28 / 35
3章 闇の魔女クドラク
クドラク教
しおりを挟む
「えっ!?ウソでしょ!?」
「今学期の登校は絶望的って言われていたのに!?」
「病み上がりとは思えない・・・!」
かぼちゃ町の聖クルス校の高等部の教室でのホームルーム開始直後、生徒たちは驚きと歓声を巻き起こしたのです。今、生徒たちの前に、スレンダーな体つきに、ストレートな黒髪のロングヘアーの整った顔立ちをした女子生徒が教師に連れられてやってきました。
「えー、今日から聖麗華さんが学業に復帰することになった!」
「皆さん、よろしくお願いしますわ!」
麗華の受け答えの声は張りがあり、以前は早退することも珍しくなかった病弱な彼女の面影はないように見えます。麗華の顔を見たシャノンは首をかしげます。
「あの目は・・・まさかね・・・」
昼休みの廊下で、麗華の目の前にウェーブのかかった茶髪にツリ目の女子生徒がやってきました。
「あら、勝子さん、何か?」
「アンタ、本当は仮病で休んでいたんでしょ?か弱くて育ちがよさそうにしていたのも演技ね!?」
勝子が麗華の制服の襟首をつかむと、麗華は学校でも有名な問題児に対して一歩も引かずに、その手を取ってひねります。
「あら勝子さん、変わっていませんわね、言いがかりはやめて下さる?」
麗華はクスッと笑みを浮かべてさらに手をひねると、勝子は「いたっ!」とわめいて手を払います。
「アイツ、あんなにタフだったかしら?力もやけに強いし、なによりも手が冷たかった・・・!」
勝子は身震いしながらその場を後にしました。その様子を見ていたシャノンの疑問は深まります。
下校時間になると、シャノンは他の生徒たちと一緒に校門を出ていき、中央街へと差し掛かりました。そこでは十数人の男女が、町を行きかう人々にチラシやポケットティッシュなどを配ったり、電動メガホンを持って語り掛けています。
「皆さん、クドラク教に入りませんか!?人々に富をもたらす幸福の教えです!」
「信じる者は救われますよ!」
「私はクドラク教に入ってから病気も治りましたし、マモン財閥の社長も、若い頃は貧乏のどん底でしたが、クドラク教の信者になってからは、日本の経済を動かす長者の仲間入りを果たしました!」町の人々はチラシなどを受け取る者もいれば、手を軽く振って断る者もいます。
「クドラク教・・・確か、数百年前に東欧で起こった、比較的新しい宗教・・・でも、お父様はクドラク教には近づくなって言っていたっけ・・・!」シャノンは人目を忍ぶように、その場を後にしました。
翌朝、シャノンはホームルームが始まる前よりも早く、教室に入りました。
「シャノンさん、おはようございますわ」
「ええ、おはよう・・・!」麗華がシャノンに気さくにあいさつをしてきた後、他の生徒たちの話し声が聞こえてきました。
「ねぇ、あの勝子さんが入院したって本当?」
「そうらしいわ、昨夜、町中で絶叫がしたと思ったら、勝子さんが血を流して倒れていたそうよ、その後、救急車で運ばれて一命はとりとめたらしいけど、当分登校できないみたい」
「怖いね・・・!通り魔事件かな・・・?」
「それで、教会が動いたらしいぞ、もしかしたら異種族の仕業か!?」
「そんな化け物、この太蔵様が返り討ちにしてやるぜ!」ホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴ると、生徒たちは着席します。
「今学期の登校は絶望的って言われていたのに!?」
「病み上がりとは思えない・・・!」
かぼちゃ町の聖クルス校の高等部の教室でのホームルーム開始直後、生徒たちは驚きと歓声を巻き起こしたのです。今、生徒たちの前に、スレンダーな体つきに、ストレートな黒髪のロングヘアーの整った顔立ちをした女子生徒が教師に連れられてやってきました。
「えー、今日から聖麗華さんが学業に復帰することになった!」
「皆さん、よろしくお願いしますわ!」
麗華の受け答えの声は張りがあり、以前は早退することも珍しくなかった病弱な彼女の面影はないように見えます。麗華の顔を見たシャノンは首をかしげます。
「あの目は・・・まさかね・・・」
昼休みの廊下で、麗華の目の前にウェーブのかかった茶髪にツリ目の女子生徒がやってきました。
「あら、勝子さん、何か?」
「アンタ、本当は仮病で休んでいたんでしょ?か弱くて育ちがよさそうにしていたのも演技ね!?」
勝子が麗華の制服の襟首をつかむと、麗華は学校でも有名な問題児に対して一歩も引かずに、その手を取ってひねります。
「あら勝子さん、変わっていませんわね、言いがかりはやめて下さる?」
麗華はクスッと笑みを浮かべてさらに手をひねると、勝子は「いたっ!」とわめいて手を払います。
「アイツ、あんなにタフだったかしら?力もやけに強いし、なによりも手が冷たかった・・・!」
勝子は身震いしながらその場を後にしました。その様子を見ていたシャノンの疑問は深まります。
下校時間になると、シャノンは他の生徒たちと一緒に校門を出ていき、中央街へと差し掛かりました。そこでは十数人の男女が、町を行きかう人々にチラシやポケットティッシュなどを配ったり、電動メガホンを持って語り掛けています。
「皆さん、クドラク教に入りませんか!?人々に富をもたらす幸福の教えです!」
「信じる者は救われますよ!」
「私はクドラク教に入ってから病気も治りましたし、マモン財閥の社長も、若い頃は貧乏のどん底でしたが、クドラク教の信者になってからは、日本の経済を動かす長者の仲間入りを果たしました!」町の人々はチラシなどを受け取る者もいれば、手を軽く振って断る者もいます。
「クドラク教・・・確か、数百年前に東欧で起こった、比較的新しい宗教・・・でも、お父様はクドラク教には近づくなって言っていたっけ・・・!」シャノンは人目を忍ぶように、その場を後にしました。
翌朝、シャノンはホームルームが始まる前よりも早く、教室に入りました。
「シャノンさん、おはようございますわ」
「ええ、おはよう・・・!」麗華がシャノンに気さくにあいさつをしてきた後、他の生徒たちの話し声が聞こえてきました。
「ねぇ、あの勝子さんが入院したって本当?」
「そうらしいわ、昨夜、町中で絶叫がしたと思ったら、勝子さんが血を流して倒れていたそうよ、その後、救急車で運ばれて一命はとりとめたらしいけど、当分登校できないみたい」
「怖いね・・・!通り魔事件かな・・・?」
「それで、教会が動いたらしいぞ、もしかしたら異種族の仕業か!?」
「そんな化け物、この太蔵様が返り討ちにしてやるぜ!」ホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴ると、生徒たちは着席します。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる