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5章 うごめく闇と抗う光

5-1 うごめく闇

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 「よし、そろったようだな」玉座ぎょくざに座る魔王アガレスの前に、三幹部であるダークトライアドが控えています。

「さて、お前たちからの報告ほうこくを聞いたところ、我々の障害となりうる勇者エルニス、『神器』とその使い手が現れたそうだな・・・!」

「ははっ!」
「この私を上回る魔力をめておりました!」
「あれがなければ・・・あんなザコ勇者・・・!」これに、アガレスが言いました。

「これは、かつてカオス様を打倒したとされる四人の英傑えいけつ四聖獣しせいじゅう』の集結しゅうけつを意味しているのか・・・!?神器は、それにふさわしい心の持ち主にしか扱えぬ・・・!よし!」アガレスは一息ついてから再び口を開きます。

「伝説によれば、神器は四つあり、残り二つは西の『ニューヨー連邦』、北の『ラップランド』にあると聞く、レイドよ!お前はニューヨー連邦へとおもむき、神器の回収を命ずる!」

「ははっ!」
「フレイヤよ、お前はラップランドでの神器の回収を命ずる!だが、報告によれば、あの裏切り者シルトが根城にしていると聞く、心してかかれ!」

「わかりました!シルトと言いますと、魔王軍でも一、二を争った実力者ですね・・・!」
「うむ!いくらお前とて、簡単にはいかない相手だ・・・!」心なしかアガレスの声がふるえていました。

「神器を手中に収めるだけでは不安が残る、グレゴリーには、ラグーナにあるとされる『闇の力』の回収を命ずる!うまく手にすれば、こちらの戦力を強化できる!」
「なるほど、伝説に聞く『カオスオーブ』ですね・・・!それがあれば、あんなザコ勇者など・・・!」


 「くそぉっ!ナイトロードの化け物どもめ・・・!」暗闇くらやみの中、グレイは拳を地面にたたきつけながら叫びます。

「あいつらのせいで、オレはヘレンを失った・・・!あの時のオレに力があれば・・・!くそぉっ!」グレイが頭をうなだれていると、暗闇の奥から優しい声が聞こえてきたのです。

「力が欲しいならさずけてやろうか?」
「誰だ!?」グレイが声のした方を振り向いても、誰もいなかったのです。

「我はカオス、かつて創造を司る神と呼ばれた者」これに、グレイはハッとします。
「カオス・・・だが、今では全ての悪魔の頂点に君臨くんりんする者と呼ばれているはず・・・!」

「確かに、我の事をそう呼ぶものもいるらしい、だが、神も悪魔も同じもの、認識にんしきの違いがあるだけだ」
「それで、お前はオレに力をくれるとか言ったな!?」カオスは相変わらずおだやかな声で語りけます。

「ああ、本当だ、それには南海のラグーナ諸島の南島にある遺跡いせき、その奥に祭られている漆黒しっこくのオーブを手にするのだ、そうすれば、お前は今までとは比べ物にならない力を得ることができるだろう」それを聞いたグレイはピンときます。

「それは・・・これからオレたちキーパーが壊しに行く邪悪な力のオーブの事か!?悪に身をゆだねてまで力はいらん!」カオスは今までの優しい声から、まるであざ笑う声で語り掛けます。

「力そのものに善悪の区別はない、今のままでは、お前はナイトロードの化け物にはかなわん!お前の望みは果たせんぞ!覚えておくがいい、力を欲した者は、必ず力に魅了みりょうされるのだ・・・!」
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