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1章

すぐる編1-8 事件発生

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 やじ馬たちを押しのけて店の中に入ると、そこにはヘルメットや鎧を着込み、大きなナイフで武装ぶそうした二人組のゴブリンたちが、カウンターの向こうにいるシンプルな白いシャツとズボン、茶色のエプロンを着込んだ中年男性の店員をおどしていました。

「おい!この袋に入るだけの金を詰めろ!」
「早くしろ!」店員がおびえていると、リリスは仁王立ちになり、真っ先に名乗り出ました。
「妾はリリス・クリムゾンと申す!お主ら悪党を退治しにまいった!」これに、ゴブリンたちは振り向きました。

「なんだ?魔族の女か!?」
威勢いせいはいいが、この状況で何ができる!?」ゴブリンは店員の首にナイフを突きつけると、リリスはそれ以上、何もできなくなります。その時、リリスの横からまばゆい電撃がほとばしり、ゴブリンに直撃したのです。

「ぐぁあああっ!」ゴブリンたちは、そのまましびれて動けなくなったのです。
「まったく、人質を取られただけで何もできないなんてね」目の前にブライアンが現れたのです。

「いきなり、何をする!?もし、店員に当たったら、どうするつもりだったのじゃ!?」しかし、ブライアンはリリスの問いに全く答えることなく、ゴブリンたちをしばり上げます。

 店員はゴブリンたちに質問しました。
「なんでこんなことをしたんだ!?」

「それはな、生きていくためだ!」
「おれたちだって、最初は堅気かたぎの仕事を探そうとしたさ!でも、人間どもはおれたちがゴブリンってだけで、まともに相手をしてくれなかった!

 そうなったら、もう、盗賊でもやってえをしのぐしかないんだよ!」これに周りの者たちはどうするかでもめましたが、ブライアンが吐き捨てるように言います。

「ゴブリンなど、この場で殺してしまえばいい事だ!」これに、ゴブリンたちはおびえだしましたが、店員は首を横にふって言いました。

「それはさすがに行き過ぎだ!」店員はゴブリンたちに向き直ります。
「どうだ?二人ともうちで働かないか?ちゃんと真面目まじめにやれば給料は出してやる」これに、ゴブリンたちはハッとします。

「いいのか?!」

「ああ、約束する!」店員がゴブリンたちのなわをほどくと、ゴブリンたちは涙を流しながら、頭を下げました。後からやってきたキーパー(スピネル王国の自警団じけいだん)たちには、店員が説明すると、帰っていきました。

「お主、ケガはないかの?」リリスが言いました。
「ああ大丈夫だ、最近、お城の方からお触れがあってね、異種族の者たちを雇った者は手当が支給されるというお触れだ」これに、すぐるが言いました。

「ああ、実は前の王様に、ぼくが進言したんです。人と異種族が一緒に暮らせるように」これに、リリスは感心します。
「おお!あの法はすぐるが進言したものだったのか・・・!すぐるはかしこいのぉ!」みんなすぐるに関心していると、その様子を見ていたブライアンは「ちっ!やっぱり気に入らない!」と舌打ちし、その場をっていきました。

「そうか、みんなはジャスパー学園の学園祭のための食材の買い出しに来たのか、お礼に安くしておくよ」すぐるたちは、肉や野菜と言った食材類を一通り購入こうにゅうしてレッドルビーの町を後にしました。
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