、
憧れのクレアを目指して学業に明け暮れてきた。
その魔法学園はまさに廃墟と化している。
「フィリアさんにとっては、
思い出の場所でしたね」
「マリアにとってもね」
マリアもここに通っていたのか……
一緒に来れないと思うと少し寂しい。
でも……
「ちょっと残念だけど、今は新しい学園で、
マリアと通えるから俺は嬉しいかな……
それに、お姉さんも一緒だしね」
ありのまま言っただけだが、
シャルロットはクリスを見つめる。
「ふーん……」
シャルロットはジト目でクリスを見ると、
クリスは、何か気に障ったかと勘違いする。
「何かありました?」
「な、何でもないわよ!」
シャルロットは、フンッとそっぽを向いて、
中央校舎の入り口に一人で歩き出したため、
クリスもその後を追いかける。
「ちょっと待ってくださいよ~」
「アンタたち、よくこの廃れた場所で
青春出来るわね……」
一人ぼやきながら、フィリアは後を追う。
そして中央校舎の前に全員がたどり着くと、
シャルロットが口を開いた。
「これ何階まであるのよ?」
上を見渡す限りでも6階はあり、
施設内全てを捜索するのは三人では荷が重い。
「あの、探知だと結構正確に探せそうです」
「やっぱり探知持ちがいると楽ね……」
「じゃあ、校舎の中に入りますよ!」
恐る恐る中に入る……
暗闇の中でシャルロットの火魔法が頼りだが、
照らせる範囲は限られ密集して歩くしかない。
更に敵への警戒もしなければならず、
音に敏感になってしまう。
そして突風が窓を鳴らし悪戯をしてきた。
「な、何なのよー」
ガタガタと入り口の窓の音が鳴り振り返る。
想像以上に歩く速度は落ちているが、
周囲を確認しながら進む。
「あの、幽霊とかっていないよね?」
フィリアは心配性だ。
強化格闘術さえあれば大抵は一捻りだが、
この状況では霊の類の方が怖いのだ。
一番怯えており最後尾を歩いている。
「ア、アンタね、いる訳ないでしょ」
シャルロットも余裕がなく、苛立っていた。
ただでさえ火魔法で照らす範囲は狭く、
前方への注意に全力を注いでいるのだ。
クリスは交代したいとも思ったが、
残念ながら火魔法Lv.1では火の大きさが異なり、
更に視界が狭くなってしまう。
そのため灯り担当はシャルロットしかあり得ないのだ。
「なんか、探知の方向が変わった」
クリスの探知に変化があり、
今目指す場所よりも下方向に反応が変わった。
「フィリアさん、地下とかあるの?」
フィリアは学園時代の記憶を頼りに考えるが、
思い出せなかったようだ。
「わ、分からないわ……」
宮廷魔術師であるにも関わらず、
二人の後ろに隠れていた事に、
フィリアは後ろめたさを感じていた。
「ごめーん、
お姉さんが後で奢ってあげるから許して」
クリスとシャルロットの二人は、
その言葉が聞き間違いでないと確認し合う。
「マリアも一緒よ!」
「わ、分かったわよ~」
マリアを外に連れ出す口実が出来たと喜び、
シャルロットは歓喜した。
「あっちに階段が見えますよ!」
クリスが指差すと、地下行きの階段を発見する。
そして足音を立てないように、
警戒しながら階段を降りた。
「この教室だ……」
目前の扉の奥に探知の反応を感じると、
俺達はその手に魔力を集める。
「いよいよだね……」
「ゆっくり近づいて先制攻撃するわよ」
旧魔法学園で捕まる生徒達に近付くが、
魔族が待ち構えている可能性が高い。
より一層気を引き締めて教室に向かう。
しかし騎士団が学園内を徹底的に探しても、
見つからなかった理由に、俺達は気付かなかった。
魔法学園は、八棟の校舎から成り立っており、
その中でも中央校舎は国内最大級の設備を誇る。
敵国から攻撃を受けた際に、ゲイルが撹乱されてもおかしくない程に規模が大きかった。
「何かこう見ると切なくなるな~」
フィリアにとって青春の場所で、
憧れのクレアを目指して学業に明け暮れてきた。
その魔法学園はまさに廃墟と化している。
「フィリアさんにとっては、
思い出の場所でしたね」
「マリアにとってもね」
マリアもここに通っていたのか……
一緒に来れないと思うと少し寂しい。
でも……
「ちょっと残念だけど、今は新しい学園で、
マリアと通えるから俺は嬉しいかな……
それに、お姉さんも一緒だしね」
ありのまま言っただけだが、
シャルロットはクリスを見つめる。
「ふーん……」
シャルロットはジト目でクリスを見ると、
クリスは、何か気に障ったかと勘違いする。
「何かありました?」
「な、何でもないわよ!」
シャルロットは、フンッとそっぽを向いて、
中央校舎の入り口に一人で歩き出したため、
クリスもその後を追いかける。
「ちょっと待ってくださいよ~」
「アンタたち、よくこの廃れた場所で
青春出来るわね……」
一人ぼやきながら、フィリアは後を追う。
そして中央校舎の前に全員がたどり着くと、
シャルロットが口を開いた。
「これ何階まであるのよ?」
上を見渡す限りでも6階はあり、
施設内全てを捜索するのは三人では荷が重い。
「あの、探知だと結構正確に探せそうです」
「やっぱり探知持ちがいると楽ね……」
「じゃあ、校舎の中に入りますよ!」
恐る恐る中に入る……
暗闇の中でシャルロットの火魔法が頼りだが、
照らせる範囲は限られ密集して歩くしかない。
更に敵への警戒もしなければならず、
音に敏感になってしまう。
そして突風が窓を鳴らし悪戯をしてきた。
「な、何なのよー」
ガタガタと入り口の窓の音が鳴り振り返る。
想像以上に歩く速度は落ちているが、
周囲を確認しながら進む。
「あの、幽霊とかっていないよね?」
フィリアは心配性だ。
強化格闘術さえあれば大抵は一捻りだが、
この状況では霊の類の方が怖いのだ。
一番怯えており最後尾を歩いている。
「ア、アンタね、いる訳ないでしょ」
シャルロットも余裕がなく、苛立っていた。
ただでさえ火魔法で照らす範囲は狭く、
前方への注意に全力を注いでいるのだ。
クリスは交代したいとも思ったが、
残念ながら火魔法Lv.1では火の大きさが異なり、
更に視界が狭くなってしまう。
そのため灯り担当はシャルロットしかあり得ないのだ。
「なんか、探知の方向が変わった」
クリスの探知に変化があり、
今目指す場所よりも下方向に反応が変わった。
「フィリアさん、地下とかあるの?」
フィリアは学園時代の記憶を頼りに考えるが、
思い出せなかったようだ。
「わ、分からないわ……」
宮廷魔術師であるにも関わらず、
二人の後ろに隠れていた事に、
フィリアは後ろめたさを感じていた。
「ごめーん、
お姉さんが後で奢ってあげるから許して」
クリスとシャルロットの二人は、
その言葉が聞き間違いでないと確認し合う。
「マリアも一緒よ!」
「わ、分かったわよ~」
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シャルロットは歓喜した。
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そして足音を立てないように、
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「この教室だ……」
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「いよいよだね……」
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