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6章 砂漠の強盗団

6-4 覇者の腕輪

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 水はピラミッドの方まで流れていき、入口の前の窪地を満たしていくと、なんと、ピラミッドの重そうな石の扉が左右に大きく開いていったのです。

「ピラミッドの扉が開いている!?」
「そうか、生きとして生ける者たちの宝って『水』の事だったんですね!」

エルニスたちが入ろうとすると、そこに隠れていたレイドが入って行ったのです。

「ああっ!レイドの野郎!待ちやがれ!」レイドを探していたロレンスもピラミッドに入っていきました。エルニスたちも後を追います。

 ピラミッドの中は、ブロック状の石をくみ上げた通路になっており、奥に祭壇さいだんがあり、その上に白と黒の腕輪が祭られていました。

「ほう、あれが力の神器『覇者の腕輪』か!」
レイドは腕輪を手に取り、自分の右腕にはめました。

「この力があれば、お前たちに負けない!おれから全てを奪った人間どもへの復讐ふくしゅうも果たせるのだ!」

レイドはロレンスに向かっていきましたが、ロレンスはレイドの剣撃を斧で受け止め、互角以上の打ち合いをします。

「バカな!覇者の腕輪の力はこんなものではないはず・・・?」しかし、戦況は全く変わりません。
「くそっ!力の神器など、でたらめだったのか!?こんなもの!」

レイドは腕輪を投げ捨てると、ロレンスがそれをはめました。すると、腕輪は白い光を放ち、ロレンスは力がみなぎっていくのを感じます。

「バカな!?なぜおれには扱えないんだ!?」これにロレンスは叫びます。

「真の力とは、誰かを助け明日を切りひらくもの!誰かを傷つけ明日をうばうものじゃない!」
「たわごとを!」

ロレンスの斧は、レイドの剣を真っ二つにへし折ったのです。鋭い金属音をたてて折れた剣先が地に落ちると、レイドは体をふるわせます。

「くそっ!武人の誇りである剣をへし折るとは・・・!この借りは必ず返す!」レイドは尻尾を巻いて逃げていきました。

 「やったね!三つ目の神器が手に入ったよ!」これにロレンスが言いました。

「お前たちの事は列車で聞いたが、世界を征服しようとする魔王軍と戦っていて、あの強盗団も魔王軍の差し金だそうだな、じゃあ、オレもお前たちの旅に同行するぜ!

聞けば、はるか北の国には、魔王軍に立ち向かう者たちが集まっているそうだ、そこへ行けば何かがつかめるかもしれん」

「ありがとう!」キャンベルが地面に何かが落ちているのを拾いました。
「あっ!これは次の地図の破片ですよ、地図は北の大陸を指しています!」
こうして、ロレンスを加えたエルニスたちは、一旦、スピネルに戻ることにしたのです。
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