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第28話 婚約
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俺とアリスは一旦は家に帰宅しており、
今はリーナを前にしている。
「リーナ」
「クリス様、アリス様、そしてベル……
また皆様にお会いできて、本当に嬉しいです」
リーナは涙目になりながら俺達を出迎えてくれた。
送り出してくれた時のリーナの言葉は、
ずっと忘れないだろう。
すると、アリスとベルは感極まって、
リーナの元に行き、抱き合っている。
二人ともまだ小さな女の子なのだ。
「リーナ……うっ……うっ」
「あらあら……アリス様もベルも……
クリス様はこちらに来ないのですか?」
リーナは笑顔で尋ねてくるので、
俺もアリス達の元へ向かって抱き合う。
こうして家族一緒に泣いていると、
あの戦いを生還して本当に良かったと思えた……
しかし、リーナは処罰をくらってしまう。
自分のことは顧みず俺たちに尽くしてくれた。
リーナのおかげで生き残れたと言っても過言ではないため、父上に減刑をお願いしたい。
「アリスは、うっ……アリスは一番お兄様が……
結婚……してしまうことが……
悲しいのです」
「は?」
やべ、まだ言ってなかった……
詳しく説明しないといけなかったが、
感動的な再会だったから言い出せなかった。
「あの、結婚とは?」
「あの、俺、マリア様と……
婚約しました」
「はい?」
「マリア様と婚約しました」
相当衝撃的だったのだろう。
放心状態になり、冷静なリーナに戻りはしなかった。
「あ、あ、あのマリア様と、
こ、こ、婚約ですか?」
「うん。マリア・ルミナス、第二王女の」
「ええええええ」
そのあとは経緯から何やらを話して、
納得してもらうまで時間がかかった。
だが、この後リーナにも関わる問題を話していない。
「あのさ、今からお呼ばれしてるんだ
城のお食事会に……
親しい者だけで行う祝言だって」
「はい?」
「もちろんリーナも参加するから」
「は?」
そりゃあ、混乱するわな……
俺が逆の立場でも相当狼狽えるぞ。
この後、また時間をかけて説得した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「クリス様、ネクタイが曲がっています」
「あ、ありがとう、リーナ」
俺達は城内のパーティー会場の入り口前に来ている。
何とか開場の時間まで間に合った。
「お兄様、今ならまだ引き返せますよ」
「もう覚悟を決めたよ」
そんな事を言い合っていると、
会場のドアが開き、王宮の執事が案内を始めた。
テーブルには豪華な食器や食事が並ぶ。
そして奥にはマリアとシャルロットが見えた。
「マリア……」
「クリス……」
お互いに婚約すると決まってから初めて対面した。
改めて向かい合うと意識してしまい、
二人とも赤くなっている……
「あの、クリス……
私と婚約……嫌じゃ、ないよね?」
「な、何言ってるんだよ!
死ぬほど嬉しいに決まってるじゃないか」
そう言うとマリアは、更に顔を赤くする。
あれから心配で堪らなかったのかもしれない……
二人とも想いは通じ合っているが、
急に婚約まで話が発展しているため、
不安になるのも当たり前だ。
「マリア、物凄く心配していたんだからね……
クリスもマリアを心配させないように、
ずっと一緒にいてあげるのよ!」
そう言ってシャルロットは、
俺とマリアの手をつなぎ合わせてくる。
「ち、ちょっとお姉ちゃん!」
「何言ってるのよ!手繋いだくらいで……
アンタ達、散々私の前で、
いちゃついていたじゃない」
何のことだ?
よくよく考えてみる……
ま、まさか!
俺とマリアが告白していた時って、
シャルロット殿下の目の前じゃないか!
「お、お姉ちゃん!もう!」
「あははは!でも、ありがとう!
マリアと私を守ってくれて……
クリスが相手で本当に良かったよ」
からかっていたシャルロットが、
少し真剣な表情で俺に伝える。
「私よりもしっかりしている妹だけど、
私よりも寂しがり屋だからね?
しっかりとクリスが守ってね!
それがマリアの騎士の役目だよ」
「お姉ちゃん……」
「ほら!そのまま手を繋いで、
お父様とお母様の所に行ってきなさい!
二人とも喜ぶから」
最後はそう言って笑いながら、
逃げていくシャルロット。
「ごめんね、クリス。
今離すから……」
「このままでいよう……
きっとシャルロット殿下の想いでもあるからさ」
「クリス……」
そして手をつなぎ合って、歩いていく。
俺達は今回の主役だ。
会場を歩くと茶化してくる者、
お祝いの言葉をかけてくる者と沢山いるが、
みんなが温かな視線を向けてくれた。
そして、ルミナス国王と王妃の待つところに向かう。
「クリス、そしてマリア。
ひとまず今日を持って二人は婚約だ。
異存はないな?」
「お父様、お母様……
私からもお願いしたいくらいです!
