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第46話 奇跡
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再び覇王の光が溢れていく……
二度目の解放に誰しもが驚いていた。
「クリス……」
目の前のクリスの覇王の波動を感じて、
さらにクレアは驚愕している……
先程で魔力が尽きていたはずが、
それ以上に強力な回復魔法、覇王を見せた。
「どこまでも私の邪魔をするのね……
それなら、お友達を先に殺してあげる!」
メデューサの魔力は魔法に変換され、
山道を毒の霧が覆う。
離れているユーリまで霧が届いてしまった。
「さあ、急いで私を殺さないと、
お友達は、みんな死んでしまうわよ……」
クレアはこの瞬間、
ユーリを救うべきだと判断した。
即座に神速スキルを使い移動する。
直ぐにユーリを見つけたが、
吸い込んだ毒により、肺をやられて倒れていた。
「おい、しっかりしろ……
ユーリ!」
「あ、あねご……」
何とかユーリが生きているのを確認して、
すぐに毒の霧が及ばない場所まで運ぶ。
そして一つしかない回復薬をユーリに飲ませた。
「あ、あねご!
駄目だよ!あねごが飲んでよ……」
「ばか!言っただろう……
私たちは家族だ……」
「あ、あねご……」
ユーリは涙を流している……
そしてそんなユーリを見ていると、
自然にクレアの頬を涙が流れた……
カートはこの危機の中、いち早く敵を察知していた。
そしてその敵の視線の先には、
クリスが立ち尽くしているのが見える。
「何もできずに、私に殺されなさい」
クリスの背後にメデューサが近づく……
そして毒のナイフで攻撃をしようと動いた。
「クリス!」
カートは全速力で駆け抜けて、その間に割り込む。
「なに!」
間一髪のところで攻撃を盾で防いだが、
ナイフの切っ先が腕に当たってしまった。
「っく……」
「霧の毒に加えて、麻痺の毒……
貴方は身体を動かすことさえできずに、
ここで朽ち果てるのよ」
「カートさん!」
カートが身体を張って守ってくれたおかげで、
クリスは再度、敵の位置を認識した。
「クリス!この霧はまずい!
奴を倒すことを優先しろ!」
カートの言う通りメデューサへ向かう。
今、カートを回復しようとしても追撃されてしまう。
倒すしか選択肢は残されていない。
持っている身体強化を全てかけた。
そしてカートは、クリスが駆け抜けていくと同時に、地面に倒れてしまう。
メデューサは、クリスの対策を練っていた。
身体を霧に変化させる技で、
覇王の一撃を回避する。
そしてトドメをさそうと考えた。
そして衝突の瞬間……
クリスの右手に光が集まり、
覇王の一撃を放った。
「ふふふ、私の勝ちだ……」
メデューサが霧に姿を変えると、
覇王の一撃は、空の彼方へ消えてしまう。
しかしこの瞬間、【何者か分からない誰か】から、
今、切り札を使うべきだと交信があった。
「地獄の業火」
螺旋の炎が、クリスの周囲の霧を全て焼き払う。
霧に姿を変えているメデューサは、
何も出来ずに燃え続けた……
慌てたメデューサは、咄嗟に魔法を解くが、
致命傷に近いダメージを回復する手段はない。
既に身体半分が消滅してしまい、
死に至るのは時間の問題だ。
クリスは全ての魔法を解除し、子供の姿に戻る。
急いでカートの元へ向かい、回復魔法を使った。
何とか瀕死の重体から持ち堪える。
クリスは霧が晴れつつある山道を見渡すと、
少し離れた場所で泣き続けるユーリを見つけた。
クリスは魔力を残すために懸命に走る。
足がちぎれても、肺が切れても、
それでも良いと思える程、必死に走り続けた。
そしてクレアの元に辿り着く。
クレアの呼吸はまだあるが、
だが毒がかなり回っている。
急いで治療しなければ間に合わない。
ありったけの魔力を込めて回復魔法を使用した。
「ク、クリス!
あねごが……」
ユーリの泣き叫ぶ声が、俺の胸に響く……
駄目だ……
母上を助けるには、魔力が足りない。
先程の戦いで魔力を大幅に使ってしまった。
魔力も限界が近い。
何か救える方法がないのか。
周りを見渡していく中で、
隣のユーリが視界に入る……
「ユーリ、頼む!
魔力が残っていたら、俺に力を貸してくれ!
一緒にクレアさんを救うんだ!」
ユーリは無言で頷き、クリスの手を握る。
そして心を込めて魔力を送り続けた。
二人の気持ちが一つになる。
クレアを救いたい。
その一心が奇跡を起こす。
二人の魔力が共鳴し回復魔法の効果が上がり続けた。
「クレアさん、戻ってこい!」
気付いたら叫んでいた……
「まだ死んじゃ駄目だ!」
絶対に後悔なんかしたくない……
「たくさん話したいことがあるんだよ!」
貴方は俺の……
「どうしても、貴方に伝えたいんだ!」
ありったけの魔力を……
ありったけの愛を込めて……
そして……
「……うっ」
「クレアさん!」
「あねご!」
気づけば俺もユーリも涙を流していた……
そして、母上が……
クレア・レガードが目を覚ます……
「クリス、ユーリ……」
母上は目を潤ませながら、
そして美しい笑顔を向けて呟く……
「ありがとう……
お前達に出逢えて良かった」
そして俺たちは抱きしめあった。
皆んなが無事に生きている……
心が一つになって生まれた奇跡。
俺はこの奇跡を一生忘れない……
二度目の解放に誰しもが驚いていた。
「クリス……」
目の前のクリスの覇王の波動を感じて、
さらにクレアは驚愕している……
先程で魔力が尽きていたはずが、
それ以上に強力な回復魔法、覇王を見せた。
「どこまでも私の邪魔をするのね……
それなら、お友達を先に殺してあげる!」
メデューサの魔力は魔法に変換され、
山道を毒の霧が覆う。
離れているユーリまで霧が届いてしまった。
「さあ、急いで私を殺さないと、
お友達は、みんな死んでしまうわよ……」
クレアはこの瞬間、
ユーリを救うべきだと判断した。
即座に神速スキルを使い移動する。
直ぐにユーリを見つけたが、
吸い込んだ毒により、肺をやられて倒れていた。
「おい、しっかりしろ……
ユーリ!」
「あ、あねご……」
何とかユーリが生きているのを確認して、
すぐに毒の霧が及ばない場所まで運ぶ。
そして一つしかない回復薬をユーリに飲ませた。
「あ、あねご!
