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1章 東風の訪問者

1-5 勇者の帽子

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 お城に戻ったエルニスたち三人は今、赤いコートを着込み、白いひげをたくわえた王様のいる玉座の間にいます。

「よくぞ、国が管理する貴重な石をとりもどしてくれた!おかげで、町をさわがせていたウルフ団は壊滅かいめつした、ところで、大臣よ!」そばにいた大臣は冷や汗を流します。

「そなたは、石を盗まれた時、何の関係もないテイルの両親を人質にしたそうじゃな!?」
「そ・・・それがどうしたのですか・・・!?」

「・・・いくらなんでも、その方法は目に余る!なぜそんなことを・・・!?」大臣はしどろもどろになりながらも、こう言いました。

「・・・ワシは、テイルのような異種族の者が信用ならないからです・・・!」

「・・・苦しい言い訳じゃな!人間の中にもウルフ団やそれ以上の悪党あくとうがいるように、エルフにもテイルの様な正しい者もいる!それが分からんか!?大臣よ!そなたに人の心があると言うのなら、まずはテイルにあやまるべきじゃ!」大臣は頭をうなだれます。

「・・・すまない!・・・くっ!」王様はテイルに向き直って言います。

「テイルよ、お主の働きは見事だった・・・!」これにテイルは首を横に振ります。
「いいえ、私のピンチを救ったのは、このエルニスです!」エルニスは照れ臭そうにしています。

「うむ!そなたはなかなか勇敢ゆうかんじゃな!そんなお主には、神器の一つ、『勇者ゆうしゃ帽子ぼうし』を与えよう!」エルニスの頭に、二つの房に分かれた青い帽子ぼうしがかぶされました。

「わぁ!神器の一つだ、ありがとうございます!」テイルは考え込んでいました。
「・・・あのかみなりは・・・伝説の竜の一族は雷を操るって聞いていたけど、もしかして・・・!?」
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