クリスとずっと一緒にいたいです」
「陛下、そして王妃、私も同じ想いです。
マリア殿下を必ず幸せにします」
「あぁ、二人とも幸せになりなさい」
「マリア、こんなに素敵な男性に出会えて、
良かったですね…私も嬉しいですよ」
確かマリアの母、レミナ王妃だったよな。
シャルロット、マリアの母君だけあって、
やはりとてつもなく美しい。
「クリス……
マリアのこと、宜しく頼みますよ」
「はい、マリア殿下のこと、
大切にします!」
そう伝えると二人とも笑顔で笑い合い、
俺達を祝福してくれた。
「2人とも、ルミナスの未来を頼んだぞ」
陛下はそのように俺たちに伝えて、
会場に集まる全員に聞こえるよう大きな声で告げる。
「皆のものよ、此度の戦、
このルミナスのため命をかけてくれて感謝する!
皆のおかげで敵の撃退に成功し、更に……
宮廷魔術師により誘拐された子の奪還に成功した」
陛下がそのように伝えると、
会場にいる者の歓声で溢れる……
親族も中に混ざり、涙を流している者もいた。
「シャルロットの提案で魔法学園と剣術学院を統合。
騎士魔法学園を新設する!
子供達の未来がルミナスの未来だ!
復興までは大変だが協力してほしい」
この会場、俺達は主役ではあるが、
今までの誘拐された子供の親族への王による面会、
戦の兵士たちへの慰労も目的の一つなのだ。
魔法学園が崩壊して、未来に不安を感じる民も多い。
その不安も新たな学園が新設される事で収まるだろう。
立て続けに事件は起きた。
しかし、今日の食事会をきっかけに、
全ての問題を解決した国王の手腕は凄まじい。
「最後に覇王のスキルを持つ者クリス、
我が娘でありルミナスの聖女マリアの
婚約を正式に発表する!
二人を祝い、今後も皆で支えてほしい……
では、二人の婚約を祝して、乾杯!」
陛下の宴の合図が始まるとともに、
俺たちのパーティーが始まった。
飲んで食べてを楽しんで、
会場にいるもの達は交流をした。
気づけば肩を組み、笑い合っている……
この平和な光景が続くように、
俺はこれからも戦うのだろう……
それが俺が持つ覇王というスキルの宿命なのかもしれない……
今はリーナを前にしている。
「リーナ」
「クリス様、アリス様、そしてベル……
また皆様にお会いできて、本当に嬉しいです」
リーナは涙目になりながら俺達を出迎えてくれた。
送り出してくれた時のリーナの言葉は、
ずっと忘れないだろう。
すると、アリスとベルは感極まって、
リーナの元に行き、抱き合っている。
二人ともまだ小さな女の子なのだ。
「リーナ……うっ……うっ」
「あらあら……アリス様もベルも……
クリス様はこちらに来ないのですか?」
リーナは笑顔で尋ねてくるので、
俺もアリス達の元へ向かって抱き合う。
こうして家族一緒に泣いていると、
あの戦いを生還して本当に良かったと思えた……
しかし、リーナは処罰をくらってしまう。
自分のことは顧みず俺たちに尽くしてくれた。
リーナのおかげで生き残れたと言っても過言ではないため、父上に減刑をお願いしたい。
「アリスは、うっ……アリスは一番お兄様が……
結婚……してしまうことが……
悲しいのです」
「は?」
やべ、まだ言ってなかった……
詳しく説明しないといけなかったが、
感動的な再会だったから言い出せなかった。
「あの、結婚とは?」
「あの、俺、マリア様と……
婚約しました」
「はい?」
「マリア様と婚約しました」
相当衝撃的だったのだろう。
放心状態になり、冷静なリーナに戻りはしなかった。
「あ、あ、あのマリア様と、
こ、こ、婚約ですか?」
「うん。マリア・ルミナス、第二王女の」
「ええええええ」
そのあとは経緯から何やらを話して、
納得してもらうまで時間がかかった。
だが、この後リーナにも関わる問題を話していない。
「あのさ、今からお呼ばれしてるんだ
城のお食事会に……
親しい者だけで行う祝言だって」
「はい?」
「もちろんリーナも参加するから」
「は?」
そりゃあ、混乱するわな……
俺が逆の立場でも相当狼狽えるぞ。
この後、また時間をかけて説得した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「クリス様、ネクタイが曲がっています」
「あ、ありがとう、リーナ」
俺達は城内のパーティー会場の入り口前に来ている。
何とか開場の時間まで間に合った。
「お兄様、今ならまだ引き返せますよ」
「もう覚悟を決めたよ」
そんな事を言い合っていると、
会場のドアが開き、王宮の執事が案内を始めた。
テーブルには豪華な食器や食事が並ぶ。
そして奥にはマリアとシャルロットが見えた。
「マリア……」
「クリス……」
お互いに婚約すると決まってから初めて対面した。
改めて向かい合うと意識してしまい、
二人とも赤くなっている……
「あの、クリス……
私と婚約……嫌じゃ、ないよね?」
「な、何言ってるんだよ!
