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1章
キャンベル編1-2 事件発生
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「皆様、セバスチャンの芸はいかがだったでしょうか?続いては、ドラゴンのウェルダーの火吹き芸をご覧ください!」間もなく、緑色のウロコに覆われ、後ろに沿った二本の角を生やした肉食恐竜のようなドラゴンがコウモリの翼を広げて現れ、広場の中央に立つと、真上を見上げて口から炎を噴き始めました。
炎は上にある球に燃え移ったかと思うと、炎の球はどんどん大きくなり、そして、一気に花火となり、その中央から、白い翼を広げた白いドレスをまとう金髪のお下げのセイレーンの少女が現れたのです。
皆が驚く間もなくセイレーンは歌いだし、ウェルダーはそのリズムに合わせて火を吹いたり、ところどころに仕掛けていた打ち上げ花火に点火していきます。歌のリズムに合わせて花火が上がっては咲きを繰り返していき、最後は大きな花火を打ち上げて、セイレーンとウェルダーは会釈しました。
「ただ今の芸は、ドラゴンのウェルダーとセイレーンのマリーナの芸でした!」
「わぁ!このサーカス、面白いね!」
「様々な種族が共鳴し合う・・・ですね!」
エルニスとキャンベルが感心していると、レミオンはふと、周りを見回します。すると、少し離れたところで、露出の多い、上下に分かれたドレスを着た黒髪のボブヘアーの少女が隣に座っている者たちに何やら話し込んでいる場面を見つけました。
「あいつは・・・グーラ!?」レミオンはハッとしましたが、ここで団長の声がします。
「続いては、我がサーカスの花形!マチエール嬢!」会場が薄暗くなったかと思うと、うっすら光っている何かが会場の周りを飛んでいき、広場の中央で宙に浮いたまま会釈をしたのは、白いワンピースドレスを着込んだ金髪碧眼のロングヘアーの少女でした。
「わぁ、かわいいなぁ!」
「なんか、機械のスーツみたいなドレスですね・・・」
間もなく、マチエールは飛行機みたいな翼を背から生やし、体を色とりどりに発光させながら、辺りを飛び回ったり、旋回したりします。
そして、マチエールが飛び回っていくうちに、一人が二人、二人が三人と、マチエールの人数が増えていき、最後は5人のマチエールが、渡り鳥のようなⅤの字の編隊を組んで、一糸乱れることなく飛んでいきました。
後ろの四人のマチエールが、先頭のマチエールに集まっていき、元の一人に戻って再び広場の中央の空中で会釈すると、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こっていきました。
この後も、ウェルダーが作り出した炎のリングの中を、セバスチャンがアクロバティックな動きでくぐっていったり、マリーナの歌に合わせてマチエールがレーザーなどの光の演出をするなどの芸が続いていき、今回の公演は幕を閉じました。
「面白かったね!」
「そうですね!あれ?レミオンさん?」レミオンは先ほどグーラが座っていた席の方を見ると、すでにその場にグーラがいなかったのです。レミオンはハッとして辺りを見回します。
「イヤな予感がする・・・!」
「・・・私の鈴も鳴っています、何かあったのかもしれません」
キャンベルたち三人がテントの外に出ると、入口の近くで、ゴールド団長や団員たちが集まって何やら話していました。
「どうかしましたか?」キャンベルが話しかけると、ゴールド団長は、キャンベルの顔を見てハッとします。
「ああ、あなたは・・・!実は、我がサーカス団の花形、マチエールがいなくなっていたのです!マチエールの私室には、こんな手紙が・・・!」キャンベルは手紙を受け取ると、読んでみました。
『マチエール嬢はお預かりしました。返してほしければ、『パラグリラマシン』のありかを教え、私たちに渡しなさい!南海岸の洞窟にてお待ちしております。グーラ・バートリーより』
「・・・なんという事でしょう!」手紙を持つキャンベルの両手が震えています。
「・・・やっぱり、アイツは悪事を企んでいたんだ・・・!」エルニスがレミオンに尋ねます。
「レミオン、何か知っているの?」
「・・・ああ、グーラはボクの母国ナイトロードに住む貴族で、バンパイアに近いとされる鬼種族『グール』の令嬢だ・・・!ヤツとボクは昔から仲が悪くて、小さい時から主義主張などで対立が絶えなかったんだ・・・!ヤツがこのテントの中にいたから、何か企んでいると思ったけど、そういう事だったんだ・・・!」レミオンは右拳を握りながら言いました。
「・・・ヤツの要求をのんじゃダメだ・・・!そのパラグリラマシンという物をどうするのかはわからないけど、どうせろくでもない事に使う事だけは間違いない・・・!昔からこういう卑怯な手が大好きなヤツだったからね・・・!」エルニスも叫びます。
