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1章

すぐる編1-4 再び幻想界へ

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 目の前が明るくなり、すぐるが目を開けると、そこは見慣れている自室の中ではなかったのです。
「あれ・・・ここは・・・?」

「ようやく目を覚ましたか、すぐる」すぐるがゆっくり起き上がると、そこは白い壁に木のフローリングの床と言う、なつかしい感じのする寝室で、すぐ隣には、リリスが立っていました。
「ああ、リリス、おはよう・・・って、リリス!」
 
 目の前のリリスは、頭に二本のとがった角、背中にはコウモリの翼、茶色のワンピースドレスのスカートの中からのびているハート形の飾りのついた細長い尻尾、ピンク色のくちびるからのぞく犬歯けんし発達はったつして出来た四本の鋭いきば、そして、縦長の瞳孔どうこうを持つ赤紫色のひとみという、人間とはかけはなれた姿をしていました。

「君、本来の魔族の姿になっているよ!?」しかし、リリスはあまりおどろいていません。
「うむ、ここではもう人間の姿でいる必要はあるまい、ここは『幻想界ファンタジア』じゃ!」それを聞いたすぐるはハッとします。

「そうか・・・!ぼくがここに行きたいと願いながら寝たから、その思いで向こうの世界『幻想界』に来てしまったのか・・・!?それは、君も同じなんだね・・・!?」リリスもうなずきます。

「うむ・・・妾も両親から託された使命の事が頭から離れなかったからの。それに・・・」
「それに・・・?」すぐるは頭をかしげます。

「おっと、それよりも二人にあいさつするぞ!お主もさっしておると思うが、ここはスピネル王国にあるエルニスとキャンベルの店じゃ!」リリスはすぐるの手をつかんで、部屋を後にしました。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」

 寝室を出ると、そこは暖炉だんろの燃えているリビングで、中央の木製のテーブルの席には、貴族的なお衣服を着て、青みがかった銀髪のショートヘアーの少年に、赤い縁の白いローブに、火がついているとんがり帽子をかぶった赤毛の少女がいて、二人はすぐるやリリスと目が合うと、少しおどろきます。

「あれ!?すぐるにリリスじゃないか!いつ来たの?」
「どうやって来たんですか!?」これにすぐるとリリスが言いました。

「それは今から話すよ、とりあえずおはよう、エルニス」と、少年にあいさつをします。
「キャンベルもおはようじゃ」と、赤毛の少女にあいさつをしました。

 すぐるとリリスは、エルニスとキャンベルと向かい合うようにテーブル席に座り、これまでの出来事を話しました。
「へぇ、二人とも、またこの幻想界ファンタジアに行きたいと思っていたのか。それで、朝起きたら、ここに来ていたんだ」エルニスが言います。

「それにしても、すぐるさんが見たという夢、気になりますね。神の長アーサーの兄、マルスが天界を脱走し、『最後の破壊兵器』をねらっていると・・・その夢なら、わたしもエルニスさんも見ましたよ、ただの夢とは思えませんね・・・あっ、そろそろ時間ですね」キャンベルがかべの時計を見て言いました。

「ああ、そうだね、ちょうどすぐるも来たし、いいタイミングだ」
「いいタイミングって?」すぐるがたずねます。

「実は、もしすぐるさんと出会ったら、お城まで連れてきてほしいって、アイリス女王がおっしゃっていたんですよ」
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