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第4話 戦いの後に

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目の前にいるのは国内でも屈指の剣の技術を持つ、
シャルロット・ルミナス。
第一王女にして剣のスキルに恵まれた天才だ。


「一旦お前を気絶させ拘束する」


おそらく、みね打ちだ。
達人になると剣で相手を気絶させて無力化できる。
流石に殺しはしないだろうが、
次に来る一撃を心の底から恐怖する。


「喰らえ!」


剣が当たるその瞬間……


「プロテクション!」


誰かが魔法を発動し俺とシャルロットの間に、
光の壁を創造した。
回復魔法使いが使える防御結界魔法で、
沈黙していたマリアの詠唱だったのだ。
俺は間一髪の所をマリアの魔法により救われた。


「マリア!!」


「お姉様、申し訳ありません……
 彼は私を救ってくださった命の恩人です」


「だが、お前に何かしたのではないのか?
 盗賊を倒した後に何かよからぬ事を」


「そ、それは私に問題が……
 少し考え事をしてて、
 お姉様に気付かなくて」


マリアは照れつつも可愛らしく言い放った。
この聖女、天然なのか?
途中から考え事をして呆けていただと。


「か、勘弁してくれ」


姉妹の掛け合いに緊張感が解けたのか、
俺は倒れてしまった。
恐らく刺された傷は深かったのだろう。
王女二人が慌てて俺に駆け寄り、
必死に声をかけてくる。
そして二人の声が少しずつ聞こえなくなり、
目の前が真っ暗になってしまった……



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



どれくらいの時間が経っただろう。
俺は王都の医療病棟のベッドの上にいる。
部屋にはシャルロット、マリア、
そして父上のゲイルと妹のアリス、
リーナが俺を見守っていた。
ちなみに父上は白髪のオールバックで、
少し怖い顔をしている。


「お、お兄様!」


アリスの涙混じりの声が聞こえる。
同じ銀髪に赤目をした双子の妹で、
恐らく美少女の部類に入るだろう。
そしてアリスの呼びかけに俺は目を開けた。


「ようやく目が覚めましたね」


マリアが回復魔法をかけていたようだが、
俺が起きたのを見計らって魔法を止める。
出血量が多く倒れてしまった俺に、
ずっと回復魔法をかけていたようだ。


「す、すまなかったな……
 妹の恩人に剣を向けてしまって」


バツが悪そうにシャルロットが言う。
先程は頭に血が上り冷静でなかったが、
マリアから真実を聞き落ち込んでいたようだ。


「いえ、説明しなかった俺が悪いのです」


「殿下、謝られる必要などございません、
 鍛錬が足りなかったのです」


父上がシャルロットを庇うように言う。


「まさか、ゲイルの息子だったとはな…
 すまなかったなゲイル、そしてクリス」


シャルロットは心から反省しているようだ。


「ところでお兄様は、
 明日の儀式に参加出来るのでしょうか?」


アリスは俺と共に儀式に出れなくなるのが、
心配になりマリアに問いかける。


「一日休めば明日は問題ないですよ
 でも儀式とはスキル鑑定ですか?」


「はい。俺とアリスは12歳なので、
 明日にスキルの儀式を受けるのです」


12歳の儀式で良いスキルを獲得できるかで、
今後の人生が決まると言っても過言ではない。
レガード家にとって儀式は一大イベントで、
それが明日なのだ。



「それでは明日、命の恩人様の儀式を、
 皆んなで見守りましょう!」


「良いわね!私も明日は非番なのよ!
 マリアと一緒に応援しにいってあげる!」



は?なんだと!
明日、みんなで応援しに来るだと?
王女2人に騎士団も護衛に来るだろう。
そんな大所帯で来られた日には、
プレッシャーなんてもんじゃないぞ……


「いやいや、忙しいでしょうし、
 せっかくのお休みに申し訳ないです」


何とか二人の応援を回避しようと試みるが、
王女二人は盛り上がり話を聞いていない。
父上を見ると顔が真っ青になっている。
アリスも口が開きっぱなしだ。


「決まりですね!
 明日は私もお姉様も休みです
 応援しますので頑張ってくださいね!」


俺の話は全く聞かれておらず、
明日の予定が決まってしまった。


「せ、精一杯頑張ります」


そしてお見舞いに来た皆は帰って行った。
今日はこの病棟に泊まり、
明日の午後から儀式に参加する。
今日は色々ありすぎて疲れた。
転生前の記憶でも同じように苦労を背負い込んでいた気がする。


だが、明日はスキル鑑定の儀式だ。
ゆっくりできないのは既に分かりきっている……
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