60 / 125
第60話 討伐
しおりを挟む
見張り台から母上は落ちたが、
決死の覚悟でユーリが救うと、
代わりに海に落ちてしまった。
「ユーリ!!」
悲鳴にも近い母上の声が海原に響いた。
俺も落ち着いてはいられない……
好きだと告白した相手が海に落ちたのだ。
即座に俺も飛び込もうとするが、
心の中で【何者か分からない誰か】に止められた。
メデューサの時と同じ呼びかけを再度体験する。
「そんなにあの子が心配?」
突然、魔族のサリーが話しかけてきた。
サリーは、俺や母上が動揺するのに対して、
終始冷静に口を開く。
「あの子には魔族の血が入ってる。
何故心配するの?」
「それは、ユーリが大切だからだ!」
「……」
迷いなく言葉を発しても、
サリーは、納得できない顔をしている。
「裏切るかもしれない……」
「そんなことは絶対にない!」
「何故?
何故そう言い切れるの?」
「……確かにユーリは、
お調子者で、食いしん坊で……
いつも笑顔で冗談ばかり言う。
でも……」
「そんなユーリが好きなんだ……
だから……信じたいんだ!」
真剣な眼差しで伝えると、
サリーは一瞬溜め息を吐き、言葉を発する。
「わ、分かったわよ……
でも、完全に信用したわけじゃない……
今はとりあえず信じてあげる」
「え?」
「召喚よ……」
その言葉を聞いて、必死に思考を張り巡らせる。
そしてすぐにその答えに辿り着いた。
召喚と名の付く魔法を使った人物は、一人しかいない。
「早くしてあげな……」
サリーのおかげで、使うべきスキルが分かり、
ユーリの存在を意識する。
そして力強くそのスキルを叫んだ。
「使い魔召喚!」
すると瞬く間に黒い渦が生まれ、
その渦の中から、びしょ濡れのユーリが現れた。
「「ユーリ!」」
あまりの嬉しさに母上と共に叫ぶ。
地上に戻れたと同時にユーリは激しく咳き込み、
体内の水を吐き出した。
「ユーリ、良かった!
何とか無事だな……」
母上は、ユーリが生きていると知り、
一目散に駆け寄り抱き付いた。
そしてクラーケンの方向に目を向けると、
意外にも覇王の一撃の影響で動きを止めている。
衝撃により身体が傷付いていた。
その瞬間、隙を見逃さず賢者が走り出していた。
クラーケンに近付き、魔法の筒を投げる。
すると先端に針のようなパーツが付いており、
突き刺さると同時に魔力を吸収し始めた。
「そろそろ動き出すぞ!」
賢者の声を聞き、即座にクラーケンの方へ走る。
そしてこの瞬間、【何者か分からない誰か】から交信があった。
「何故か分からない……
絶対に従った方が良い気がする」
その命令を忠実に再現するために、
俺は船を蹴飛ばし、クラーケンに飛び移る。
そして直接手で触れて自分の魔力を送った。
更に剣で突き刺し傷口にスキルを使用する。
「最大火力を喰らえ!」
直接、螺旋の炎を体内に送り込んだ。
流石のクラーケンも身体の内側から焼かれれば、
無事では済まないだろう。
「クリス!戻れ!」
賢者の言葉を聞き、船に飛び移る。
俺が着地したと同時に、賢者は母上に合図を送り、
大量の光の剣を放った。
衝突した瞬間に海原に光が溢れる。
賢者との特訓で俺達の連携も深まり、
クラーケンに付け入る隙を与えなかった。
ゆっくりと輝きが収まると、
そこには瀕死のクラーケンが見える。
「クレア!!」
賢者が指示すると即座に光の剣を足場に移動して、
母上はクラーケンに近付いた。
そして打ち合わせ通りに魔法の筒を回収する。
「良くやった!目的は達成だ!」
最後は俺がトドメを刺す計画になっていた。
しかし、螺旋の炎で魔力を使い果たしてしまい、
子供の身体に戻っている。
魔力が枯渇してしまうと通常であれば手段はない。
しかし俺だけに許された力があった。
俺は休憩スキルを使用する。
更に姿を変えて覇王の一撃を放った。
すると、その光はクラーケンに直撃して、
大きな胴体を貫通する。
ついに海の支配者の討伐に成功した瞬間だった。
俺達は無事に目的である魔法の筒の魔力補充と、
クラーケン討伐に成功した。
いよいよ準備は整い、未来を変える物語に繋がる。
休憩スキルを使用した時に、
融合魔法LV.5のスキルを獲得していた。
賢者に話してみると、大声を出して驚く。
それくらいに貴重なスキルなのだと言っていた。
そしてその融合魔法が、未来のルミナスに大きく影響するとは思いもしないのであった……
決死の覚悟でユーリが救うと、
代わりに海に落ちてしまった。
「ユーリ!!」
悲鳴にも近い母上の声が海原に響いた。
俺も落ち着いてはいられない……
好きだと告白した相手が海に落ちたのだ。
即座に俺も飛び込もうとするが、
心の中で【何者か分からない誰か】に止められた。
メデューサの時と同じ呼びかけを再度体験する。
「そんなにあの子が心配?」
突然、魔族のサリーが話しかけてきた。
サリーは、俺や母上が動揺するのに対して、
終始冷静に口を開く。
「あの子には魔族の血が入ってる。
何故心配するの?」
「それは、ユーリが大切だからだ!」
「……」
迷いなく言葉を発しても、
サリーは、納得できない顔をしている。
「裏切るかもしれない……」
「そんなことは絶対にない!」
「何故?