駄目だよ!あねごが飲んでよ……」
「ばか!言っただろう……
私たちは家族だ……」
「あ、あねご……」
ユーリは涙を流している……
そしてそんなユーリを見ていると、
自然にクレアの頬を涙が流れた……
カートはこの危機の中、いち早く敵を察知していた。
そしてその敵の視線の先には、
クリスが立ち尽くしているのが見える。
「何もできずに、私に殺されなさい」
クリスの背後にメデューサが近づく……
そして毒のナイフで攻撃をしようと動いた。
「クリス!」
カートは全速力で駆け抜けて、その間に割り込む。
「なに!」
間一髪のところで攻撃を盾で防いだが、
ナイフの切っ先が腕に当たってしまった。
「っく……」
「霧の毒に加えて、麻痺の毒……
貴方は身体を動かすことさえできずに、
ここで朽ち果てるのよ」
「カートさん!」
カートが身体を張って守ってくれたおかげで、
クリスは再度、敵の位置を認識した。
「クリス!この霧はまずい!
奴を倒すことを優先しろ!」
カートの言う通りメデューサへ向かう。
今、カートを回復しようとしても追撃されてしまう。
倒すしか選択肢は残されていない。
持っている身体強化を全てかけた。
そしてカートは、クリスが駆け抜けていくと同時に、地面に倒れてしまう。
メデューサは、クリスの対策を練っていた。
身体を霧に変化させる技で、
覇王の一撃を回避する。
そしてトドメをさそうと考えた。
そして衝突の瞬間……
クリスの右手に光が集まり、
覇王の一撃を放った。
「ふふふ、私の勝ちだ……」
メデューサが霧に姿を変えると、
覇王の一撃は、空の彼方へ消えてしまう。
しかしこの瞬間、【何者か分からない誰か】から、
今、切り札を使うべきだと交信があった。
「地獄の業火」
螺旋の炎が、クリスの周囲の霧を全て焼き払う。
霧に姿を変えているメデューサは、
何も出来ずに燃え続けた……
慌てたメデューサは、咄嗟に魔法を解くが、
致命傷に近いダメージを回復する手段はない。
既に身体半分が消滅してしまい、
死に至るのは時間の問題だ。
クリスは全ての魔法を解除し、子供の姿に戻る。
急いでカートの元へ向かい、回復魔法を使った。
何とか瀕死の重体から持ち堪える。
クリスは霧が晴れつつある山道を見渡すと、
少し離れた場所で泣き続けるユーリを見つけた。
クリスは魔力を残すために懸命に走る。
足がちぎれても、肺が切れても、
それでも良いと思える程、必死に走り続けた。
そしてクレアの元に辿り着く。
クレアの呼吸はまだあるが、
だが毒がかなり回っている。
急いで治療しなければ間に合わない。
ありったけの魔力を込めて回復魔法を使用した。
「ク、クリス!
あねごが……」
ユーリの泣き叫ぶ声が、俺の胸に響く……
駄目だ……
母上を助けるには、魔力が足りない。
先程の戦いで魔力を大幅に使ってしまった。
魔力も限界が近い。
何か救える方法がないのか。
周りを見渡していく中で、
隣のユーリが視界に入る……
「ユーリ、頼む!
魔力が残っていたら、俺に力を貸してくれ!
一緒にクレアさんを救うんだ!」
ユーリは無言で頷き、クリスの手を握る。
そして心を込めて魔力を送り続けた。
二人の気持ちが一つになる。
クレアを救いたい。
その一心が奇跡を起こす。
二人の魔力が共鳴し回復魔法の効果が上がり続けた。
「クレアさん、戻ってこい!」
気付いたら叫んでいた……
「まだ死んじゃ駄目だ!」
絶対に後悔なんかしたくない……
「たくさん話したいことがあるんだよ!」
貴方は俺の……
「どうしても、貴方に伝えたいんだ!」
ありったけの魔力を……
ありったけの愛を込めて……
そして……
「……うっ」
「クレアさん!」
「あねご!」
気づけば俺もユーリも涙を流していた……
そして、母上が……
クレア・レガードが目を覚ます……
「クリス、ユーリ……」
母上は目を潤ませながら、
そして美しい笑顔を向けて呟く……
「ありがとう……
お前達に出逢えて良かった」
そして俺たちは抱きしめあった。
皆んなが無事に生きている……
心が一つになって生まれた奇跡。
俺はこの奇跡を一生忘れない……
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