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1章

すぐる編1-3 旅立ち

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 学校が終わって着替えた後、すぐるとリリスは母と共に、木製のテーブルを囲み、テレビのニュースを見ます。そこでは、とある中東の国が、隣国りんこくと戦争をしている場面で、高い建物にミサイルが飛んできたり、爆弾ばくだんが道路を吹っ飛ばしたりしている場面でした。

「あーあ、またあそこで戦争か・・・!あそこは、聖地があったり、砂漠が多くて環境が過酷かこくだったりして、戦争が絶えないんだな・・・!」すぐるがやるせない気持ちでテレビを見ていると、リリスが言いました。

「お主の『力』で、どうにかならぬのか?」これに、すぐるは首を振りました。
「ぼくの『力』も、決して万能じゃないんだ、思想の違いもそうだけど、大抵は『貧困ひんこん』が争いの根底こんていにあるんだ」これに、リリスはうなずきます。
「そうじゃな・・・皆がゆたかにならねば、他人には優しくできぬ・・・!」

「でしょ?かつて『連盟』が使おうとした、『あの装置そうち』を使うわけにもいかないでしょ?」
「もちろんじゃ!あんな他者を支配するようなやり方はいただけぬ!それじゃ、どこぞのカルト教団の教祖きょうそと同じじゃ!」

 あれから数年、すぐるとリリスは高校を卒業し、その夜、すぐるはベッドの上で考え事をしています。
(さて、これから先、どうしようか?このまま『この世界』でやっていくのか、それとも『向こうの世界』でやっていくか・・・

 あの時は、夢の中で神の長を名乗る『アーサー』に導かれて、『向こうの世界』にやってきて・・・そこでリリスと出会って・・・そういえば、死んだじいちゃんはこう言っていたっけ?

『お前が人にはない『力』を持って生まれてきたのには、きっと意味がある。その『力』を、世のため人のために使え!普通の人ではすくえない人を救ってやれ!』って・・・

 それに、『この世界』と『向こうの世界』は表裏一体で、お互いに影響えいきょうし合っているんだよな・・・!それなら、ぼくの『力』が生かしやすい『向こうの世界』の平和のために尽力じんりょくするのもいいかもしれない。

 そして、『向こうの世界』の住人であるリリスも『この世界』にやってきて、『ちかい』をわして、もう4年以上もつんだよな・・・!普段、持ち前の明るさでカバーしているけど、彼女の心の奥底おくそこには『未練みれん』がくすぶっている・・・

 ご両親から託された『使命』もそうだけど、他にも何かあるかもしれない・・・それなら、もう一度行きたいな・・・向こうの世界・・・『幻想界ファンアジア』に・・・・)すぐるの全身の力が抜けていき、目の前が真っ暗になっていきました。

「何!?マルスが脱走だっそうしただと!?」気が付くと、そこは空高いところにある、白い円柱と石の壁に囲まれた神殿しんでんのような場所で、青いシャツとズボンを着用し、丸メガネをかけた金髪の少年が、白いローブを着用し、胸まで白いひげをたくわえた男性に報告ほうこくしました。

「はい、父上!間違いないです・・・!兄さんは下界へと降りていきました・・・!」
「なんという事だ・・・!ヤツは前々から、我ら神々の問題児として、周囲からけむたがられていた。以前、次期神の長の候補こうほに名乗り出たが、指名すらされなかったからな・・・!」

「やっぱり、甘やかしすぎたのかしら・・・?弟のあなたがマルスを差し置いて、次の神の長になったから・・・!?」となりにいるローブを着た金髪のロングヘアーの女神も言いました。

「それで、兄さんは何のために下界へ・・・!?」
「おそらく、ヤツは皆を見返すための力を手に入れるべく、地上にあると言う『最後さいご破壊兵器はかいへいき』を手に入れるつもりなのだろう」少年はハッとします。

「なんと!?かつてカオスがつくり出し、幻想界ファンタジア現実界リアリティ破壊はかいしかけたと言われるあの・・・!」
「おそらくな・・・!」少年は意を決してけ出しました。

「どこへ行く!?アーサーよ!」
「地上にこの事を伝えるのです。僕ら神々は直接ちょくせつ、地上に干渉かんしょうすることはできません。ですが、地上に知らせることはできます。そして、この事を彼の夢に見せましょう。ミネルバ様がお造りになった『コスモの絵筆』・・・その持ち主であるすぐるに・・・!」
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