【改稿版】休憩スキルで異世界無双！チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

第66話 転生者

覇王の一撃が黒騎士を弾き飛ばした。
尋常でない破壊力から無事では済まない。


「クリス、まだ油断するな！」


賢者は俺に注意を促す。
魔界での黒騎士を知っているからこそ、
最後まで油断できないと警告した。


「流石はロゼ……」


その返事が瓦礫の方から聞こえると、
ゆっくりと黒騎士が立ち上がる。
しかし俺達の攻撃に無傷とはいかず、
鎧に亀裂が入っていた。


「五百年ぶりくらいか……
　ここまで追い込まれたのは……」


黒騎士が懐かしむような言葉を発すると、
背後に転移魔法の渦が発生する。


「な、何だと！転移魔法だと！」


賢者は、目の前の渦を見て、
発動した転移魔法に驚愕した。


そしてその渦の中から黒髪短髪の男の子が現れ、
黒騎士に向けて言葉をかける。


「セトさん……
　勝手に飛び出して困りますよ……」


日本人に見える少年が、黒騎士に文句を言うと、
黒騎士も少年の名前を呼び謝る。


「シン殿、すまないな……
　予想外の強者がいたのでな……」


シンと呼ばれた少年は、
不敵な笑みを浮かべて俺に言葉を放つ。


「お兄さんは転生者かな？
　もしそうなら、負けないよ……」


「お前も……転生者なのか？」


「そうだよ……
　お兄さんと同じね…」


そう言うと転移魔法のゲートに向かって、
黒騎士を連れて歩き出す。
そしてゲートが閉じる寸前で宣言した。


「残念だけど、ルミナスは……
　僕が滅ぼすよ……」


一言残して二人は、姿を消す。
後味は悪かったが確かに四天王を撃退し、
ルミナスを救ったのだ……



「やったんだよな……
　俺たちは……」



この世界で黒騎士を撃退出来たと実感すると、
気づけば周りの人達と抱き合って喜んだ。



「それにしてもユーリには驚いたよ……
　すっかり変わっていたからさ」


「へへへへ！
　私の魅力にやられたな～」


怪しく笑いながら俺を揶揄ってきた。
綺麗になっても中身は変わっていないようだ。


「クリス！
　良くやったな……」


「母上、本当に……
　助かりました」


母上がいなければ黒騎士に勝てなかった。
それにしても、一人で俺たち相手に互角以上の戦いをした黒騎士は、やはり規格外と感じる。
出来ればもう二度と戦いたくない……


「カート！
　お前はよくぞ師匠を守った！」


「カートさん、
　本当に格好良かったですよ！」


褒めちぎられるカートは、
頭をぽりぽり掻きながら照れている。


「私からもお礼を言うよ、カート！
　アンタのおかげで命拾いしたよ」


賢者が真正面からカートに礼を言うと、
カートは更に顔を赤くして照れた。


「師匠……」


クレアは、自分を守るために命を張った賢者に、
心から感謝すると共に安堵していた。


「ク、クレア様！！」


フィリアがいきなり大声をあげると、
和んでいたが、驚いてしまう。


「フィリアじゃないか！
　お前も良かったな……」


「良かったな、じゃないですよ！
　四年間も出張で国を出てて！
　私がどれほど寂しかったことか……」


フィリアは会えなかった想いが積もり、
大声をあげてクレアに詰め寄った。


「まあまあ……
　王からの命令だから仕方ないだろ……」


クレアとユーリは四年間の間、他国を周りながら魔女とエルフを救出する任務にあたっている。
エレノアの被害者を救出するためだ。


「そうですが……
　そうなのですが……」


フィリアは元々クレアに依存しており、
いつも行動を共にしていた。
それが急な出張で会えず、落ち込んでいたのだ。


俺はフィリアの寂しいという言葉を聞き、
以前のフィリアとの日々を思い出していた……
この世界のフィリアからは告白されていない。
しかし過去に遡れたのはフィリアのおかげだ。
母上やユーリを助けられたのも、
そして今俺が生きているのも、
フィリアと賢者が命を懸けてくれたからだ。


俺はそれを忘れてはならない。
そんな気がしていた……


「お！ようやく騎士団の到着だな！」


カートさんがそのように言うと、
父上達、王国騎士団が援軍に到着した。
母上は相変わらず遅れた父上に小言を言っている。


「山道で怪我人が出たのだ……
　仕方ないだろう……」


何処かで聞いたやり取りだと感じたが、
この世界でも二人の痴話喧嘩が聞けるのは、
幸せなのだろう……


父上の報告だとエルフの里を目指すオーク500体が、まるで神隠しの消えたのだと言う。
もしかすると、シンが転移魔法で撤退させたのかもしれない。



ついに俺達はルミナスへ帰る。
長い旅は終わりを迎えるのだ。
今度は大切な家族と共に新たな
それが心から嬉しくて堪らない。
しかしこの先、とんでもない陰謀に巻き込まれていくことになるとは思いもしなかった……