何故そう言い切れるの?」
「……確かにユーリは、
お調子者で、食いしん坊で……
いつも笑顔で冗談ばかり言う。
でも……」
「そんなユーリが好きなんだ……
だから……信じたいんだ!」
真剣な眼差しで伝えると、
サリーは一瞬溜め息を吐き、言葉を発する。
「わ、分かったわよ……
でも、完全に信用したわけじゃない……
今はとりあえず信じてあげる」
「え?」
「召喚よ……」
その言葉を聞いて、必死に思考を張り巡らせる。
そしてすぐにその答えに辿り着いた。
召喚と名の付く魔法を使った人物は、一人しかいない。
「早くしてあげな……」
サリーのおかげで、使うべきスキルが分かり、
ユーリの存在を意識する。
そして力強くそのスキルを叫んだ。
「使い魔召喚!」
すると瞬く間に黒い渦が生まれ、
その渦の中から、びしょ濡れのユーリが現れた。
「「ユーリ!」」
あまりの嬉しさに母上と共に叫ぶ。
地上に戻れたと同時にユーリは激しく咳き込み、
体内の水を吐き出した。
「ユーリ、良かった!
何とか無事だな……」
母上は、ユーリが生きていると知り、
一目散に駆け寄り抱き付いた。
そしてクラーケンの方向に目を向けると、
意外にも覇王の一撃の影響で動きを止めている。
衝撃により身体が傷付いていた。
その瞬間、隙を見逃さず賢者が走り出していた。
クラーケンに近付き、魔法の筒を投げる。
すると先端に針のようなパーツが付いており、
突き刺さると同時に魔力を吸収し始めた。
「そろそろ動き出すぞ!」
賢者の声を聞き、即座にクラーケンの方へ走る。
そしてこの瞬間、【何者か分からない誰か】から交信があった。
「何故か分からない……
絶対に従った方が良い気がする」
その命令を忠実に再現するために、
俺は船を蹴飛ばし、クラーケンに飛び移る。
そして直接手で触れて自分の魔力を送った。
更に剣で突き刺し傷口にスキルを使用する。
「最大火力を喰らえ!」
直接、螺旋の炎を体内に送り込んだ。
流石のクラーケンも身体の内側から焼かれれば、
無事では済まないだろう。
「クリス!戻れ!」
賢者の言葉を聞き、船に飛び移る。
俺が着地したと同時に、賢者は母上に合図を送り、
大量の光の剣を放った。
衝突した瞬間に海原に光が溢れる。
賢者との特訓で俺達の連携も深まり、
クラーケンに付け入る隙を与えなかった。
ゆっくりと輝きが収まると、
そこには瀕死のクラーケンが見える。
「クレア!!」
賢者が指示すると即座に光の剣を足場に移動して、
母上はクラーケンに近付いた。
そして打ち合わせ通りに魔法の筒を回収する。
「良くやった!目的は達成だ!」
最後は俺がトドメを刺す計画になっていた。
しかし、螺旋の炎で魔力を使い果たしてしまい、
子供の身体に戻っている。
魔力が枯渇してしまうと通常であれば手段はない。
しかし俺だけに許された力があった。
俺は休憩スキルを使用する。
更に姿を変えて覇王の一撃を放った。
すると、その光はクラーケンに直撃して、
大きな胴体を貫通する。
ついに海の支配者の討伐に成功した瞬間だった。
俺達は無事に目的である魔法の筒の魔力補充と、
クラーケン討伐に成功した。
いよいよ準備は整い、未来を変える物語に繋がる。
休憩スキルを使用した時に、
融合魔法LV.5のスキルを獲得していた。
賢者に話してみると、大声を出して驚く。
それくらいに貴重なスキルなのだと言っていた。
そしてその融合魔法が、未来のルミナスに大きく影響するとは思いもしないのであった……
0
お気に入りに追加
524
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました
平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。
しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。
だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。
まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~
霜月雹花
ファンタジー
17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと話をしていた。話を聞けばどうやら強盗を捕まえた事で未来を改変し、転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰えて異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイントを使いチート化した俺は異世界で生きていく。
なろうでも掲載しています。
このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~
夢幻の翼
ファンタジー
典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。
男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。
それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。
一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。
持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる