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1章

すぐる編1-5 新たなる冒険

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 エルニスとキャンベルが経営けいえいしている便利屋の青い屋根の建物を出ると、そこは石づくりやレンガ造りの建物が目立つスピネルの王都ジャスパでした。まだ朝早いので、人の出もまばらです。

 町を北へと目指していると、ほどなくして、スピネルのお城にたどり着きました。それは、円錐型えんすいがたの屋根を持つ四つの石の塔を囲む城壁から、赤い三角屋根の天守閣てんしゅかくがのぞいている、いかにも西洋風のお城です。

 キャンベルは女王直筆のサインが書かれた依頼書いらいしょを見せると、見張りの兵士はすぐに四人をお城に入れてくれました。

 お城の中は白い壁に、白と黒のチェック柄の床に、王室まで伸びているレッドカーペットがかれています。廊下ろうかを進んで階段を上っていき、ほどなくして玉座の間に着きました。
「よく来てくださいました。お久しぶりですね、すぐるさん」

 目の前の金縁きんぶちの赤い玉座に座っているピンクのドレスをまとう、後ろの方でまとめた金髪きんぱつ碧眼へきがんととのった顔立ちのアイリス女王が言いました。
「そうか、アイリス様が王位を受けいだんですね」すぐるが言いました。

「ええ、この国には国王にも定年制ていねんせいがあって、つい一年足らず前に父から王位を受け継ぎました」
「それで、ぼくに用事とは・・・?」すぐるが頭をかしげながらたずねました。

「それは他でもありません、あなたには我がスピネル王宮の『宮廷魔導士きゅうていまどうし』になっていただきたいのです」宮廷魔導士と言えば、その国の魔法使いのトップです。すぐるは目を丸くし、周りは喜びました。
「ぼくが・・・宮廷魔導士・・・ですか・・・?そんな大役たいやくを・・・!?」

「よかったの!すぐる!」
「わぁ・・・すごいねすぐるは・・・!」
「宮廷魔導士って、なろうと思ってなれるしょくじゃないんですよ!」

「はい、この場にいらしている連盟代表の賢者マーリン様も、皆も賛成《さんせい》しました。かつて、この世界を救ったあなたにやっていただきたいと・・・!」これにすぐるは言いました。

「ぼくは、祖父から受けいだ、この『魔力』と、それを世のために生かすと言う『使命』についてずっと考えていました。ぼくにその役が務まるなら、ぜひ・・・」

「ちょっとお待ちください!」突然、黒いジャケットとズボンととんがり帽子ぼうしをまとい、外ハネの金髪に青い瞳を持つツリ目の、すぐると同じくらいの魔法使いの青年がさけびました。

「そんな大役、こんなどこの馬の骨ともわからない魔法使いなんかに務まるのですか?!」
「なんじゃ!あの者は!?」リリスは早速、不快感ふかいかんをあらわにすると、彼のそばにいた、白いローブと二つに分かれた帽子ぼうしをまとう、入道雲を思わせる白いひげたくわえた賢者マーリンが、黒ずくめの魔法使いをしかり飛ばします。

「これ!ブライアン!口を慎《つつし》まんか!」ブライアンは不満そうにマーリンに向き合って言いました。
師匠ししょう!本当の事を言って何が悪いのです?あのすぐるとかと言う者は、魔法使いとしての認定級にんていきゅうは、半人前の魔法使いである『B級』ですよ!それよりも一人前の魔導士である『A級』のぼくの方が・・・」

 これに、マーリンは眉間(みけん)にシワを寄せて叫びます。
「お前ってやつは・・・!その減らず口を閉じろ!他者たしゃには敬意けいいはらえと教えただろう!?」ブライアンは不満そうにうつむくと、マーリンは申し訳なさそうな声ですぐるに言いました。

「すまなかったのう、すぐる殿どの、ワシの弟子ブライアンのらず口は昔からなのじゃ・・・!ワシが弟子の代わりにあやまろう・・・」これにすぐるは右手を左右に振って言いました。
「いいえ・・・大丈夫です」その様子を見たアイリス王女は両手をたたいて言います。

「では、こうしましょう。今では幻想界げんそうかい中で散り散りになった『勇気ゆうき覇気はき慈愛じあい正義せいぎ大志たいし自由じゆう王道おうどう』をつかさどる7つのメダルを集めてきた者をこの国の宮廷魔導士きゅうていまどうしにしましょう」これにすぐるもブライアンも賛成さんせいしました。

「わかりました、やりましょう」
「ぼくも行きます、B級なんかに遅れは取りません」
「では、決まりですね、世界中をめぐり、7つのメダルを持ってきてください、では、解散かいさん!」
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