「もちろんだ!早く、南海岸の洞窟へ行こう!」
「お願いします!マチエールは私たちの大事な仲間・・・!どうか、悪党どもから救い出してください!」
キャンベルたち三人は、王都より南の海岸へと向かっていきました。
炎は上にある球に燃え移ったかと思うと、炎の球はどんどん大きくなり、そして、一気に花火となり、その中央から、白い翼を広げた白いドレスをまとう金髪のお下げのセイレーンの少女が現れたのです。
皆が驚く間もなくセイレーンは歌いだし、ウェルダーはそのリズムに合わせて火を吹いたり、ところどころに仕掛けていた打ち上げ花火に点火していきます。歌のリズムに合わせて花火が上がっては咲きを繰り返していき、最後は大きな花火を打ち上げて、セイレーンとウェルダーは会釈しました。
「ただ今の芸は、ドラゴンのウェルダーとセイレーンのマリーナの芸でした!」
「わぁ!このサーカス、面白いね!」
「様々な種族が共鳴し合う・・・ですね!」
エルニスとキャンベルが感心していると、レミオンはふと、周りを見回します。すると、少し離れたところで、露出の多い、上下に分かれたドレスを着た黒髪のボブヘアーの少女が隣に座っている者たちに何やら話し込んでいる場面を見つけました。
「あいつは・・・グーラ!?」レミオンはハッとしましたが、ここで団長の声がします。
「続いては、我がサーカスの花形!マチエール嬢!」会場が薄暗くなったかと思うと、うっすら光っている何かが会場の周りを飛んでいき、広場の中央で宙に浮いたまま会釈をしたのは、白いワンピースドレスを着込んだ金髪碧眼のロングヘアーの少女でした。
「わぁ、かわいいなぁ!」
「なんか、機械のスーツみたいなドレスですね・・・」
間もなく、マチエールは飛行機みたいな翼を背から生やし、体を色とりどりに発光させながら、辺りを飛び回ったり、旋回したりします。
そして、マチエールが飛び回っていくうちに、一人が二人、二人が三人と、マチエールの人数が増えていき、最後は5人のマチエールが、渡り鳥のようなⅤの字の編隊を組んで、一糸乱れることなく飛んでいきました。
後ろの四人のマチエールが、先頭のマチエールに集まっていき、元の一人に戻って再び広場の中央の空中で会釈すると、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こっていきました。
この後も、ウェルダーが作り出した炎のリングの中を、セバスチャンがアクロバティックな動きでくぐっていったり、マリーナの歌に合わせてマチエールがレーザーなどの光の演出をするなどの芸が続いていき、今回の公演は幕を閉じました。
「面白かったね!」
「そうですね!あれ?レミオンさん?」レミオンは先ほどグーラが座っていた席の方を見ると、すでにその場にグーラがいなかったのです。レミオンはハッとして辺りを見回します。
「イヤな予感がする・・・!」
「・・・私の鈴も鳴っています、何かあったのかもしれません」
キャンベルたち三人がテントの外に出ると、入口の近くで、ゴールド団長や団員たちが集まって何やら話していました。
「どうかしましたか?」キャンベルが話しかけると、ゴールド団長は、キャンベルの顔を見てハッとします。
「ああ、あなたは・・・!実は、我がサーカス団の花形、マチエールがいなくなっていたのです!マチエールの私室には、こんな手紙が・・・!」キャンベルは手紙を受け取ると、読んでみました。
『マチエール嬢はお預かりしました。返してほしければ、『パラグリラマシン』のありかを教え、私たちに渡しなさい!南海岸の洞窟にてお待ちしております。グーラ・バートリーより』
「・・・なんという事でしょう!」手紙を持つキャンベルの両手が震えています。
「・・・やっぱり、アイツは悪事を企んでいたんだ・・・!」エルニスがレミオンに尋ねます。
「レミオン、何か知っているの?」
「・・・ああ、グーラはボクの母国ナイトロードに住む貴族で、バンパイアに近いとされる鬼種族『グール』の令嬢だ・・・!ヤツとボクは昔から仲が悪くて、小さい時から主義主張などで対立が絶えなかったんだ・・・!ヤツがこのテントの中にいたから、何か企んでいると思ったけど、そういう事だったんだ・・・!」レミオンは右拳を握りながら言いました。
「・・・ヤツの要求をのんじゃダメだ・・・!そのパラグリラマシンという物をどうするのかはわからないけど、どうせろくでもない事に使う事だけは間違いない・・・!昔からこういう卑怯な手が大好きなヤツだったからね・・・!」エルニスも叫びます。
「もちろんだ!早く、南海岸の洞窟へ行こう!」
「お願いします!マチエールは私たちの大事な仲間・・・!どうか、悪党どもから救い出してください!」
キャンベルたち三人は、王都より南の海岸へと向かっていきました。
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