死ぬほど嬉しいに決まってるじゃないか」
そう言うとマリアは、更に顔を赤くする。
あれから心配で堪らなかったのかもしれない……
二人とも想いは通じ合っているが、
急に婚約まで話が発展しているため、
不安になるのも当たり前だ。
「マリア、物凄く心配していたんだからね……
クリスもマリアを心配させないように、
ずっと一緒にいてあげるのよ!」
そう言ってシャルロットは、
俺とマリアの手をつなぎ合わせてくる。
「ち、ちょっとお姉ちゃん!」
「何言ってるのよ!手繋いだくらいで……
アンタ達、散々私の前で、
いちゃついていたじゃない」
何のことだ?
よくよく考えてみる……
ま、まさか!
俺とマリアが告白していた時って、
シャルロット殿下の目の前じゃないか!
「お、お姉ちゃん!もう!」
「あははは!でも、ありがとう!
マリアと私を守ってくれて……
クリスが相手で本当に良かったよ」
からかっていたシャルロットが、
少し真剣な表情で俺に伝える。
「私よりもしっかりしている妹だけど、
私よりも寂しがり屋だからね?
しっかりとクリスが守ってね!
それがマリアの騎士の役目だよ」
「お姉ちゃん……」
「ほら!そのまま手を繋いで、
お父様とお母様の所に行ってきなさい!
二人とも喜ぶから」
最後はそう言って笑いながら、
逃げていくシャルロット。
「ごめんね、クリス。
今離すから……」
「このままでいよう……
きっとシャルロット殿下の想いでもあるからさ」
「クリス……」
そして手をつなぎ合って、歩いていく。
俺達は今回の主役だ。
会場を歩くと茶化してくる者、
お祝いの言葉をかけてくる者と沢山いるが、
みんなが温かな視線を向けてくれた。
そして、ルミナス国王と王妃の待つところに向かう。
「クリス、そしてマリア。
ひとまず今日を持って二人は婚約だ。
異存はないな?」
「お父様、お母様……
私からもお願いしたいくらいです!
クリスとずっと一緒にいたいです」
「陛下、そして王妃、私も同じ想いです。
マリア殿下を必ず幸せにします」
「あぁ、二人とも幸せになりなさい」
「マリア、こんなに素敵な男性に出会えて、
良かったですね…私も嬉しいですよ」
確かマリアの母、レミナ王妃だったよな。
シャルロット、マリアの母君だけあって、
やはりとてつもなく美しい。
「クリス……
マリアのこと、宜しく頼みますよ」
「はい、マリア殿下のこと、
大切にします!」
そう伝えると二人とも笑顔で笑い合い、
俺達を祝福してくれた。
「2人とも、ルミナスの未来を頼んだぞ」
陛下はそのように俺たちに伝えて、
会場に集まる全員に聞こえるよう大きな声で告げる。
「皆のものよ、此度の戦、
このルミナスのため命をかけてくれて感謝する!
皆のおかげで敵の撃退に成功し、更に……
宮廷魔術師により誘拐された子の奪還に成功した」
陛下がそのように伝えると、
会場にいる者の歓声で溢れる……
親族も中に混ざり、涙を流している者もいた。
「シャルロットの提案で魔法学園と剣術学院を統合。
騎士魔法学園を新設する!
子供達の未来がルミナスの未来だ!
復興までは大変だが協力してほしい」
この会場、俺達は主役ではあるが、
今までの誘拐された子供の親族への王による面会、
戦の兵士たちへの慰労も目的の一つなのだ。
魔法学園が崩壊して、未来に不安を感じる民も多い。
その不安も新たな学園が新設される事で収まるだろう。
立て続けに事件は起きた。
しかし、今日の食事会をきっかけに、
全ての問題を解決した国王の手腕は凄まじい。
「最後に覇王のスキルを持つ者クリス、
我が娘でありルミナスの聖女マリアの
婚約を正式に発表する!
二人を祝い、今後も皆で支えてほしい……
では、二人の婚約を祝して、乾杯!」
陛下の宴の合図が始まるとともに、
俺たちのパーティーが始まった。
飲んで食べてを楽しんで、
会場にいるもの達は交流をした。
気づけば肩を組み、笑い合っている……
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